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2012年7月13日 (金)

小林一郎著「ガード下」の誕生-鉄道と都市の近代史(祥伝社新書)が糞だった(その4)

道路のガード下(高架下)についても、ええかげんな書きっぷり


     
 インターナショナル・アーケードの隣には、自動車専用道路が並走する。
 自動車専用道路は、あくまで道路として使用するものであり、そのため、道路下空間の利用は広場や駐車場などのほか使用できなかった(現在は改正され、さまざまな用途に使用するよう推進されている)ので、道路下空間を店舗や住宅として活用している姿を見ることは基本的になかったのだが、新橋-有楽町-東京間の東京高速道路は、しっかりした店舗として活用されている。きわめて珍しいケースだ。

 小林一郎著「ガード下」の誕生 88頁から引用

小林氏は、東京高速道路は自動車運送法上の一般自動車道であり、道路法上の道路ではない事自体は理解しているようだが、「自動車専用道路」自体が道路法の道路にしか適用されないことは分っていないようだ。また上記の規制(「高架道路の路面下の占用許可について」(昭和40年8月25日付け建設省道発第367号建設省道路局長通達。平成17年廃止)も道路法の道路にしか適用されないことも分っていないようだ。(あるいは分っているけど、適当にごまかして書いているのか?)
「(東京高速道路高架下の店舗は)極めて珍しいケース」といいたいばかりにわざと混同しているようにも思える。

                                                 
 小林一郎氏の嘘  ホント
 東京高速道路は自動車専用道路  東京高速道路は、道路法所掌の道路ではないので、道路法(第48条の2)に定める「自動車専用道路」ではない。
 そのため、東京高速道路は、高架下占用を規制していた通達(「高架道路の路面下の占用許可について」(昭和40年8月25日付け建設省道発第367号建設省道路局長通達。)の対象外。
 自動車専用道路は、あくまで道路として使用するものであり、 ○通達は、自動車専用道路だけを規制するものではなく、一般道の立体交差部分の高架橋の下等も対象。

○規制する理由は「自動車専用道路だから」ではない。「あくまで道路として使用するもの」というのも日本語として全く意味不明。(こういうところからも小林氏はシロウトさんだと思う。)

○「高架下占用は、占用物件の直上を車両等が通行するため、防災上、また道路の維持管理上も好ましいものではなく抑制すべきもの」(「道路法解説」道路法研究会 編著・全国加除法令出版 刊 226頁)というのが規制の理由である。また、上記通達においても「道路構造の保全」があげられている。
 道路下空間を店舗や住宅として活用している姿を見ることは基本的になかった ○もともと、道路法施行令には、
「トンネルの上又は高架の道路の路面下に設ける事務所、店舗、倉庫、住宅、自動車駐車場、広場、公園、運動場その他これらに類する施設」
が占用物件の例としてあげられている。

○旧・通達には
 「高架下の占用物件は、次に掲げるものに限るものとする。
  イ 駐車場、公園緑地等都市内の交通事情、土地利用等から必要と認められるもの
  ロ 警察、消防、水防等のための公共的施設
  ハ 倉庫、事務所、店舗等その他これらに類するもの。ただし、次の掲げるものを除く。
   一 易燃性若しくは爆発性物件又は悪臭、騒音等を発する物件を保管し、又は設置するもの
   二 風俗営業用施設その他これらに類するもの
   三 住宅(併用住宅を含む。)」
 と記載されており、法令上は店舗は可能。住宅は除外されているが、何故か道路の高架下の住宅は存在しているw(後述)

○「相当の必要があって真にやむを得ないと認められる場合における占用についてのみ許可することとする「抑制の方針」として取り扱ってきた」「その結果、高架道路の路面下の利用形態としては、事実上、広場、公園、駐車場等に限定されているのが実態」
http://www.mlit.go.jp/road/press/press05/20050909/1.pdf
というのがオフィシャルなスタンスだが、実態としては、いろいろあり、「都市の近代史」を自称するのならば、取り上げるべき物件は山ほどあろう。(おってご紹介します)

