新幹線を妨害しようとした?伊豆箱根鉄道下土狩線(未成というか無免許工事線)その1
東海道新幹線建設工事にあたって近江鉄道の論外な補償要求をしていた堤一族は、伊豆箱根鉄道を使って、三島でもやらかしていたというお話。
(その1)は、字ばかりなので、めんどくせえという方は(その2)をご覧ください。
上記地図北側の御殿場線下土狩駅から緩やかなカーブを描いて南東へ進むのが伊豆箱根鉄道(旧駿豆鉄道)の廃線跡地である。途中で東西を走る東海道新幹線と交差しており、その北側に盛土らしき緑のものが見える。
営業中時代の地図が「日文研所蔵地図データベース」に掲載されている。
http://tois.nichibun.ac.jp/chizu/images/002979003_o.html
ここは、丹那トンネルが完成し新しい東海道線三島駅が出来た際に廃線となっている。
ところが、東海道新幹線建設の際に、伊豆箱根鉄道はここに新たな路線の開設を申請し、運輸省の免許も工事認可をも得ないうちに、新幹線を妨害するかのような工事を開始し、国鉄に補償要求をしようとしたという前代未聞の「疑惑の未成線」であったという。
国会での論戦を見てみる。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/043/0514/04306030514019c.html
昭和三十八年六月三日(月曜日)
○楯委員 (略)
それからいま一つの疑惑は、これはきのう私、伊豆箱根鉄道と新幹線の立体交差の場所へ行って見てきたわけですが、こんなばかげたことがいまどき行なわれておっていいかどうか。現場へ行ってみると、新幹線がずっときておる。そこへ伊豆箱根鉄道が、廃止をした道床ですね、昭和六年に当時鉄道省だったと思いますが、二十万円の補償をとって三島-下土狩間の線路をまくって、これは鉄道省が補償をして廃止したわけですね。これはあなたが御存じのとおりだ。ところが昨年の四月、とにかく新幹線の通るまん前に、二百メートルにわたって築堤を、二メートルかさ上げをして、驚いたことにはその下、その二百メートルの間に道路が通っておるそこに橋台を鉄筋コンクリートにして、橋をかけますよ、こういってまっかな橋げたがその上に置いてあるのですね。つまり新幹線が通る二百メートルにわたって昨年の四月に工事をやって、そうして通せんぼをして、国鉄にとにかく補償要求をやろうとしておる。道路の予定地に小屋をつくって立ちのかぬ、金よこせということはよく聞くのですよ。ところが堂々たる会社が二百メートルにわたって急に昨年から工事をして、そうしておら、どかぬぞ、こういう事態が野放しにされておいていいかどうか。私は現地へきのう行ってみてびっくりしましたよ。国会の中じゃえらそうなことを言っておりますが、補償金をとるためのこんなじゃまが、堂々と白昼行なわれておる、こんなばかげたことはないと思うのです。二百メートルにわたって廃道を二メートルかさ上げをして、一体幾らくらいかかるだろうと技術者に聞いてみますと、まあ二千万円から千五百万円くらいかかると言うのです。そうすると千五百万から二千万の投資をして、国鉄のほうから幾ら金をとろうと思ったか知りませんけれども、前面に二メートルばんとしてある。ここで疑惑が起きますのは、昭和六年に丹那隧道が通った。三島-下土狩中側の鉄道を伊豆箱根鉄道はめくって、補償金は二十万円取った。その補償金は、きのうのきようでありますから私は調べる時間がございませんでしたが、一体時効にかかっておるのか、無効になっておるのかどうかという点と、それからいま一つは、昨年申請が出ておるそうですね。伊豆箱根鉄道がこの区間運転をさしてもらいたいという申請が出ておるそうでありますが、運輸省はこの事態に対してどういう措置をとったか。まだ免許がおりないのに、二百メートルだけ工事をしてしまったわけです。この二点をお伺いしたいと思います。
○綾部国務大臣 私よく存じませんから、後刻調べて御返事いたします。
○岡本政府委員 ただいまお話しの伊豆箱根鉄道の下土狩-三島間の申請は、目下名古屋陸運局に提出してございます。そこで、陸運局でいろいろ調査いたしておりまして、まだその調査書は本省に、われわれの手元に上がってきておらない状態でございます。いま御指摘の免許を得ないで――免許を得ましても、具体的に工事施行認可を受けましてはじめて工事ができるわけでございますが、そういった手続を踏まないで工事をしておったということがわかりましたので、現地の陸運局長から当該会社に注意をいたしまして、工事はその注意の結果中止いたしておるそうでございます。
○楯委員 その注意をした日は何月ですか。それから口頭で注意をしたのかどうか。前面二百メートルだけ工事しているのですよ。だから、よそは工事したっていいでしょう。新幹線の通る前面二百メートルだけ工事をしておるのですから、工事を中止したといったって何にも効果ありませんよ。何月、口頭かあるいは文書でその中止方を要請したのか、それを明らかにして下さい。
○岡本政府委員 たしか私の記憶では、文書で注意いたしたと存じております。その日付はいま記憶いたしておりませんので、後ほど資料として御提出申し上げたいと存じます。
○磯崎説明員 三島-下土狩間は、当時駿豆鉄道と申しておりましたが、昭和六年に御承知のとおり丹那隧道が開通いたしましたときに、同駿豆鉄道株式会社の三島-下土狩の間の営業を廃止いたしまして、それとほとんど直角に交わります現在の東海道線ができたわけであります。そのときにいろいろな協定書がございますが、これは一応こまかくなりますから省略いたしますが、それの全体的な問題といたしまして、当時鉄道省から昭和六年に金二十万円の補償を出しております。したがいまして今度の問題は、その路盤はまだ同社の所有になっておったわけでございます。その同社の所有の路盤とやはり直角に交わります新幹線の若干の土地の取得の問題だったわけでございますが、ここ二、三年来いろいろ協議いたしましたが、どうしても話が実はまとまりませんで、非常に工事もおくれ困惑しておったわけでございまして、現実はただいま楯先生のおっしゃったとおり、ちょうど新幹線の横切りますところ約百メートルか二百メートルのところに防波堤のような工事があったわけでございます。その後同社といろいろ折衝いたしまして、どうしても話がつきませんでしが、最近やっとそれを事務的にとにかくこちらに護るという話し合いに――まだまとまったという段階までは申し上げられませんが、そういう方向にやっと好転いたしてまいりまして、間もなく、そう遠くない機会に最も公正な値段でその土地を取得できるということになると思いますが、ただいままでたいへん長い間時間がかかりましたことを残念に、申しわけなく思っております。
○楯委員 補償を取るために、三十年前に二十万円といえばいまの三億円ぐらいだろうと思うのですが、一ぺん補償を取っておいて、そして今度新幹線で補償を取るために二千万円も投資をするような仕事が、現在の世の中に行なわれておるということは、全く不可解ですよ。運輸大臣はどうだか知りませんが、運輸省は建設の申請が出ているのですから十分それを承知をしながら、ああいうような答弁をしておるということは、全くわれわれをばかにしていますよ。新幹線をつくるということはわかっておるじゃありませんか。そこを横断をして鉄道営業をやりたいという申請が出てきたじゃありませんか。そして工事をやっておるじゃありませんか。それをいまだにほっておいて、そして警告をしたはずだが、その文書があったら出してもらいたい、どんな警告をしたか。こんなばかげたことが行なわれておっていいものですか。運輸省は申請を出して認可をしないのに建設をしたら罰則があるでしょう、罰則を適用しましたか。
