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2014年2月15日 (土)

成田山のモノレール未成線

運審第五号
昭和四十年一月二十二日 運輸審議会会長 谷村唯一郎
運輸大臣 松浦周太郎殿
答申書
成田観光開発株式会社及び成田山モノレール観光株式会社発起人代表小屋重信の地方鉄道(跨座式)敷設免許申請について
昭三九第三二三八号
昭三九第三二三九号
昭和三十九年十二月十一日付け鉄監第一、三三三号をもつて諮問された右の事案は、審議の結果、次のとおり答申する。
主 文
一 成田観光開発株式会社申請の新成田・新勝寺間二・四キロの地方鉄道(跨座式)の敷設は、免許することが適当である。
二 成田山モノレール観光株式会社発起人代表小屋重信申請の成田・成田山門前間一・〇キロの地方鉄道(跨座式)の敷設は、却下することが適当である。
理由
成田観光開発株式会社は、東京都に本社を置く資本金一千万円の会社で、モノレール事業、観光開発事業及び不動産の売買等を目的として昭和三十八年十二月設立されたものである。
その申請理由は、終点成田山新勝寺は不動尊の総本山として信仰の中心であり、参詣者は年々増加し、年間六五〇万人に及んでいる。しかるに参詣客の大部分が往復する成田駅・新勝寺間は、自動車と歩行者と交錯し、自動車の大型化に伴い、平日においても歩行者は軒下を辛うじて通行する実情で、交通行詰りの様相を激化しつつあるが、国道五一号線、船橋・成田間有料道路、国鉄線千葉・成田間の複線化等により、数年後には一千万人の参詣者が推定され、さらには、昭和四十三年三月の成田山千参拾年記念事業として大本堂建立と大開帳が行なわれ、参詣客の飛躍的増加が予想される。かかる情勢に対処するため、この区間に重複しない経路で跨座式鉄道を敷設し、参詣客のほか、一般観光客を、快適、安全かつ能率的に輸送し、交通緩和に寄与したいというのである。
成田山モノレール観光株式会社は、東京都に本社を置き、小屋重信外八名の発起人により資本金五千万円の会社を建立し、モノレール事業、観光開発事業及び自動車運送事業を経営しようとするものである。
その申請理由は、成田山に参詣する人々は年間一千万人を越え、同地区周辺の開発と電車等のスピードアツプ等を考えるときは、さらに増加する傾向にある。これについては、成田市及び成田山関係者も対策を研究中であるが、限られた路面上では、自動車の連続と人の波で、歩行者の安全は確保されない状態である。よつて、この交通の混雑を緩和するためモノレールを敷設し、成田山参詣客の安全輸送の役割を果たしたいとして本申請に及んだものである。
申請の内容を検討するに、成田観光開発株式会社は、建設費概算八一四、四八〇千円をもつて、単線のロツキード式モノレールを建設し、年間一、一〇〇千人を輸送し、収入一九六、八六五千円、支出一八一、五五九千円、益金一五、三〇六千円を計上しており、成田山モノレール観光株式会社は、建設費概算二六〇、〇〇〇千円をもつて、単線のアルベーグ式モノレールを建設し、年間六、一五四千人を輸送し、収入二〇九、九八六千円、支出一一五、一八五千円、益金九四、八〇一千円を計上している。
前者は、申請の規模、工事内容、輸送計画等を考慮すれば、建設費及び収支の見積りは、ほぼ妥当なものと思われ、資力信用、用地確保の具体策等を勘案すれば、成業の見込あるものと思われる。これに対し、後者は、事業計画、資金調達、用地の確保及び事業遂行能力等に不安が認められる。
成田地区にモノレールを敷設することは、道路交通事情の緩和及び観光開発の見地からその必要性は十分認められ、地方鉄道業として将来性あるものと思われるが、現状においては、両者をともに認める輸送需要に乏しいものと考えられる。
よつて、成田観光開発株式会社の申請は免許し、成田山モノレール観光株式会社発起人代表小屋重信の申請は、却下することが適当と認められる。


間もなく会社は解散しちゃったんだけどね。
免許は取得できたが、実際には敷設されなかったようで。
ロッキード式モノレールというとこいつか・・(姫路市モノレール)

(参考)広報ひめじ昭和39年2月15日号

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