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2014年10月11日 (土)

阪神高速道路が直結するはずだった新幹線大阪貨物駅

産経新聞の「半世紀残った“謎の高架橋” ひっそりと消える「幻の貨物新幹線」の残骸」の記事で一躍脚光をあびた新幹線大阪貨物駅関連の「遺構」について今更ながら書いてみる。

日本鉄道施設協会第28回総合技術講演会演題によると「三島貨物線高架橋の撤去」ということになるようだ。

撤去工事についてはJR東海職員による論文もあるようなので、ご関心のある方は是非深堀されたし。

「東海道新幹線工事誌」から該当部分の図面を引用してみると下記の赤丸部分の橋の準備工事だったことが推測される。

新幹線大阪貨物駅

今昔マップで見てみると、貨物駅相当の箇所が未利用状態だったころの写真等が見れる。

新幹線大阪貨物駅2

新幹線大阪貨物駅3

なお、東海道新幹線工事誌の「東京電車基地」の項では下記のように記してある。

東海道新幹線品川貨物駅

ところで、「新幹線の貨物輸送は世界銀行の融資を受けるためのフェイク」説があるようだが、上記の東海道新幹線工事誌では「貨物輸送は、開業当初には行わないことになった」としか書いていない。

 で、今までの「貨物フェイク」論争に一石を投じてみたいのだが、実は阪神高速道路の当初計画路線には、名神高速道路茨木IC~新幹線貨物駅~大阪市内を結ぶ計画があったのである。これは「貨物はフェイクじゃなかった」説の補強になるのではなかろうか?

(フェイク論を逐一検証して「フェイク論を論破」と言いたいわけではなくて、あくまでも一石を投じただけなのでご注意を)

昭和38年6月25日の官報資料版 [政府関係機関のあらまし ─公社・公団・公庫・事業団の目的と事業─] に下記のような記載がある。

阪神高速道路公団

〈目的〉 阪神高速道路公団は、昭和三十七年五月一日、大阪市において発足したもので、現在の行き詰った阪神地区の自動車の交通事情を緩和し、自動車交通の能率化、高速化を図るために、大阪市の区域および神戸市の区域ならびにそれらの区域の間および周辺の地域において有料の自動車専用道路を建設し、管理することになったのである。
 この公団の事業の推進のためには国のみならず阪神地区の地方公共団体が一体となり、あらゆる面で協力することが必要であり、この意味から計画、工事、財政等について、国と地方公共団体の助力のもとに公団が設立され、事業が推進されている。公団は、政府の財政投融資、地方公共団体(大阪府、兵庫県、大阪市および神戸市)の出資金、交付金を受け有料の自動車専用道路を建設し、通行料金により建設費を償還するものである。
〈業務〉 阪神高速道路公団法の建前からは、公団は公団の行なう事業の大綱である基本計画の指示を受け、その計画に従って事業を進めることになっている。この基本計画は昭和三十七年十月八日に公団に対して指示された。この基本計画によれば、阪神高速道路公団は、昭和三十七年度から昭和四十五年度までの間に大阪市内に四路線、神戸市内に一路線、総延長約五十三キロの高速道路を九百八十二億円の工費で完成させることになっている。
 この計画の大綱は次の通りである。
大阪市道高速道路一号線─東横堀川、西横堀川など大阪中心部の河川を利用する環状線とこの環状線から下り、東海道線に沿って北西に伸び、名神高速道路と都心部を結ぶ延長約十七・三キロの路線。
大阪市道高速道路二号線─大阪都心部の都市計画街路上に設けられ一号線と接続して、その機能を高めるとともに大阪東部の工業地域と都心および大阪港を結ぶ延長約二・三キロの路線。
大阪市道高速道路三号線─国道一号線、大阪、四日市線から都心に流入する交通に寄与し、名神高速道路の茨木インターチェンジ、国鉄新幹線三島貨物駅と都心部を連絡する延長約六・五キロの路線。
大阪市道高速道路四号線─大阪南部の臨海工業地帯の造成、国道二十六号線の交通量の増大に対処し、大阪の南の地区から都心部に指向する交通をさばく延長約九・三キロの路線。
神戸市道高速道路一号線─神戸市内の東西にわたる交通を円滑にし、国際港と連絡することにより陸上輸送の確保を図る延長約十七キロの路線。
 この計画のうち既定の道路整備五カ年計画によれば、公団は昭和三十七年度から昭和四十年度までの間に特に交通障害の著るしい大阪都心部および神戸都心部において大阪一号線および神戸一号線の一部の工事を約百八十八億円の工事費をもって行なうことになっている。昭和三十七年度においては、工事費十一億四千万円をもって大阪一号線のうち大阪の都心部を南北に貫ぬく西横堀川部分の工事に着手し、昭和三十八年度には工事費五十八億をもって、さらに大阪駅に至る部分、難波地区などに工事を拡げ、さらに神戸地区においては神戸一号線京橋~柳原間の工事を実施することになっており、昭和三十九年度には大阪一号線の難波~梅田間、昭和四十一年度には神戸一号線の京橋~柳原間の供用が開始され、自動車交通難の解決の一助となる予定である。
 阪神高速道路公団の事業の実施は建設大臣より指示を受けた以上の基本計画に基づいて行なうのであるが、将来の阪神地区の交通量の伸びに応ずる将来計画を新しい見地から策定している。すなわち、都市間交通として名神、東名等の全国的幹線道路網が計画されているので、これと直結する都市内交通網の整備か一層図られねばならない。
 その計画は、大阪市の周辺に環状の自動車専用道路を設け、都心部の通過交通を減らす環状線、大阪一号線を延長して名神高速道路の豊中インターチェンジ、大阪空港を結ぶ一号線の延伸線、大阪二号線を東西に延長する路線、大阪三号線を北に延長し、茨木インターチェンジを結ぶ路線、大阪四号線を延伸し南大阪の工業地帯と阪神を結ぶ路線、都心部と新東海道線の大阪駅を結ぶ御堂筋線、大阪、神戸を直結する文字通りの阪神高速道路、神戸の山沿いを走る阪姫線といった路線について検討をすすめている。