○岡本政府委員 罰則の点につきましては、もちろんございますけれども、やはりこういう問題につきましては、行政指導と申しますか、その処分の前に一応警告を発しまして、それに従わないような場合には初めて罰則を適用するというのが大体のやり方でございますので、ひとまず警告を発したわけでございます。そこで、この警告に従って会社側としてはすぐ工事を中止したわけでございますが、なお、先ほど新副総裁から答弁がありましたように、大体事柄は円滑に解決する見込みでございますので、この点は御安心いただいてけっこうだと存じます。
○楯委員 私が一昨日行って話を聞きましたところによりますと、国鉄のほうは土地を四百坪、坪一万円から一万五千円で買いたい、こういう要請を伊豆箱根鉄道に出しておるそうです。われわれは注目しておりますよ。これが千五百万円か二千万円かけて、そしてこの四百坪の土地がどのぐらいの値上がりになって国鉄が買収するか、われわれは注目をしていますから、運輸大臣も、よくひとつ肝に銘じておいていただきたいと思います。
その現場を国土地理院の国土変遷アーカイブで追うことができた。
「三島-下土狩間は、当時駿豆鉄道と申しておりましたが、昭和六年に御承知のとおり丹那隧道が開通いたしましたときに、同駿豆鉄道株式会社の三島-下土狩の間の営業を廃止いたしまして、それとほとんど直角に交わります現在の東海道線ができたわけであります。そのときにいろいろな協定書がございますが、これは一応こまかくなりますから省略いたしますが、それの全体的な問題といたしまして、当時鉄道省から昭和六年に金二十万円の補償を出しております。」
「その路盤はまだ同社の所有になっておったわけでございます。その同社の所有の路盤とやはり直角に交わります新幹線の若干の土地の取得の問題だったわけでございますが、ここ二、三年来いろいろ協議いたしましたが、どうしても話が実はまとまりませんで、非常に工事もおくれ困惑しておった」
「伊豆箱根鉄道が昭和三十七年の四月に下土狩線の免許申請を出しておるわけであります。」
「新幹線の工事につきまして、その廃線敷を通る計画になっておりますので、会社に申し入れをいたしましたところ、会社側のほうで免許を受けて御殿場線のほうへ鉄道工事をやる計画があるのだということで、会社のほうの申し入れがございました。」
「昨年(1962・昭和37年)の四月、とにかく新幹線の通るまん前に、二百メートルにわたって築堤を、二メートルかさ上げをして、驚いたことにはその下、その二百メートルの間に道路が通っておるそこに橋台を鉄筋コンクリートにして、橋をかけますよ、こういってまっかな橋げたがその上に置いてあるのですね。つまり新幹線が通る二百メートルにわたって昨年の四月に工事をやって、そうして通せんぼをして、国鉄にとにかく補償要求をやろうとしておる。」
「廃線敷のままならいざ知らず、新しく廃線敷をあんこにして路盤を高くしておるわけですね。しかもこれは東海道新幹線よりははるか高く構築しているのです。新幹線の通過はわかっておるので、純粋にこの伊豆箱根鉄道をつくるというならば、新幹線の下をくぐらせるとかあるいはそれ以上の上にするかということでありますが、この写真でごらんのとおり、これは全然そういう意図はありません。これはもう単なる通せんぼうです。」
「伊豆箱根鉄道の下土狩-三島間の申請は、目下名古屋陸運局に提出してございます。そこで、陸運局でいろいろ調査いたしておりまして、まだその調査書は本省に、われわれの手元に上がってきておらない状態でございます。いま御指摘の免許を得ないで――免許を得ましても、具体的に工事施行認可を受けましてはじめて工事ができるわけでございますが、そういった手続を踏まないで工事をしておったということがわかりましたので、現地の陸運局長から当該会社に注意をいたしまして、工事はその注意の結果中止いたしておる」
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/043/0016/04306110016031c.html
昭和三十八年六月十一日(火曜日)
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本日の会議に付した案件
日本国有鉄道の経営に関する件(東海道新幹線の予算に関する問題)
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○木村委員長 これより会議を開きます。
日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
○久保委員 東海道新幹線の工事に関連してまずお尋ねするわけでありますが、先般予算委員会でも若干質問がありましたので、多少重複するところがあるかと思うのでありますが、一応順を追うてお尋ねをいたしたいと思います。
まず第一に伊豆箱根鉄道と新幹線に関係してでありますが、これは伊豆箱根鉄道が昭和三十七年の四月に下土狩線の免許申請を出しておるわけであります。まず第一に、この下土狩線の免許申請に関して運輸省の見解はいかようになっておるか、これをお尋ねしておきたい。
○広瀬説明員 免許申請は名古屋の陸運局に提出されまして、陸運局の手元にしばらくございまして、ごく最近本省に上がってまいりました。ただいま鉄道監督局において審査中でございます。
○久保委員 この会社は、すでに予算委員会でもお話がありましたとおり、免許を待たずして路盤を構築し始めたということでありまして、その中間において警告を発したというのでありますが、よろしくこれは法に照らして処断すべき性質のものではないだろうかと思うのであります。新幹線の妨害であるかどうかは別にして、免許申請中にもかかわらず、工事施行認可も受けずして――もちろん受けませんから。――それを路盤構築を始めたというのでありますから、当然これは法に基づいて処断をなし、その免許申請は却下すべき性質のものではないだろうか、かように思うのですが、いかがですか。
○広瀬説明員 名古屋の陸運局長から文書で工事中止命令を出しまして、これに従いまして会社のほうは工事を中止したということでございます。現在は工事を中止しておるという段階でございます。
○久保委員 鉄監局長は新任早々でありますから何でありますが、私がお尋ねしていることはそういうことではないのでありまして、地方鉄道法に基づいてまず処罰をしろということであります。
それから、当然そういう不当な行為をしたものについては、免許の申請は一応取り下げることが当然ではなかろうか、こういうふうに思うわけですが、いかがですか。
○広瀬説明員 法に従って処断するかどうかという問題は、十分に慎重に検討いたしたいと思います。
なお、そういうけしからぬ行為をしたからというお話でございますが、本省でいま審査中でございまして、十分慎重に審査をいたしておる段階でございます。
○久保委員 この伊豆箱根鉄道は、免許を受けずして、あるいは工事施行認可を受けずして着工したことは事実でございますね。そうですね。
○広瀬説明員 これはもう少しよく審査をしてみませんと、――どういう意図でどういうかっこうで工事をしたということをよく調べてみたいと思います。
○久保委員 ここに写真もございますから、この工事をしたことははっきりしているのではありませんか。ごらんになりませんか。ごらんにならなければ、この写真をお貸ししますからどうぞ、これとこれです。
○広瀬説明員 ただいま申しましたように、私まだよく――いま写真を見せていただきましたが、私自身まだよく検討しておりませんので、鉄監においていま十分に検討しておりますので、その上で結輪を出すつもりでございます。