小林氏の傾向なのか、「勝手に目的を決めつけて、それ以外のものは鬼っ子だけど、そこから新しい価値」みたいなストーリーが大好きなようだ。鉄道しかり、「自動車専用道路」しかり。。
しかし、その「勝手に決め付けられた目的」がピントはずれなので、その後のストーリーもまたピントはずれになっている。

通達では、「高架下の占用の許可にあたっては、公共的ないし公益的な利用を優先するものとする。」という許可基準(これは現通達でも変更されていない)に加え、占用料については、国や地方公共団体については、無料となる場合が多い(道路法第39条参照)ため、結果的には、道路の高架下には国や地方公共団体が設置する公園、駐車場・駐輪場、公民館等が多くを占めることになっているのである。
鉄道との大きな違いはここであろう。

せっかくなので、本来の「都市の近代史」であれば取り上げていただきたい、道路下の物件を紹介したい。

○船場センタービル(大阪市)
阪神高速と大阪府道の下にある。
なお、地下には大阪市営地下鉄も走っている。道路法32条の占用物件。

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○木津卸売市場(大阪市)
小林氏も満足できそうなロマンあふれる物件であるが、道路の耐震補強のため解体済みとのことである。道路法32条の占用物件。
私の別稿に詳細を紹介している。

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○東京シティエアターミナル(東京都)
東京高速道路を除くと東京で最も有名な高架下物件ではないか?道路法32条の占用物件 。

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○大阪シティエアターミナル(大阪市)
東京に対抗して大阪シティエアターミナルは、ビルの中から阪神高速の出口ランプが顔を出すという物件。底地は建物側で、道路が区分地上権を設定している。道路法第47条の6の立体道路

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阪神高速道路の本線からランプがビルの中に突っ込んでいくところはこちら

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Ocat
http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/ppp/kenkyu/pdf/doc3.pdf 11頁から引用)

その北側には、ビルの1階に阪神高速道路の料金所がある。ビルがランプと一体となっている。道路法第47条の6の立体道路

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○朝日新聞社ビル(大阪市)
阪神高速道路がビルの上に乗っている。底地は朝日新聞ビル側で、道路は無権原と聞いたことがある。レア物件。

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○十三大橋高架下住宅(大阪市)
住宅も店舗もあるんだよ。
高架下趣味者には、「中津高架」で有名。阪急の高架下と道路の高架下の部分が並走しており、それぞれ趣がある。その道路部分。
旧・通達には「住宅はアカン」と書いてあったような気がするが。見るからに年季が入っているので、通達による規制前の「既存不適格」物件かも。

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○ゲートタワービル(大阪市)は、私の別稿に詳しい。

○阪神高速道路 泉佐野PA(泉佐野市)
道路法第47条の6の立体道路 制度を活用してパーキングエリアとビルを一体的に整備している。
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00035/1993/48-04-0168.pdf

○首都高速の高架下の店舗(東京都)
 首都高速道路公団法(廃止済)第29条第2項において認められていた、公団による店舗。
■高速2号目黒線の整備に当たり、首都高速道路公団法第29条第2項第1号(大臣認可を受けて行う公団業務)に基づき、高架下に施設を設置し賃貸を開始(昭和43年4月1日~)した。
■2号線高架下施設は東麻布一・二丁目、南麻布二丁目、南麻布三・四丁目、恵比寿三丁目・白金六丁目の4地区に分れており、4地区合計で事務所又は店舗(一部住居併用あり)47戸、附帯駐車場66台となっている。
http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/senyou_taika/pdf3/4.pdf 9頁から引用

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ここ(5号線南池袋地区)も?