現在の守口線が、そのまま中央環状線を北上して鳥飼から茨木ICへ向かっていたと思われる。

阪神高速道路公団史からも関連部分を引用してみる。

阪神高速道路当初建設予定路線

国鉄や運輸省の中だけならともかく建設省所管の法人や大阪地元政財界まで巻き込んだフェイクというのはにわかに信じがたいものがある。

 

なお、元・信州大学教授で国鉄勤務時代に東海道新幹線建設工事に従事した長尚氏のウェブサイトによると

筆者のように、東海道新幹線の建設に関係した者には、貨物輸送も念頭にあったことは常識であった。“新幹線建設に世界銀行(世銀、本部ワシントン)の融資を受ける目的での「見せかけの構想」だったとの指摘も出ていた”ということは今まで知らなかった。
 1959年(昭和34年)4月20日に、東海道新幹線の起工式が新丹那トンネルの熱海側入口で行われた。その 東海道新幹線の建設基準にある活荷重(列車荷重)は、N標準活荷重(貨物列車荷重)とP標準活荷重(旅客列車荷重)からなっていて、2002年(平成14年)に改正されるまで、この基準は生きていた。

N活荷重については下記も参照されたい。

http://transport.or.jp/tetsudoujiten/pages/leaves/1966_%E9%89%84%E9%81%93%E8%BE%9E%E5%85%B8_%E8%A3%9C%E9%81%BA%E7%89%88_P0032.pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscej1984/1984/344/1984_344_27/_pdf

貨物駅の用地買収だけならともかく、荷重の考え方が変わると全線にわたって橋梁等の構造物の設計が全部変わってくる=貨物を考慮した分だけ余計にお金がかかるわけで、そのあたりも世銀対策のフェイクとは思い難い。

世銀からの借入を計る前から貨物を想定した荷重を検討しているのは前の記事にも記したとおりだ。http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-ddca.html

長尚氏のウェブサイトでは「東海道新幹線開業50周年を迎えて -建設参加一土木技術者の回想-」もあわせてお目通しいただくことをお勧めする。
http://www.avis.ne.jp/~cho/tomu.html 

また、国鉄新幹線総局営業部長等を歴任した角本良平氏は「新幹線開発物語」の中で下記のように述べている。

新幹線が開通しても、当分のあいだは旅客列車だけで、貨物列車の運転はしばらくのちになったけれども、それは主として資金事情のためである。貨物輸送の準備も最初からおこなわれ、すでに駅用地も購入されている。