○久保委員 政務次官、あなたも御存じないと思うのですが、これはもう工事を始めたというのです。一部は路盤が完成したのです。ここに道路がございます。道路に渡すところの橋げたはこの上に乗っかっているのです。かけるばかりになっている。この工事をしたいきさつについて調べてはおらないのでありますか。なぜ工事をしたか。ただあなたがおっしゃるとおり、書面で警告を発したということでありますが、書面で警告を発したからには、いわゆる工事を始めたから警告を発したと私は思うのですね。だというならば、何がゆえに工事をしたのか、これはお調べにならなかったのですか、いかがです。
○大石(武)政府委員 ただいま鉄監局長のお答えしたとおり、いま実態を調べておりますので、もう少し実態がわかりましたならば正確な内容と方針についてお答え申し上げたいと思います。ただ、警告を発したゆえんのものは、おそらくこうだと思います。鉄道建設の申請をしておる、そしてどうも鉄道建設に類似するような行為があったので、許可を得ずしてそのようなことをしてはいけないから、鉄道建設ならばそういうことをしてはいけないのだぞという警告を発したのだろうと私は考えます。処分とかいろいろな問題もございますが、それはやはりそれだけの法的な事実と根拠をつかまなければ、なかなかそういうことはできませんので、十分にこれを検討いたしまして、そのような場合にはしかるべき措置を講ずることになると考える次第であります。
○久保委員 鉄道の建設工事でなければ、陸運局はこれに対して警告を発する権限は何もありませんぞ。そうでしょう。たとえばそれが道路であるとかあるいは何か堤防であるとかいうことなら、陸運局長がこれに警告を発する権限はどこにもないのです。鉄道なるがゆえに――実体は鉄道の路盤です。はっきり言って路盤です。だからその辺は、いままでお調べにならぬというのはおかしいです。いかがですか。
○大石(武)政府委員 いまその係官が参りまして、詳しいお答えをすると思いますので、ちょっとお待ち願いたいと思いますが、当然考えれば、警告を発したことは、鉄道の路盤をつくっておるように感じられるので、私はそのような法律を犯してはいけないという意味で、万が一犯してはいけないという意味で警告を発したのだろうと思います。もう少し詳しいことは、いずれ係が参りまして詳しく内容を御報告申し上げます。
○久保委員 これは幾ら国会の論議でも、あまり持って回ったようなお話はもうやめたほうがいいと思うのですよ。鉄道建設にどうもなりそうだということで警告を発するという程度のものではないのですね。実際いって。申請をしていて、しかも非公式な話では、いわゆる東海道新幹線の横断をこれによって阻止しよう、もちろん話によってはということでありましょうが、そういう話が事実あったでしょう。お聞きになりませんか、いかがですか。これは国鉄から聞いたほうがいいです。いかがですか。下土狩の問題については、国鉄に従来どういう話がありましたか。いわゆる廃線敷の路盤、これを横断するについて、伊豆箱根鉄道との間の交渉はどうなっておるか、今日ただいまではなくて、いままでの経過はどうなっておるか、中畑さん、お知りでしょう。
○中畑説明員 新幹線の工事につきまして、その廃線敷を通る計画になっておりますので、会社に申し入れをいたしましたところ、会社側のほうで免許を受けて御殿場線のほうへ鉄道工事をやる計画があるのだということで、会社のほうの申し入れがございました。
○久保委員 政務次官並びに鉄監局長、いま中畑幹線局長が言うとおり、伊豆箱根鉄道からは国鉄に対して、ここは免許を受けて鉄道を引っぱるから、そういうことになっておるからという話があったという。これは明らかに鉄道です。それでそこへ構築物をこしらえているわけです。廃線敷のままならいざ知らず、新しく廃線敷をあんこにして路盤を高くしておるわけですね。しかもこれは東海道新幹線よりははるか高く構築しているのです。新幹線の通過はわかっておるので、純粋にこの伊豆箱根鉄道をつくるというならば、新幹線の下をくぐらせるとかあるいはそれ以上の上にするかということでありますが、この写真でごらんのとおり、これは全然そういう意図はありません。これはもう単なる通せんぼうです。だからいまの中畑局長の証言のとおり鉄道建設なんです。鉄道建設の意図を持っているものを、どういう意図かわからないからということでは、これはどうもおかしいと思うのです。だから一つには、名古屋の陸運局長から文書によって警告を発した。それはいわゆる陸運局長の権限からいって、片方では事実免許申請を出しておる、免許申請を出しておるから陸運局長もこれを鉄道と認めた、だからこれはちょっと待て、免許を受けてないということになる。いまの中畑局長の話でも、ここは免許を受けて鉄道を敷くのだ、こういう話です。だから免許を受けずしていわゆる鉄道建設にかかっておるのでありますから、これは当然処断しなければいかぬ。何もふしぎはないのです。それを陸運局長から上がってきたからいまは鉄監の中で調査中だ、審議中だとかいうのは話がおかしいのです。審議中はいいとしても、第一段階としては地方鉄道法によって、これは処断しなさい。いかがですか。やはり法は明らかに適用すべきです。もっともたいした処罰じゃありませんよ。罰金にしてもこの会社にとればスズメの涙以下ですよ。しかし処断は処断です。しなければいかぬです。いかがですか。やってください。
○大石(武)政府委員 これは久保委員のお説のとおりでございます。おそらく名古屋の陸運局でも、これはどうも鉄道建設の路盤工事であるというような大体判定をしましたので警告を発したのだろうと思います。そのことにつきましてはその一切の関係の書類が最近こちらへ上がってまいりましたので、先ほど鉄監局長から答弁申し上げましたように、十分に検討いたしまして正しい筋に持ってまいりたい、こう考えております。
○久保委員 正しい筋というのは、私が言うことがまず先だろうというのです。免許するかしないかはそれからの話です。私はその免許申請を取り下げろ、却下しろというのです。それはまだ第二の問題です。まずもって免許を受けずして構築が始まったのですから、これは押えるのが当然だし、処分するのが当然だ。そんなことをやっていいんですか、それはどうなんです。だからこれは処断することがまず先決ですよ。その次には、私の言うとおりこういういわゆる免許申請を却下しろというので、これはいかがですか。
○大石(武)政府委員 この問題につきましては、いま所管がかわりましたが、前の民鉄部長にお答えさせたいと思いますが、しかしその趣旨はおっしゃるとおりだと思います。そういう二つの段階に分けることもお説のとおりでありますが、それもやはりしかるべき手続によりまして――と申しますのは、一応そのような疑いがあるというので陸運局長の手によって警告を発してその工事を押えたのでありますから、工事はとまっておりますから、あとはそのあと始末の問題でございます。その問題につきましても、かりに処分するにしましても、官僚独善でないように、十分に処分し得るような法的な根拠なり結論が出なければできませんから、そのようなことをいま検討しているわけでございます。なお、詳しいことにつきましては前の民鉄部長にお答えさせたいと思います。
○佐藤説明員 伊豆箱根の申請につきましては、御説明があったと思いますが、現在地元の陸運局で調査をして、調査書を申達するという段階になっておるわけでございます。その前に、実は線路用地の路盤工事というようなものが行なわれておるという現地からの報告がありましたので、名古屋の陸運局長は、これは地方鉄道法に違反の実態を生ずる危険があるから即刻中止すべきであるという警告を発しまして、その状態は中止をされ、会社から工事をやめましたという報告を受けておるわけでございます。したがいまして、現在の免許申請の取り扱いといたしましては、地方鉄道法に、ある欠格要件によって直ちに却下をするというような特別の規定がございませんので、申請書を本省に上げて、実態的審査をしてから後に、運審等の所要の手続を経て、免許の許否を決定するというのが現在の手続上は必要なことであろうかと考えて、私の在任中はそういう考え方で事務の取り運びをしておった次第でございます。