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首都高速道路公団法 (廃止済)
 (業務の範囲)
第29条
(第1項 略)
2 公団は、前項の業務のほか、国土交通大臣の認可を受けて次の業務を行うことができる。
 一 前項第一号の自動車専用道路の新設又は改築と一体として建設することが適当であると認められる事務所、店舗、倉庫その他政令で定める施設(以下「事務所等」という。)を建設し、及び管理すること。
 二 委託に基づき、前項第一号の自動車専用道路の新設又は改築と一体として建設することが適当であると認められる事務所等を建設すること。
(以下略)

○中央自動車道 高井戸IC付近  世田谷区立北烏山東敬老会館(東京都)
 中央道建設反対運動があった世田谷区烏山団地隣接のシェルターの下にある物件。NEXCO中日本と高速道路機構による占用許可事項が大きく掲示されているので拡大してみた。
 公民館の類は、公共性があって、道路占用料も免除ということで全国の道路の高架下に見受けられる

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ここまでが、

       
 2005年(平成17年)、町づくりの観点等を踏まえ、高架道の路面下活用が可能となるよう『高架道路下占用許可基準』が改正されたため、今後は、高速道路下にもさまざまな施設が誕生する方向に向かっている。 

小林一郎著「ガード下」の誕生 92頁から引用

(※ここで引用していて、小林氏は、「等」と「など」の標記が統一できていないことに気がついた。ライターとして2流なんだと再確認した次第。「編集プロダクション主宰」とあるが、こういった記述のルールなんか整理できていないプロダクションなんだろうと推測する。)

とある改正『前』の道路と建物の特色ある物件の事例である。

小林氏が知らないだけで、いろいろあるのだ。

改正された通達はこちら。 http://www.mlit.go.jp/road/press/press05/20050909/20050909.html
通達の解説はこちら。 http://www.hido.or.jp/14gyousei_backnumber/2009data/1002/1002koukashita-riyou-mlit.pdf

通達改正後には、例えば首都高速の高架下に
トランクルームを作ったり
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20100809_386617.html
エクセルシオールカフェを作ったり
http://www.shutoko.co.jp/company/press/h18/data/12/1221_1

住宅展示場を作ったりしている。
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20100921_395341.html

なお、本書では積極的に評価していると思われる、東京高速道路株式会社であるが、国会議事録を「東京高速道路株式会社」で検索すると

昭和35年03月01日参議院 - 建設委員会
  東京高速道路株式会社は高速道路を作るという美名のもとに数々の悪徳を重ねております。これは都民全部の指弾の的だったのです。       

昭和34年04月02日参議院 - 建設委員会       
 東京高速道路株式会社のような世間の疑惑 を招くようなものが、今後、全然起らないように宜しくお願いいたします。       

昭和34年03月06日衆議院 -   建設委員会
 世間で怨嗟の的となっております東京高速道路株式会社との関係であります。 

といった有様である。
おってこの辺りがどのように「悪徳」で「疑惑」で「怨嗟の的」だったのかは整理してみたい。
というか、「都市の近代史」ならちゃんと書けよ。

いやはや高架下は鉄道にしても道路にしても「鬼っ子」どころではなく「鬼門」ですなあ。

(参考資料)

       
  ○ 道路法( 昭和27年法律第180号)
 (       道路の占用の許可)
第32条 道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。
 一~       六( 略)
 七 前各号に掲げるものを除く外、道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの       

  ○ 道路法施行令( 昭和27年政令第479号)
 (       道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物等)
第7条 法第32条第1項第7号に規定する政令で定める工作物、物件又は施設は、次に掲げるものとする。
 一~       五(       略)
 六  トンネルの上又は高架の道路の路面下に設ける事務所、店舗、倉庫、住宅、自動車駐車場、広場、公園、運動場その他これらに類する施設
 七~ 九( 略) 
高架道路の路面下の占用許可について(廃止済)
昭和40年8月25日建設省道発第367号
 北海道開発局長、各地方建設局長、各都道府県知事、六大市長、日本道路公団総裁、首都高速道路公団理事長、阪神高速道路公団理事長あて建設省道路局長通達