以下文庫本にして4頁にわたって貨物輸送について解説している。例えば貨物のコンテナの規格は狭軌広軌の両方で共通で使えるようにした、夜間保守のため週1回は貨物列車の運転を止める等。この本がもともと書かれたのは1964(昭和39)年であり、フェイクし続ける必要もないはず。世銀融資についても言及しており、「貨物フェイク論」の真偽に関心がある方は是非お読みいただきたい。(実際には、いろんな立場の人がいろんなことを思っていて、「いつまでもフェイクのつもりの人」「最初から本気の人」「最初はフェイクで取り組んだけどここまで来た以上は実際にもやっちゃうぜの人」等いろんな人が国鉄内部にいたんじゃないかな。「島がこういっているんだから他にはありえない」というのはナンセンスじゃないかなあ。)

角本の記述を裏付けるような問答が国会でなされている。

第043回国会 運輸委員会 第25号 昭和38年5月22日

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/043/0016/04305220016025a.html

○山田説明員(日本国有鉄道常務理事) きょうお配りいたしました資料で東海道新幹線の設備及び資金計画についてという資料がございまして、これに一応説明を述べてあるのでございますが、これには「二千九百二十六億円に加えてさらに千五十億円余の設備投資を必要とする見込であります。」と述べてございます。これと、先ほど申しました八百七十四億との食い違いはどうかということの御質問かと存じますが、現在の八百七十四億にさらに百七十億円程度のものは開業後必要と認められる改良費的な性格の工事に充当されるものでございまして、開業までにこぎつけるために必要なものは八百七十四億、それから開業いたしますとこれは当然あらゆる現在線と同じように一応標準的な改良費が要るわけでございます。それにいまから予見される程度のものを加えますと総額で千五十億円になる。千五十億円を投資すれは一応開業後の予見できる将来にわたる改良費的なものを含めた総額の数字になる。そういう趣旨でこの資料をつくったのでございまして、したがってその場合には、この資料にもございますように、貨物も一応営業の逆転をいたすという姿になるわけでございます。

○久保委員 そこでお尋ねするわけでありますが、この資料によりますれば、当初の東海道新幹線のあるべき姿というか、それから見れば多少変更があると思うのであります。たとえば運転方式にしても、ATCを今回はこれだけでやっていく。当初の計画は列車集中制御装置ということであるようであります。さらにもう一つは、これはこまかい点かもしれませんが、乗降場の上屋にしても、列車の編成十二両分は全駅につけなくて半分にする、あるいは駅本屋の設備、駅前広場、こういうものも最小限度にしていこうということでありますが、ただいま御説明があった百七十億ですか、こういうものは改良費的なものだとおっしゃいましたが、実は当初計画に合わせるための資金計画ではないかと思うのであります。決して改良費的なものではなくて、当初約束したところの東海道新幹線をつくるには千五十億以上要る、こういうことになると思うのであります。そう理解してよろしいか。

○山田説明員 当初いろいろ御説明をしましたときには、貨物もやりますということを申しておりますし、それから大体三時間の特急を相当走らせたいということを御説明しておったわけでございます。私が先ほど申しました八百七十四億円程度をさらに追加していただければ、貨物営業は見送りになりますけれども、当初考えておった大体の姿ががこれで実現できるということを考えて、八百七十四億の積算をしたわけでございまして、いま御指摘がございました駅前広場の金は当初考えていたんではないかということでございますが、これは非常にこまかくなりますけれども、都市計画の完成と見合ってどうしても開業前までにはやりたくてもできないという金でございまして、したがってそういうものはどうしても開業後の支出になるわけでございます。

(中略)

○井手委員 それではかつての約束について申し上げたいと思いますが、国鉄が私ども国会や国民に声明されたのは、旅客列車は東京-大阪間を超特急は三時間、特急は四時間で結びます。超特急は一時間おきに、特急は二、三十分おきに運転いたします、こういうふうに約束をなさっております。さらに荷主に対しては、貸物はすべて夜間に電車で運ばれます、東京-大阪間を五時間三十分で、夜東京から出荷すれば翌朝大阪に届くようになります。これを同時に行ないますという約束をなさっておりますが、いま予定どおりおやりになりますとおっしゃいましたが、そのとおり間違いありませんか。念を押しておきたいと思います。

○石田説明員 この問題は、運転技術の問題その他に関しますので、私としてどうするかという確信はありませんが、できるだけその予定どおりやりたいということにつきましては、何ら変わらないのであります。

○井手委員 御就任早々でございますから詳しくおわかりにならぬかもしれませんが、ただいま申し上げました貨物の輸送については、旅客と同時に東京-大阪間を五時間半で輸送いたしますという約束は、これは来年の十月には間違いないわけでございますか。今までの答弁では、これは後日に譲ってあるように承っておりますが、これは約束と違うと思います。