○久保委員 そういうめんどうな手続をやっていては、能率的な仕事ではないと思うのです。もっとやることはたくさんあると思うのですよ。そんな児戯に類したことにえらい人が手数をかけて、時間をかけてやる暇があるなら、もっと庶民に直結した幾多の仕事があると私は思うのです。こんな愚弄した仕事にきまじめに取っ組んでいくこと自体に私は問題があると思うのです。そんなものはやめたらいいです。そんなものは審議もへちまもありませんよ。なぜならば、東海道新幹線は、ちゃんと路線をきめて、国鉄からあなたのほうは申請を受けて認可しているんじゃないですか。そこへもってきて、こういう路盤工事をしてどうなるかということは、これは大体三歳の子供でもわかるはずです。こんなことで判を幾つも押したり、運輸審議会にかけたりして何になるのです。まず第一に処分しなさい。地方鉄道法三十八条によって百円以上二千円以下の罰金、大したことはございませんけれども、やはり法は正しく運用すべきだ。こんな子供のやるようなことにかかずらわっている手は、実際言ってないですよ。しかもこれは国鉄に聞くが、こういうものをやられながら、今日までべんべんとしているとは何だ。運輸省に注進したのか聞きたい。やり始まったら必ずやる、その交渉の過程でもはっきりわかるわけです。それをここまで路盤工事が進むまで黙っていたのかどうか聞きたい。いかがです。
○中畑説明員 折衝が難航をきわめるようになりましてから、運輸省にも御連絡申し上げまして御相談いたしました。
○久保委員 それはいつのことですか。
○中畑説明員 昨年の秋ごろだったと思います。
○久保委員 昨年の秋にはこの路盤はもう完成していた。そのときに初めて文書によって陸運局長が警告を発しているが、工事はどんどん進んできた。そうして昨年の秋には完成していた、そうでしょう、いかがですか。
○中畑説明員 会社のほうで御自分の用地にどんどん工事をやり始めておりましたことは、現地の幹線工事局の担当の者は知っておりましたけれども、私どもからああだこうだと言う筋合いのものでもございませんので、会社との折衝を続けるということのほかなかったような次第でございます。
○久保委員 そこに国鉄の卑屈さがある。会社の交渉はもっと前から始まっている。それで先ほどのお話のとおりになっているわけです。そこで路盤工事が始まっていることは事実です。いかがかと思うのではなくて、自分の身に振りかかる火の粉でありますから、しかるべき筋のところに注進に及ぶのが当然じゃないですか。それを黙って見ていて、路盤が完成してから初めて運輸省に行って、運輸省から警告を発してもらって何の足しになりますか。全体的な日本の経済から見ても、新幹線がだめになるか、伊豆箱根の路盤工事がだめになるかどっちかですよ。こういうむだな投資が、国家的見地から許されるかどうか。それを黙って見ていたところに私は国鉄の卑屈さがあると思う。運輸省もそのとおり、ただ単に法規によって、法規も正しく運用はしない、まあ見ていようか、そのうち何とかかっこうがついたら、警告でも発しようかと思っているのではないかと思う。どうなんです。すぐ処分しなさい。まず処分が先行だ。地方鉄道法三十八条によって処分する。その次に免許はもう審査の必要なし、却下。これが免許できますか。新幹線を中断するか、免許するか免許をやめるかどっちかですよ。こんなものを何も審査の必要はない。いまの路盤の形で下土狩線ができて、新幹線ができると思っておりますか。できないじゃないですか。そんなことで陸運局長がじんぜん日を送って、最近本省に上げてきた。断じてこれは許されない。やめさせなさい。政務次官、いかがでしょう。
○大石(武)政府委員 久保委員の御趣旨を十分に尊重いたしまして善処いたします。
○久保委員 ことばを返すようで失礼ですが、実際これは尊重するじゃなくて、尊重もへちまもないですよ。ここではっきり言明してほしい。国家的な経済からいってもこれはやめさせるべきだ。法を正しく運営するためにまず第一に処分する、これはだれに聞かれたってあたりまえですよ。
○大石(武)政府委員 久保委員のお話よくわかります。個人的に私どもは政治家としてはいろいろな意見も考えもございます。非常に同感するものはたくさんございます。しかしやはり行政というものは法律に従って、法律に準拠して行なわなければなりませんから、その手続を経てからしかるべき処置を講じたいと思います。
○久保委員 手続を経ることはけっこうです。尊重してじゃなくて、それは処分をし処罰することを前提にして、いわゆるあなたの手続を踏むことでありましょう。だから御答弁いただきたいのは、そのとおりだと思います、やります、しかし、それには手続が要りますから手続を踏みます、こういう御答弁をいただけばけっこうですよ。
○大石(武)政府委員 どうもこれはことばの上の使い方の違いだけだと思いますが、十分に御趣旨を尊重いたしまして、われわれの法的にできる範囲内の処置をいたしたいと思っております。
○久保委員 とにかくこういうことを各所にやられていたのでは、新幹線などは所期の目的どおりにはできないのはあたりまえですよ。
そこで総裁に一言申し上げたいのでありますが、世の中には数多い人間がおります。(「そんなのは少ないよ」と呼ぶ者あり)いま關谷委員からちょっと不規則発言がありましたが、なるほど数少ないものでありましょうが、そういうものがえてしてこういうことになるのであります。もう少し国鉄は、もっと自主性と積極性を持って勇敢にやるべきだと思うのですが、いかがでございましょうか。
○石田説明員 御趣旨の点は私も同感であります。法において許される範囲内においてできるだけのことはいたしたいと思います。
○久保委員 いずれにしても、これは政務次官、あなたにこの問題でいろいろ問い詰めてもどうかと思うのでありますが、私ははっきり申し上げます。まず第一段階として三十八条の処分をすること、第二段階は手続を経たならば却下の方針で手続を踏むこと、これが至当と思いますので、くどいようでありますが、念のために申し上げておきます。これはいずれ近いうちに処分が決定されると思いますから、当委員会に御報告をいただきたい、かように思います。もちろん会期中にでございます。こういうのはあまり日にちはかからぬでよくわかることでありますから、どうぞそういう点でお願いいたします。
そこで最近のこの地点の伊豆箱根との交渉はどうなっておるか、これは国鉄からお聞きします。
○中畑説明員 最近話が振り出しに返りまして、比較的順調に話し合いが進んでおります。まだ妥結の運びには至っておりませんが、何とかまとめることができるのではないか、そういう見込みに立っております。
○久保委員 もっと詳しく述べてください。
○中畑説明員 ただいまお答えいたしましたように、最近なりまして会社との話し合いが振り出しに戻ったと申しますか、国鉄が当初計画いたしておりました工事の計画で了承してよろしいといったような考え方に会社がなってまいりましたので、その線でもってただいま折衝を続けておるという状態でございます。
○久保委員 この問題については、向こうから折衝の値段は、どのくらいの値段でお譲りしますとか、出ましたか。
○中畑説明員 私のほうから交差になります廃線敷の用地を使用いたしますことになりますので、その用地の地積に対応する値段といたしまして六百万円程度の値段で用地の買い取りをいたして工事をいたしたいという申し出をいたしてございます。