 標記に関し、別紙のとおり高架道路下占用許可基準を定めたから、左記の事項に御留意の上事務の処理に遺憾のないようにせられたい。
 ~省略~
                              記
一 高架道路の路面下の占用は、道路の管理上好ましくないので、抑制の方針をとること。したがって、本基準は、その占用を奨励する意味を持つものではなく、相当の必要があって真にやむを得ないと認められる場合における占用の基準を定めたものであること。
二 道路の占用は、元来用地補償とは別個の問題であるから、高架道路の用地交渉段階において被買収者に占用を約束するが如き行為は、厳に慎むべきこと。
三 省略
四 高速自動車国道、都市内高速道路その他の道路で、相当区間連続して高架化されているものについては、路面下の全体的な利用計画を作成し、位置図、平面図、断面図その他の必要な資料を添付して当局に事前協議すること。 

別 紙
 高架道路下占用許可基準
一 趣旨
  高架の道路の路面下(以下「高架下」という。)の占用については、道路の構造の保全、利用形態等において従来の平面道路の場合と著しく異るものがあることにかんがみ、この占用許可基準に従い公正厳格な占用許可を行ない、道路管理の適正を期するものとする。
二 方針
 (1) 高架下の占用は、道路管理上及び土地利用計画上十分検討し、他に余地がないため必要やむを得ない場合でなければ、許可してはならない。
 (2) 次の一に該当する高架下の占用は、許可しないものとする。
  イ 都市分断の防止又は空地確保を図るため高架道路とした場合の当該高架下の占用
  ロ 道路管理者が学識経験者の意見を聞いてあらかじめ策定した高架下利用計画に適合しないもの
  ハ 一部車線を高架とし場合における当該高架下又は高架道路の出入口附近の占用
 (3) 高架下の占用の許可にあたっては、公共的ないし公益的な利用を優先するものとする。
 (4) 高架下の占用は、原則として道路管理者と同等の管理能力を有する者に一括して占用させるものとする。
 (5) 高架下の占用物件は、次に掲げるものに限るものとする。
  イ 駐車場、公園緑地等都市内の交通事情、土地利用等から必要と認められるもの
  ロ 警察、消防、水防等のための公共的施設
  ハ 倉庫、事務所、店舗等その他これらに類するもの。ただし、次の掲げるものを除く。
   一 易燃性若しくは爆発性物件又は悪臭、騒音等を発する物件を保管し、又は設置するもの
   二 風俗営業用施設その他これらに類するもの
   三 住宅(併用住宅を含む。)
三 占用物件の構造等
 (1) 占用物件の構造については、次の基準によるものとする。
  イ 高架道路の橋脚の外側(中略)をこえてはならないこと。
  ロ 占用物件が事務所、店舗等であって、その出入口が高架道路と並行する車道幅員5.5m以上の道路に接する場合には、歩道を(幅員1.5m以上とする。)を設けること。
  ハ 構造は、原則として耐火構造とすること。
  ニ 天井は、必要強度のものとし、必要な消化施設を設置すること。この場合においては、あらかじめ消防当局と十分打ち合わせておくこと。
  ホ 天井は、高架道路の桁下から1m以上空けること。
  ヘ 壁体は、原則として高架道路の構造を直接利用しないこと。
  ト 緊急の場合に備え、市街地にあっては最低30mごとその他の地域にあっては約50mごとに横断場所を確保しておくこと
  チ 高架道路の分離帯からの物件の落下等高架下の占用に危険を生ずるおそれある場合においては、占用者において安全確保のため必要な措置を講ずること。
 (2) 占用物件の意匠等は、都市景観を十分配慮して定めるものとする。
四 その他
 (1) 占用の期間は、占用物件の性質等を考慮して適正に定めるものとする。
 (2) 占用の許可にあたっては、転貸等の弊害を防止するた必要な条件を附するものとする。
 (3) 高架下の利用について、公共的ないし公益的な利用計画がない場合において、この基準に適合するときは、高架道路に係る土地等の提供者を他の者に優先して考慮することができるものとする。

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