○石田説明員 ただいまの御質問でございますが、すでに私がお答えいたしましたとおり、これはひとつ私がさらに検討いたしまして、どうするかということについては追って御返事いたしたいと存じます。

○井手委員 そうしますと、約束を守るためには貨物のほうも同時に営業を開始したいというお考えでございますか。

○石田説明員 その問題につきましては、私としては就任いかにも浅いのでありまして、ひとつ、かすに相当の時をいただきたいと存じます。

○井手委員 御研究になりますことはけっこうでございますし、直ちに具体的なものをお聞きするわけではございません。基本方針だけを承っておきたいと思います。
 最近の国鉄の説明によりますと、旅客列車は何とか走らせますが、貸物は財源の関係からこれを後日に譲らなければならぬようになりましたということでございます。だから私はお伺いをいたしておるのであります。約束は守りたい、予定どおりにいたしたい。そうなりますと、貨物を輪送するようになりますと、新たな財源が必要になってまいります。一千五十億円にさらに予算が必要になってまいりますが、その努力をなさるというお考えでございますか

○石田説明員 繰り返し申し上げましたとおり、私はその問題についてはまだ全然研究しておりません。御質問の趣旨を体して十分に研究いたしまして、適当のときにお答えいたしたいと存じます。

○井手委員 それでは問題を変えまして、旅客へのサービスは東京――大阪間三十往復になっております。私が読み上げました超特急は一時間おきに、特急は二、三十分おきにという約束を果たすためには、この車両は三百六十両を必要とするのであります。ところが、いま注文なさっておりますのは百八十両分でございまして、その百八十両分についてもなお予算が足りないというので、補正を予定されておるのであります。そうなりますと、約束どおり、予定どおり実行するということになりますと、車両分をさらに百三十億円追加しなくてはならぬようになりますが、その点は約束どおりおやりになるということでございますか。この資料によりますと百八十両分だけしか予算に組んでございません。ところが超特急一時間おき、二、三十分おきに特急を運転するという約束どおりにいたしますと、三百六十両発注しなくてはなりませんし、百八十両分を新たに追加しなくてはならぬことになりますが、それはどういうふうに総裁はお考えでございますか。総裁からお伺いしたい。

○石田説明員 繰り返し申し上げますとおり、私は総裁になりましたのはつい二、三日前でございまして、全く赤子なんです。そういう知識については何らありませんので、これは一つ山田理事をして御答弁申し上げたほうが適当と存じますので、私の責任において、どうぞひとつ山田理事からの御答弁をお聞き願いたいと思います。

○山田説明員 それでは私からお答えさせていただきます。

 まず車両費の点でございますけれども、事実ただいま発注済みのものは百八十両でございまして、それは当初から百億円の予算を組んでおるわけでございます。それから、開業時には御指摘のように三百六十両で開業いたしたいと考えておりまして、その差の百七十両はどうするかということでございますが、そもそも先ほども申しましたように、この新幹線というものは現在の東海道線の複々線工事である、広い意味では改良費であるという見解にスタートしておりますので、残りの百八十両は、もし現在線に線路容量があれば当然増車をして増発をすべき車を新幹線用としてつくって新幹線に動かせる、そういう意味で性格的には改良費から支弁すべき性質のものであると考えまして、したがって、ことし、三十八年度の成立予算の債務負担額のうちの車両費も例年よりも非常にふえまして、三百五十億円の債務負担額をお認め願っておるわけでございまして、それでもって開業までには残りの百八十両を手当てする考えでおるわけなのでございます。
 それから、私から御答弁するのは筋違いかもしれませんけれども、貨物輸送の点でございますが、これは当初旅客と同時に貨物も開業した方がいいという考えで、そのようにいままでお答えを申し、また考え方を御説明しておったわけでございますが、これも先ほど申しましたように、現在線と合わせて最大の輸送能率が発揮できるような運転方式を考えるべきではないか、最も端的に言いますと、東京――大阪間の広軌幹線だけにかかる貨物輸送量がどれくらいで、それから東海道の現在線自体を利用しなければならない貨物輸送量がどれくらいかということからいろいろ検討いたしまして、少なくとも来年の十月一日に新幹線を開業さして、現在線の主要な旅客列車を先ほど申しました本数程度転移すれば、残りの線路容量で相当程度の貨物輸送力の増強ができる、したがって開業と同時に貨物輸送もそろえてやることは、むしろ端的に言いまして一時的な過剰投資になるのではないかというような考えで、ただいま事務的には貨物輸送は開業後引き続いて計画はいたしておりますが、開業の日に耳をそろえてということは、ただいまの時点では実は考えを改めたわけであります。その点、新総裁にはまだその御説明をいたしておりませんが、先ほど私が御説明いたしました八百七十四億程度あと追加していただきたいという考え方の中には、ただいまのような考え方を骨子にして数字をつくっておる次第でございます。