○久保委員 それは国鉄から六百万という話ですか。
○中畑説明員 そのとおりでございます。
○久保委員 それは何平米ですか。
○中畑説明員 ただいま地積の数字をはっきり記憶しておらないのでありますが、その辺の類地の地価と大体同じ値段にいたしまして計算いたしましたものが六百万円程度の金になるのではないかと思います。
○久保委員 そのときの条件は、いま構築された路盤についてはどうなっておりますか。
○中畑説明員 先生のお話の路盤は会社がかってにやったものでございますから、私のほうには何らの関係がないものと承知いたしております。
○久保委員 いや、何らの関係がないじゃないでしょう。金をかけた構築物が前にあるのですよ。これに対しての賠償なり取りこわしの費用とか、そういうものはどうなんです。
○中畑説明員 会社からそのほうの補償についての要求が出ておるように聞いておりません。
○久保委員 当該地点はいわゆる築堤によっておやりになるのか、それとも高架ですか、どちらですか。
○中畑説明員 高架でございます。
○久保委員 高架というとどの程度の高さですか。
○中畑説明員 その通過いたします地点に下のほうに道路がございますので、たしか九メートルくらいのかなり高い高架になるものと存じております。
○久保委員 当該地点に道路はあるけれども、私がさしておる当該の伊豆箱根の路盤のところは道路はありません。その地点はどうなるか、聞いておるのですよ。
○中畑説明員 その地点は、先ほども申し上げましたように、会社が工事をいたしましたそれとは関係なく、当初国鉄が計画いたしました工事計画で工事を進めるということで会社に申し出をしてございます。会社のほうもその国鉄の原案で考えてみようという話し合いで、ただいま折衝を進めておる状態でございます。
○久保委員 そうしますと、その路盤についても、将来折衝の過程では、補償なり何なりを要求される見込みはありますか。
○中畑説明員 会社からは格別の要求が工費担当の幹線工事局にただいまのところ出ておりませんので、おそらく話は出ないのではないかというふうに判断しております。
○久保委員 それはたいへんすなおな話です。すなおな話の裏には来宮の鉄道用地の問題がからんでおるそうですが、そうですか。
○中畑説明員 来宮の用地問題は、その件とは全然別個の問題としまして、会社のほうで使いたいという申し出はあります。
○久保委員 この来宮のほうはそれじゃ会社の申し出どおり認める方針でございますか。
○中畑説明員 ただいまのところ検討いたしておりまして、まだ結論を得ておりません。
○久保委員 大石政務次官にお尋ねするわけでありますが、この下土狩線と来宮の鉄道用地の問題を相関関係をつけまして、それで下土狩のほうは国鉄の大体要求どおりに折り合おう、しかし来宮のほうは用地は払い下げる、こういう運輸大臣のメモがあるそうでありますが、そのとおりですか。
○大石(武)政府委員 そういう話は聞いておりません。
○久保委員 メモは別として、そういう話を聞いたことはございませんか。
○大石(武)政府委員 そういううわさは聞いたことがございますが、われわれはそういうことは別に考えておりません。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/046/0106/04604140106018c.html
昭和三十九年四月十四日(火曜日)
○押谷委員 この新幹線の工事につきまして、どうもこれも西武鉄道の関係だと思われる問題で、静岡幹線工事局内における問題が一つあります。これは三島駅付近の下土狩における伊豆箱根鉄道株式会社所有にかかる伊豆へ行く廃線の鉄道があります。これを、昭和三十七年四月二十五日に名古屋鉄道管理局を通じて三島-下土狩間の一・七キロメートルを復活して軌道を新設したいという申請が出た。この敷設したいという路線は、たしか新幹線と交差するところがあるのじゃないかと思いますが、そういうことについては出ておりますか。
○石原説明員(日本国有鉄道常務理事) お話のございましたのは、下土狩の伊豆箱根鉄道の廃線敷復活の問題だと存じます。これにつきましてのいきさつを申し上げます。
結論を申し上げますと、これはこちらの言い分どおりに押し切りましたが、これは勝ったことになります。御承知のように昭和六年にあれは廃線になりまして、いままで下土狩の――当時の東海道本線に乗り込んでおりましたのが、丹那トンネルが通りまして三島に乗り込むことになりまして、三島-下土狩間の向こうの線路は廃線になったものであります。その当時におきまして、国鉄といたしましては二十万円を会社に交付いたしております。その後に新幹線の工事が進むようになりましてから、その廃線を復活して、もう一度下土狩を通って吉原のほうへ行くという鉄道の認可を伊豆箱根鉄道が持ち出しまして、その認可を待たずに相当高い築堤の工事を始めました。廃線敷の土地はそのまま西武系の伊豆箱根鉄道が持っておったのでありますが、率直に申し上げますと、非常にりっぱな築堤をつくりまして、高さもちょうど新幹線と同じくらいの高さにずっと築堤をつくりました。それに対してこちらが通過する路線も協議いたしましたところ、非常に高い金を出してまいりました。こちらといたしましては、三島の駅には車両の留置線を置きまして、それからまた軌道用地もございます。それらの関係からそう高くは――三島の駅を出てすぐのところでございます。向こうがもしそれを築堤にいたしますと、これを乗り越すという設計がこちらはできませんで、したがいまして、その下をくぐるということにいたしまして、向こうの築堤をもっと高くして向こうの下をくぐるというようなことで交渉をいたしたのですが、この場合にも六億円というような程度の金が要る、その程度でずっと先のほうからつけかえをしてこなければならないというようなことで、容易にこちらの協議に応じないという状況でございます。反面そのときに――三十七年十一月でありますが、名古屋の陸運局長から伊豆箱根鉄道に対して、免許申請して、まだ工事の認可もしていない線路の工事を始めるのは独走のそしりを受けるもので、厳に戒めなければならないという厳重な注意がまいりました。それからまた国鉄といたしましても、その後近江鉄道の問題などが非常に国会の議にのぼりますし、世論の批判も受けましたりいたしまして、私実は昨年の五月からこちらのほうを担当することになりましたが、五月の二日に公文書でもって、これを譲り受けたい、それについてはその用地代として五百二十何万円を支払うということで譲ってもらいたいというのを工事局長名で公文書を出しまして、同時に収用法を前提といたしまして事業認定を受けまして、両方並行して進めております。そのために先方もこれはいかぬと考えたのでありましょう、昨年の八月の十日にこちらの提示額のとおりに五百二十八万五千八百四十円で、こちらは所定の高さのままで向こうへ通していく。向こうの築堤は全然意味のないことになりますが、こういうことでこれは解決をいたしまして、すでにこの工事は完成しております。これは勝ったほうであります。
〔委員長退席、勝澤委員長代理着席〕
○押谷委員 伊豆箱根鉄道関係におきましては、国鉄のほうが勝利をおさめたことはまことに愉快にたえないことですが、ここでお聞きしたいことは、伊豆箱根鉄道が築堤をいたしますその前か、あるいは鉄道敷設の申請をする前後において、国鉄は新幹線の敷地として買収の申し入れをしていらっしゃるはずなんですが、その買収の申し入れの時期と彼らが築堤を始めた時期と、その時の関係はどうなっておりますか。
○廣瀬政府委員(運輸省鉄道監督局長) ちょっといま手元に資料がございませんが、至急調べて御報告いたします。