○井手委員 山田さん、答えは簡単に願います。そうしますと、最初予定された三百六十両をつくるならばさらに百三十億が必要だということになりますな。

○山田説明員 金額的にはそのようになります。

○井手委員 それから山田常務にさらにお伺いいたしますが、あなたのほうから出されたこの資料、これは国会で説明になりました。さらにこの資料についても説明になりました。御存じでしょう。これに約束されたサービスは、いわゆる大阪駅では貨物の場合には高架線にするという約束、それを約束どおりに実行するとすれば、改良とかなんとかいうあなた方の逃げ道は別にして、幾らかかりそうですか。あなたの責任じゃないのですから、遠慮なくおっしゃってください。最初のこういう約束どおりにおやりになるとすれば、今回の千五十億にさらにさらにどのくらいかかりますか。車両の百二十億はわかりました。そのほかに引き込み線の関係や駅舎の関係そういったものを含めますと、さらにどのくらいかかりますか。

○山田説明員 千五十億円、つまり現在考えております開業までの八百七十四億に約百七十億円程度加えた約千五十億円、これがいままで御説明をいたしておりました、その当時一応おぼろげに考えておりました開業の姿プラス若干改良的な姿になる数字であります。したがって貨物輸送の内容も千五十億の中には入っておるわけであります。

○井手委員 聞き違いのないように願いたいと思うのです。こういう、大阪駅では貨物はこう取り扱いますという約束をなさっておるでしょう。あなたのほうの出された資料によりますと、これも最小限度、上屋はないようにという最小限度に切り詰められておるのですよ。だから千五十億円必要だとおっしゃいますが、そのほかにさらに百三十億円も百八十両の車両費が必要になるわけでしょう。そのように約束どおりにやればどのくらいかかりますかと聞いているのです。千五十億円にさらに三百億円くらい必要ですか、どのくらい必要ですかと聞いているのですよ。だから百三十億円を加えてどのくらい必要ですか。

○山田説明員 最初という言葉がございましたので、最初、そもそものスタートが千九百七十二億円でお願いしたわけであります。その当時考えておりましたときすでに、車両については百八十両は新幹線の増設費でまかなうそしてその残余は改良費でまかなうということを考えておったわけでございます。それから貨物設備、貨物輸送につきましては、その当時は開業と同時にやろうという考えでおったことはただいまも申し上げたとおりでございますが、それが昨日最終的に計数を詰めたその基本的な考え方で、貨物輸送は必ずしも十月一日同時にやらなくてもしのげるということで、八百七十……

○井手委員 ちょっと中間ですが、私はそんなことを聞いておるのではございませんよ。あなたのほうは計画を縮められた。それはわかっていますよ。しかし国民に約束されたとおりにやれば、どのくらいかかりますかと聞いている。簡単な話ですよ。三百六十両の新しい車両で、そして超特急は一時間おきに連転する、貨物も同時に営業する、上屋はどうする、駅舎は拡張する、そういう約束どおりにすれば、千五十億のほかにどのくらい要りますかということを聞いている。あなたの責任を問うているわけじゃない。遠慮せぬで、そんなに気を回さぬでいいんですよ。

○山田説明員 決して私そういろいろなそんたくをしてお答えしているわけではございませんが、総額千五十億円程度になれば、最初にお約束いたしました千九百七十二億円のときの姿プラス改良的なものができるということをお答えしておるのでございます。それに車両費を加えて表現すべきではないか、こういう御意見でございますれば、最初から考えておりました改良費的な車両費が百三十億円ございますということになるわけであります。

○井手委員 それでは聞き直します。具体的にこう聞きましょう。改良とか建設とかいうあなたのほうの考え方は別にして、あなたのほうの計画は、改良にあってもかまいませんが、最初に国民に約束されたものをそのとおり実行するとすれば一千五十億のほかにどのくらいかかりますか。駅舎を非常に縮小されておる、車両も縮められておる、貨物もあと回しになっておる、そういったようたものを約束どおりにされた場合に、改良費でもかまいません、それを実行すればどのくらいそのほかにかかりますかということを聞いているんですよ。

○山田説明員 千五十億という全投資額では、いまおっしゃいましたような駅舎を縮みるとか、そういう事態は全然起こりません。新幹線全体で幾らかかるかと言えば千五十億円プラス車両費である、こういう表現が正当かと思います。

○井手委員 じゃ、百三十億円というのは千五十億円のほかに必要である、そうすると、大阪駅におけるターミナルの貨物設備あるいは東京の始発駅の貨物設備なり、中間の名古屋であるとか静岡であるとかいうようなところの設備も約束どおりできるわけですか。約束どおりですよ。山田さん、この地図にあるとおりそれでできますか

○山田説明員 貨物設備につきましては、東京と大阪、具体的には品川と鳥飼の設備ができるのでございますが、中間の静岡等の設備はいまの千五十億の中には入っておりません。

○井手委員 だから、ここに書いてありますように、貨物駅は四駅で、東京、静岡、名古屋及び大阪の各地に設けますと約束されておりますよ。その約束どおりにやった場合にどのくらいかかるかということを聞いているんですよ。あなたのほうは改良費として今後逐次おやりになるおつもりでしょう。その分は幾らになりますかと聞いているのです。

○山田説明員 その問題は、静岡、名古屋等に本格的な貨物設備をする際には、東京、大阪の両ターミナルの能力が及ばなくなるであろう、したがいまして現在線の貨物改良計画とあわせまして、これはいろいろうわさに出ておりますたとえば大井埠頭の埋立地を利用して汐留まで移転してやったらどうかとか、あるいは第二汐留という意味で品川先に大貨物駅をつくったらどうかというように、その段階になりますと、現在線の貨物輸送改良計画とあわせて考えなければならない問題でございますので、それは将来の問題としてまだ具体化はいたしておりませんが、かりに第三次五カ年計画を立てる必要があるとすれば、その中へ織り込まなければならぬものだなということで、いま研究しておる道程でございます

○井手委員 山田さん、あなたは改良費、改良費とおっしゃるが、建設当時に約束されたものは新幹線増費の中に含むべきものじゃございませんか。財源の点から、予算が不足したからやむを得ず最小限度にとどめるような事業の縮小をなさっておるのですから、あなたのほうは改良で将来やりたいとおっしゃいますけれども、本来は改良で見るべき問題じゃございませんよ。建設費の中に初めから入っておるじゃございませんか。やむを得ないから後日、改良、改良で何とか約束どおりに何年かかかってやろうというお考えでございましょう。改良で逃げられるものじゃございませんよ。本来は建設費の中に入るべきものです。それは幾つかは聞いている。これはわかっているでしょう。なるほど名古屋であるとか静岡であるとかについては、いろいろ今後の計画も出てまいりますから一がいに申せませんが、あなた方が約束されたものを実行する場合には、車両費の百八十両分を含めてどれくらいかと聞いておるのです。それもわからぬですか。三百億は下らぬはずですよ。

○山田説明員 これはおしかりを受けましたけれども、実は十月一日の開業には一応貨物はやらないという考えでございましたので、本日御説明しましたと同じ精度、同じ確かさの検討を加えた数字ではございませんけれども、大井埠頭を加えまして約二百四、五十億円程度の金が要るのではないかという程度の試算はいたしております。なお私先ほどから改良的、改良的と申しましたのは、これは井出先生のほうはむしろ御専門家でございますけれども、新幹線増設費というのは一応建設仮定的な性格の予算でございまして、これが開業いたしますと即日、この量は非常に大きな金額でございますけれども、性格的には現在線と同じ性格の予算になるわけでございます。したがいまして私改良費、改良費と申しましたのは、開業後に新幹線増設費という項もなくなるであろう、そういうことを実は考えて申し上げたわけでございます。

○井手委員 それじゃいまあなたの御答弁にあったように、約束どおりにすれば二百四、五十億円かかろうというわけでございますね。そうでしたね、いまの答口弁は。

○山田説明員 それがまことにあいまいな答弁で申しわけございませんが、当時大井埠頭をどうするか、それを含めた現在線の大改良計画は当時トピックにあがった程度でございます。たとえば東京の終点を皇居前の広場に持っていこうとかいう程度の精度で話があった話でございまして、その程度のことがいままで持ち越されておりまして、その程度の精度をもって一応試算すると二百四、五十億になろうかということを申し上げておるわけでございます。