○押谷委員 私の手元へ提出を願っております資料によりますと、大体時を前後してこの買収の申し入れがある。もちろん伊豆箱根鉄道の関係者は、国鉄新幹線はこの伊豆箱根鉄道と交差するものであるということは、これは常識上十分知らなければならぬはずだと思うのです、この人もやはり鉄道の関係者なんですから。そういう鉄道経営者であり、交通運輸の関係者であるものが、ここに新幹線が通るのであり、それと交差する線がある、そうしてその交差部分について国鉄は譲ってくれという買収の申し込みをしている、この場合にそれに対して知らぬ顔の半兵衛でここへ築堤をするということ自体が、それはたいへん大きな妨げで、いわばやくざの妨害、やくざの脅迫というような事柄をやっているのです。私は、幸いにこの点は国鉄の言い分が通って伊豆箱根鉄道が後退をしたのですからいいようなものの、こういうことをやってはたして世間で許されるのかどうかというと、全く憤慨にたえぬ。大きな金をかけて築堤をして、これを何億で買え、おれのほうの営業を妨害するのだ、許可を受けないで勝手に築堤をして、そこへ向かってくる国鉄の工事を妨げようとする、この魂胆につきまして私は許しがたいものがあると思うのですが、運輸省の関係におきまして全体の交通運輸の事業をごらんになっているのですが、こういうことについてはこのままに看過するといいますと語弊があるかもわかりませんが、看過せられるよりほかに道がないのか、それとも重大な警告でも発せられるという道を講ずべきではないかと思うのですが、それはどうでしょう。
○廣瀬政府委員 いまお尋ねのございました点につきまして私どもきわめて遺憾だと存じております。私どもも現地のほうからただいま御質問ございましたような情報を得まして、名古屋の陸運局を通じまして再三厳重にいろいろ注意をいたしました。途中でいろいろ経過はございましたが、結果においてはやっと私どもの言うことを聞いたわけでございます。こういった点は非常に残念でございます。今後とも私鉄一般につきましては、法規に従って事を処理するように十分注意してまいりたいと考えております。
(略)
○押谷委員 (略)
新幹線の送電線の問題について、箱根の地区で国土計画興業株式会社の所有地を送電線が通過をしたということがあると思うのですが、この箱根の国土計画興業株式会社――なかなか名前がでかい名前なんですが、この会社所有地の箱根で送電線の塔を建ててやったのですが、これはスムーズにできておりますか、あるいは工事に非常にお困りのようなことがなかったですか、一応お伺いします。
○石原説明員 お答えいたします。
これもうまくいきましたほうでございまして、だいぶん支障はございましたのですが、折衝の結果承諾を得まして現在工事を進めております。このいきさつを申しますと、これも御承知と思いますが、新幹線は六十サイクルの交流を使いますので、富士川から東のほうは五十サイクルの電源しかございませんので、買電をいたしまして、これを六十サイクルに直しました高圧線を一本通さなければ新幹線が運転できないというはめになっております。それで富士川から東京の近くまで高圧線をずっと引いてまいります途中で、どうしても国土計画興業の敷地を通さなければならないという事態になりまして、これも折衝いたしましたがなかなか話に乗りませんで、長い間かかりましてやっと案をまとめたのでございますが、一応の案を電気工事関係の局長と国土計画興業とできめましたあとで、西武鉄道系からこの線は観光開発上障害があるから三年間だけただで貸す、けれども三年以上の契約はしないという申し入れが昨年の十月にございました。それで直ちに理事会にはかりまして、こういう重要な東海道新幹線の電源を運んでくるものに対して、しかもこれは二年越しで折衝してきめたルートに対して、三年の期限のついた契約というようなことには応じられないし、それからただで貸すと言われてもこれはただでは借りられない。これは土地自身といたしましては、電柱を建てるのが十一基だったと記憶しておりますが、十一基の電柱の基礎とそれから線下補償の問題だけでございますけれども、三年後にどうなるかわからぬというようなことでは応じられないということで強硬に西武系と折衝いたしまして、直ちにこれも事業認定を受けることにいたしまして、一方において収用法発動の手続をいたしまして期限を切って折衝いたしました結果、起工承諾を受けまして工事に着工いたしました。現在はもうほとんど完成いたしております。ただしまだ正式の契約は――このときは覚え書きをかわしまして、将来観光開発上必要があった場合は、そのルートを別のルートに変えることの交渉に国鉄は応ずるという覚え書きをかわしまして、着工いたしまして、すでに工事はほとんど完了いたしております。
○押谷委員 この工事に関してルートの変更をしたことはありませんか。
○石原説明員 これは何べんもいろいろなルートで変更をいたしまして、初めからでありますと、ずいぶん何べんも変更をいたしました。それで最後的にやっと落ちついたのが昨年の十一月だったと記憶いたしております。
○押谷委員 まあ国鉄の新幹線の工事なり運営に協力をしようとする人の態度としては、この送電線の塔をつくり、送電線を通すということについて、いろいろルートに注文をつけるまではよろしいけれども、三年間という期限をつけること自体がこれは無理で、国鉄の強腰の態度でもって、ついにここも大体目的を達成せられたことは喜びにたえませんが、しかしこういうことの折衝にあたって、何かほかに条件でもつけて、こうしてくれればまた便宜をはかるとかなんとかいうような、たとえば熱海の丹那トンネルのズリ捨て場がある、ああいうものを貸すとか貸さぬとかいうような条件でもついているのじゃありませんか。
○石原説明員 これは折衝の過程において、そういうものを条件として出してきた時期がございますが、それを条件として妥結したというわけではありません。ただし、これは高架鉄道の鉄道敷にこちらに貸してくれという問題が将来の問題として残ってくると思いますが、そうなりますればこれはその場合で考えなければならぬ問題かと思いますが、条件ということにはちょっとなっておりません。
○勝澤委員長代理 いまの西熱海の問題で関連をして御質問申し上げますが、条件にはなっていないけれども、その出されてきた条件については将来国鉄としては検討しなければならぬようなことになっているのですか、どうですか。
○石原説明員 ちょっと前の答弁を修正いたします。
御質問のありましたズリ捨て場の梅園の用地でございますが、これは「梅園附近の国鉄用地を伊東線の線増その他国鉄の事業に支障がない範囲において、地方鉄道法に規定する地方鉄道の用に供するための線路敷として、運輸大臣の許可を得た後売却するものとする。」という約束になっております。
○押谷委員 まあ、むずかしい文章を並べてのいまの御答弁でありますが、ここにもやはりごね得の一つのあらわれがあるのじゃないかと思うのです。そのズリ捨て場というのは梅園ですか、相当問題のあるところでありまして、これを政府の関係で使うか使わぬかということは問題なんです。相当の大きな利益があるのです。その利益を提供することが、一つの送電線の、架線の通過、鉄道の建設に条件を付せられたようになると、やはり一つの妥協にあたってのごね得があらわれているような感じがいたしますが、そういうことのないように、国鉄の財産を国鉄の利益のためにはあくまでも確保する、一部の権力者のごね得は許さないというき然たる態度をもって臨んでもらいたいと思います。これはまだ未定の問題で、これからの問題にかかっておりますが、そこを私鉄の認可を得、私鉄の用に供するという条件はありますけれども、そういうことで、他にまた適当な口実等を設けて観光用ホテルの施設に使うとかあるいはケーブルカーの建設に使うとか、何かそういうことでどんどん使う道を考えるかもしれない。そうなると、架線を、送電線を通すという条件に大きな利益を与えたということになりますと、やはりゴネ得ということが考えられる。その点は特に御注意を願いたいということを希望いたしておきます。