○井手委員 いまの御答弁はこの前吾孫子副総裁からも大体そういう数字が出てまいっております。だからこれは新総裁も開いておいてもらいたいのです。今度補正が必要だと国鉄でお考えになっておりますのは千五十億円、それに約束どおりに貨物も同時に運転するし、三百六十両のきれいな約束された車両で旅客を運行するということになりますと、少なくとも千三百億円は必要であるという結論になっているのであります。
 そこで総裁にお伺いしたいのは、昨年すでに貨物は後日に譲るという決定があったようでありますが、これは国民に対する約束が変更されたことになるのであります。この点については総裁は、それはしようがない、貨物だけは後日に譲るというお考えでございますか、約束は約束であるから、それは新総裁になって第一の仕事として公約を守って、サービス第一であるから貨物も同時にやるように研究をしたいというお考えでございますか、その点をお伺いいたします。

○石田説明員 繰り返し同じことを申すようでまことに相すみませんが、私は全く小学校の一年生のずぶの初めなんで、何にもわかっておらぬ。いまの御質問の点はよく研究いたしまして、ひとつ後日しかるべきときにお答えいたしたいと思います。どうぞお許し願いたい。

第043回国会 運輸委員会 第38号 昭和38年7月6日

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/043/0016/04307060016038a.html

○井手委員 そこに私は見込み違いがあったと思うのです。この東海道新幹線の計画が見込み違いであったと同様に、監査委員会の受け取りに私は違いがあったと思うのです。

 そこで続いてお伺いいたしますが、八百七十四億円が妥当であるとおっしゃる。しかし、私どもがここで一番聞きたいことは、これは昭和三十三年から三十四年にかけて、東京-大阪間、超特急三時間で走らせまして、一時間おきに走らせます、貨物は五時間半で走らせますという約束で発足したこの新幹線の工事ですから、この八百七十四億円、これでは計画どおり、公約どおり開通するものではないのです。あなたのほうの報告書によりますと、別紙三にいろいろな計画が圧縮されておる。駅舎関係、貨物関係、そういうものはずっと圧縮されておりますが、八百七十四億円で一応開通はできるが、こういう圧縮されたものを計画どおり、国民に対する約束どおり実行するとすれば、あと幾ら必要でございますか。あと四百億円必要ですか、五百億円必要ですか、それを聞きたい。それはわかっておるはずです。あなたのほうはこれがわからぬでは大へんです。これこそ監査委員会の無能と言わねばなりません。八百七十四億円はともかく超特急を走らせるだけの最小限度の費用なんです。三十三年から三十四年にかけて国会で約束された公約どおり実行するにはあと幾らかかりますか、それをお伺いいたします。

○岡野説明員 今度の命ぜられた内容は、貨物列車は抜きにする、それでその他こういう第三表のように工事を進めていくについて、はたして八百七十四億円が妥当なりやいなや、こういうように私は解釈しておる次第であります。したがいまして今後、一番初めの計画をそのまま貨物輸送まで加えて幾らかかるかということは、新たにこれは調査し、計画をしていかなければわからないことと思います。それはどういう監査委員長が参りましたとしても、この席でそれが、あるいは調査をして短期間にその点までわかるという人は……(「神様じゃなければわからない」と呼ぶ者あり)神様じゃないか。ここに国鉄の関係者がたくさんおりますが、監査委員長ばかりでなしに、それに直接関係をしておる人でも、的確にこの数字を言い得る人は何人あるかといって、おそらくないのじゃないかと思います。

○井手委員 私は監査委員長のその人柄をかねがね多くの人から承りました。円満な人であり、手腕家であると承りまして、私も非常に敬意を表しておりましたが、ただいまの答弁は、いかにあなたの世論がよくても、これは受け取れません。ちゃんとこの中に数字はあるのですよ。私も持っています。あなたはここにおる者はだれも知らないとおっしゃるけれども、私自身が持っているのです。そんな答弁はすべきものじゃございません。それじゃ監査委員会じゃないですよ。監査委員会というのは、私が申し上げるまでもございません、昭和三十三年に答申され、三十四年から発足したこの新幹線の工事、国民に対する約束を私は重ねて申し上げます。東京-大阪間超特急一時間おきに三時間で走らせます、二、三十分おきに特急を走らせます、貨物は東京-大阪間五時間半、晩に出した荷物は朝に配達できますというのが国会に対する約束じゃございませんか。この約束のものをいかに円滑に、適正な予算の執行によってこの工事を進めていくかという、その業務を監査するのがあなたのほうの任務でしょう。そうでしょう。しかるに大事な一本は、貨物のほうはあと回しになった。あと回しになったものは数字は幾らかわかりませんということでは、これじゃ監査委員会の任務じゃありませんよ。世間で通りますか。それが貨物関係は二百億円ちょっとこえる。車両や駅舎関係で二百五十億かかる。八百七十四億円のほかに。委員長よく聞いてください。八百七十四億円が妥当であるとおっしゃったその金額の、その上になお百七十四億円の金がなくては来年十月の開通には支障が起こりますよ。百七十四億円必要である。こうこの間国鉄から報告が出ております。これはあとでお伺いいたします。そういう数字までわかっておるのに、何で監査委員長がわからぬのですか。国民への公約を実現されるかどうかを監査するのがあなたの任務でございましょう。何ならその辺で聞いてください。