(略)
○廣瀬政府委員 先ほどお尋ねがございました国鉄から伊豆箱根鉄道に買収の申し込みをいたしましたのが、三十七年の三月三十日、伊豆箱根鉄道から名古屋の陸運局へ鉄道敷設免許申請がありましたのが、三十七年四月二十五日でございます。
○勝澤委員 あまり時間がありませんから、なるべく簡単にお伺いいたしますので、答弁のほうも簡単にお願いしたいと存じます。
最初に、先ほど押谷委員が箱根の送電線の関係で、この送電線と西熱海ホテルですか、この用地とが条件になっていないのかどうか、こういう質問があったわけであります。資料をいまいただいたのを読んでみますと、国鉄のほうが熱海の梅園付近の用地を貸してやる、そのかわり送電線やら、あるいはまた大雄山線の、この辺の線路を通ることについて了解する、こういうように書面がなっておりますが、この書面どおりなんでしょうか。
○石原説明員 さいぜんの答弁、ちょっと勘違いいたしましたので、訂正いたしたいと思いますが、昨年の二月に、新幹線その他の整備に関係いたします諸問題と、それから梅園の土地の貸し付け等につきまして覚え書きをかわしております。この梅園の土地のいきさつを申し上げますと、駿豆鉄道と申しました時分に、昭和二十七年八月に、来宮から十国峠に至ります鋼索鉄道を敷設するという認可を、当時の駿豆鉄道、いまの伊豆箱根鉄道がとりまして、それに伴って用地を、この場合は借りるのでございますが、貸してくれということで、よろしいという返事をいたしたのでございます。ところが、その後になりまして一向に施工をいたしませんでしたので、これは新幹線のズリ捨てをするのにその土地を使う以外に方法がありませんので、またそのときにはそのズリ捨てに使うぞという条件がつけてございましたので、三十三年の十二月になりまして、東鉄局長から、使用最中の国鉄用地は三十四年度から国鉄が工事を再開する新丹那トンネルのズリ捨てに使うから、三十四年一月三十日限り使用承認を取り消すという通告をいたしました。それに対しまして、伊豆箱根鉄道から抗議を申し込んでまいりまして、ついに三十四年八月に、静岡地方裁判所の沼津支部に、占有妨害禁止仮処分命令の申請というのを伊豆箱根鉄道でいたしましたが、続いて十月十日にはその仮処分申請を取り下げております。そういったようないきさつになっておりまして、伊豆箱根といたしましては、この工事の着工が非常におくれておりましたが、もし工事認可を受けて着工する場合には再びこれを貸してくれというのが向こうの言い分でございます。これに対しましては、その前に過去いきさつがあるというばかりではございませんで、もし、ルート認可も得ますし、工事の認可も運輸大臣から得られました暁におきましては、ほかにルートがおそらくとりにくいと思いますので、その場合にはこれは協議に応じなければならないかと思います。これはあまり利権とか非常な利益とかいう問題ではありませんで、当然それに見合うだけの正当な時価で土地を売り払うということになりますので、特別の利権を与えたとか特別の利益をあらかじめ約束したとかいうことにはなるまいかと思います。
○勝澤委員 伊豆箱根鉄道はそこに何をつくろうとしているのですか。
○石原説明員 お答えいたします。
これは、昭和二十七年に届け出ましたときには、熱海市来宮――十国峠間の鋼索鉄道敷設ということで認可を求めております。その後、この鋼索鉄道が非常に急勾配なので、その認可についても運輸省で疑義を持っておられたような話も聞いておりますが、いずれにいたしましても着工が非常におくれておりましたので、いまのような取り消しというところまでまいったわけでございますが、何でもいま聞いておりますのでは、従来の鋼索鉄道と設計を変えまして、新しい方式の登山鉄道で認可を求めるつもりだというようなことを聞いております。
○勝澤委員 そうすると、これはあくまで鋼索鉄道なりその鉄道に関係があることをやるのですか。
○石原説明員 当然さように了解しております。鉄道に使う用地だけを売り払うということに考えております。
○勝澤委員 相手は国鉄よりも、極端に言いますと、一枚上手の人物ですから、何をやらすかわからないと思うのですよ。この文書を見てみますと、これはあとでたいへん問題になると思うのです。ここ二、三年あるいは四、五年、これを見ますと、二十七年からの問題ですから、問題になると思うのです。ですから、これはやはりもう少しいまの段階できっちり詰めた意見にしておいていただきたいと私は思うのです。そうしないと、運輸大臣の許可があったら、必ずこれは売却するものとする、売り払う、売ったということになっているわけですから、許可があって売り払った、その売り払ったあとどうするかというのは、これまた問題なんです。ですから、これはやはり使用目的にきっちりついた、かりに売らんとするならば、それが実行されない場合には、また取り立てができるようなしかたをしておいてもらわないといけないと思うのですが、そこまでお考えになっておるでしょうね。
○石原説明員 これは私が締結した条文ではございませんが、これは私取りかわした文面をその後見まして、大体抜けがないのではないかと実は思っております。それがいかに老獪に解釈されましても、大体だいじょうぶだろうと思うのでございますが、それは「甲は、乙に対し熱海市梅園附近の国鉄用地を伊東線の線増その他国鉄の事業に支障がない範囲において、」ということが一つの条件、「地方鉄道法に規定する地方鉄道の用に供するための線路敷として、」というのが一つでございます。それから「運輸大臣の許可を得た後売却する」こういう条件になっております。線路敷に、カッコで条件がついておりまして、「最小限度の附帯施設を含む。」となっております。したがって、これはほかのものにはこちらは売らない。運輸大臣の許可を得た後に、地方鉄道法に規定する地方鉄道の用に供するための線路敷(最小限度の附帯施設を含む。)としてだけ売るのだ。こういう相当厳密な条件がつきまして、さらに伊東線の線増その他国鉄の事業に支障がないという条件をもう一つつけております。いかに老獪にかかってきましても、これで大体抜けが――そうやられることもないのじゃないかと思います。
○勝澤委員 それは「運輸大臣の許可を得た後」となっておる。運輸大臣の許可とはいつの時点かということです。
○石原説明員 これは工事認可の許可を得たということだと思います。
○勝澤委員 工事認可を得なくとも工事を行なったことの経験のある会社なんですね。ですから、法律がどうあろうと、こうあろうと、とにかくやって、負けたら裁判を下げればいい。元っ子だ。かかった分は国鉄が補償してくれる――補償したかどうかよくわかりませんけれども。ですから、ここで運輸大臣の許可を得た、運輸大臣が許可をした、実際には工事認可の許可を得たけれども工事が行なわれなかった、行なわれなかった場合においては当然これは国鉄が買い戻すのだ、その辺ははっきりしたことをしておいていただきたい。これはかつて国有財産の処理で大蔵省にあった例ですから。売った、一週間たって転売された、買い戻しができないという例が現実にいま起きているわけですから、ひとつ国鉄の参考のために。それくらいでこの問題は終わっておきます。
次に、ただし来宮構内について貸し付けるものはそのままだ。来宮構内では何を貸し付けておるのですか。
○石原説明員 これは、この前の計画でございますと、向こうの鋼索鉄道の終端の停車場を駅の前につくるようなことになっておりました。この場合にはこちらの鉄道の将来の計画とも関連いたしますので、売却をしないで貸し付けだけをするという契約になっております。
なお、一言申し落としましたが、国鉄の用地を売却いたします場合には運輸大臣の認可を受けることになっております。したがいまして、工事施行の認可が運輸大臣から向こうにおりまして、こちらが売却の価格その他全部交渉が済みますれば、運輸大臣の認可を得て売却するということになります。
○勝澤委員 そこで、次に、別紙二の覚え書きというのがありますね。別紙二の覚え書きの中で見ますと、先ほども言っておりました「将来乙の観光開発計画の実施に伴い乙の要請により前項の施設の変更を必要とする場合は、友好的に両者、誠意をもって協議する。」これはこの一札が入っておるわけですね。しかし、これを別紙一の二月の四日に結んだ覚え書きにつけ加えて八月の二十九日に結ばざるを得なくなったということは、どういうわけですか。二月の四日の覚え書きで明確になっているわけですから、その明確になっているのへ八月の二十九日にプラスアルファをして、あなたのほうで、必要なときには相談に乗りますよ、相談に乗りますよと言っておりながら第一の覚え書き、これでは梅園付近の問題がひっかかるじゃありませんか。これは両方とも、また片一方でおどかされてまた今度はこっちのほうを譲るということになるじゃありませんか。そこはいかがですか。
○石原説明員 お答えいたします。これはさいぜんもちょっと申しましたように、あそこは観光開発の計画を持っております。これは事実持っておりまして、すでにゴルフ場だとか、ヘルスセンターみたいなものをつくっております。そういったような場合に、景色をじゃまをしたとした場合にはルートの変更をすることについて協議に乗ってくれという申し出がございましたのです。さいぜん申しましたように、それは三年間の期限につきであるというようなことは、こちらがけとばしましたのですが、そういう期限なしに、一応つくったからには将来こっちは絶対にルート変更には応じないということではないのだということでございまして、この程度のことは向こうの希望を入れておいても、送電が途中で中断するという問題もございませんし、それから経費の問題につきましては当然原因者負担になるものと考えます。そういったような点がございますので、これはこちらが一度引いた送電線は、幾ら国土計画のほうで言ってきても絶対に変えてやらないといったような意地悪はしないということになりますので、こちらといたしまして格別将来の大きな負担になる問題ではございませんので、向こうの希望どおりに覚え書きをかわしまして、着工いたしたわけであります。
○勝澤委員 そこで乙の要請があった場合においては友好的に誠意を持って相談に乗らにゃいかぬ。相談に乗った結果、移転をするということになったら、原因者負担だから、この国土計画興業株式会社ですか、ここが負担をするのだということが、国鉄の態度ではっきりいたしました。はっきりしたけれども、友好的に誠意を持って協議するということは、ただ単なる期待だけであるということになると思うのです。期待権だけを持たしたために三億の補償をしたという例があるのです。これは一つ申し上げますと、電源開発株式会社が奈良県にダムをつくるときに、この道をつくりますという約束をしたわけです。そうしたら電源開発株式会社で計画が変更になったわけです。計画が変更になって、こっちへ行くからこの道路はつくらなくてもいいということになったわけです。しかしこの道路をつくるという約束をしたから、この道路をつくる補償をせよと言われて、三億円電源開発株式会社が奈良県に払って、奈良県は三億一般財源に入れた例があるのです。これは会計検査院の報告書に載っておるのです。あるいは国鉄も例があるのです。何も影響のないところに景色補償をしたという近江鉄道の例です。近江鉄道という会社と、このいまあなたがやっておる送電線の会社との関係は同じじゃないでしょうか。同じだとするならば、いまあったことがまた将来ないとはいえないと思うのですが、その点をもう少し明確にしておいていただきたい。
○石原説明員 お話のございましたように、近江鉄道は西武系の会社でございまして、近江鉄道に関する交渉は全部主として西武鉄道の社長がいたしております。したがいまして、これも全く同じ系統でございます。しかし少し違いますのは、国鉄が違っておりまして、今後はこれはあくまで相互に誠意をもって友好的に交渉するのでございまして、先方が友好的、好意的でございませんければ、こちらとしては決して友好的、好意的にやるつもりはございませんし、今後はさような言いがかりにつきましては、少なくともこの問題なんかにつきましては、こちらは近江鉄道の二の舞いをするようなことはいたしません。
○勝澤委員 近江鉄道と伊豆箱根、それから国土計画興業株式会社というものは、同じ立場にある人であるということが明確になりました。そうして伊豆箱根の三島から下土狩まで延ばすことについて、無許可の路盤工事を行なって鉄監局からやめさせられたわけでありますけれども、この用地は幾らでお買いになったのですか、最初の計画とむろん同じでお買いになったでしょうね。
○石原説明員 お話のありましたように、こちらの算定価格どおりに買収いたしました。数量的に申し上げますと、千四百九平米でございまして、五百二十八万五千八百四十円で買収いたしております。平米当たりにして幾らになりますか、これはこちらのほうで算定いたしまして申し出た価格でございまして、それをそのまま向こうが了承したわけでございます。
○勝澤委員 三十七年の三月三十日に用地の譲り受けを申し込んだときは幾らだったでしょうか。
○石原説明員 同じ金額でございます。
○勝澤委員 鉄監局長にお尋ねしたいのですが、この会社に対する処置は、具体的にはどういう処置をおとりになったのですか。
○廣瀬政府委員 先ほど申し上げましたように三十七年の四月二十五日に免許申請がございまして、もちろん免許をいたしておりません。それで通例鉄道敷設の目的がもうなくなったという場合には、従来運輸省のやり方といたしましては、却下という方法をとる前に免許の取り下げを慫慂いたしますが、目的もなくなったのだから鉄道敷設の免許の申請を取り下げてはどうかという話をしておりますが、いまだに取り下げてはおりません。
○勝澤委員 免許の申請があって許可がないうちに路盤工事だとか、こういうようなことをやることは、法律的にはどうなんでしょうか。
○廣瀬政府委員 これはたしかこの前の運輸委員会でございましたか、そこでもいろいろ論議をされましたが、私どもは明らかに鉄道工事であるというふうに考えましても、会社のほうではいろいろ鉄道工事ではないというような言いのがれをいたしまして、事実認定の問題でいろいろむずかしい問題がございます。それで私どもは明らかに鉄道工事らしいということで名古屋の事務局を通じまして、強く工事の中止を指示いたしました。先ほど申し上げましたように会社のほうでは鉄道工事ではないというような強弁を一応しておりましたが、終局的には私どもの言うことを聞きまして工事を中止したというのがいきさつでございます。
○勝澤委員 鉄道工事であったかなかったかというような問題、それから近江鉄道の問題、それから送電線の問題、会社が一つのようで都合がいいわけでありますから、これは次の機会に、決算委員会に関係者にきていただきまして、もう少しよくしっかりと確かめて、やはり正常な業務運営をやってもらうようにいたしたいと思います。そのときにまた対決をさせていただいて、十分ひとつ聞かせていただきたいと思います。
村雨哀歌-MurasameElegy-伊豆箱根鉄道駿豆線 旧線 【下土狩~三島広小路】
http://dateshigesane.jugem.jp/?eid=46
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