つまり、874億円の予算不足が問題になった際に、更に貨物に必要な予算が200億円あるが、それは圧縮(カット)されたということか。

ちなみに、新幹線による貨物輸送のイメージについては下記のように述べられている。

第038回国会 運輸委員会 第12号 昭和三十六年三月十六日

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/038/0016/03803160016012a.html

○磯崎説明員(日本国有鉄道常務理事) お答え申し上げます。

 ただいまの御質問、新幹線ができた際の新幹線と現東海道線の使い方をどうするか、ことにその両者の間に輸送力のアンバランスがあってはいけないという御指摘だと存じますが、その点は確かに非常に大きな問題でございまして、東海道新幹線自身が、現在の東海道線の隘路を打開するということに主力を置いております以上、ただいま御指摘になったように、現在の東海道線の隘路がそのまま残ったのでは意味がないということにもなります。私どもの今の計画の数量の推定によりますと、旅客につきましては、現在線全体の約七割三分程度のもの、貨物につきましては、二割三分程度のものが新幹線に移るというふうに考えております。しかしながら、もちろん新幹線の方はその駅数老少のうございますし、ローカル輸送にはこれは使えませんので、新幹線は主として大都市・あるいは今きまっておる駅相互間を直接結ぶ場合、それから現在線から出発して一たん乗りかえていただきますが、新幹線を利用していただく、こういうお客様を合わせますと、現在の約七三%移るというふうに考えられます。新幹線の運転の計画は、大体今ダイヤを引いておりますが、二十分ないし三十分に一ぺんずつ特急なり急行を走らせるということをいたしますれば、今までのように、切符を買うために時間をロスするというようなことでなしに、待たないでとにかく特急でも急行でも乗れるという制度にいたしたいと思っております。それと同時に、現在線があきますので、その分につきましては、ちょうど東京付近で電車を利用される方が、あまり待たないでお乗りになれると同じような格好で、東海道線の現在線については、十分ないし十五分でもって等時隔のダイヤを作るということによりまして、非常に近距離輸送が便利になるというふうに考えております。

 貨物につきましては、旅客に比較して転化率が非常に低いというふうに御指摘になると思いますが、これは御承知の通り、現在の東海道線で送っております貨物は、東京、大阪発だけのものでなしに、主として東北から関西へ、あるいは西の方から東の方へという、日本のメイン・ラインになっておりますために、東海道線から出ます貨物だけでないものが大部分でございます。従いまして、約二三%程度の転化を見ておりますが、将来、新幹線につきましては、今試験的にやっておりますコンテナーの輸送、あるいはパレットの輸送という新しい輸送方式を考えまして、それによって、たとえば東京から発車いたしますコンテナー、あるいはパレットにつきましても、なるべく集荷の範囲を広くいたしまして、関東一円から関西一円に発着する貨物は極力新幹線で送る。そういたしますと、夕方発送した貨物が翌日の朝着くという速達にもなるし、また国家経済的に見ても非常に輸送コストが下がるというようなことも考えられまして、貨物輸送につきましては、夜間の新幹線のあきます時間帯を利用して、極力転化さすように、輸送方式の転換の方面からも努力して参りたいというふうに考えております。

 それからもう一つ、簡単なことでございますが、今まだそこまではっきりきまっておりませんけれども、新幹線ができましても逆に、たとえば東京から大阪までいらっしゃる夜行のお客さんがどうしてもあるわけでございます。また九州方面にいらっしゃるお客さんは、やはり大阪で乗りかえるのはいやだ、ぜひ直通で行きたいとおっしゃる方もたくさんあることは当然と存じますので、これらの方々のためには、ある程度の夜行列車なり、ある程度の九州直通の列車というものは、当然現在線に残さなくてはならないということも考えております。何本残すか、何本九州行きの特急などを新幹線に置くかということについては、今後の旅客の伸びなどを検討して、今具体的な案を作成中でございます。いずれにいたしましても、御指摘の通り現在線と新幹線との輸送のアンバランスがないように、十分計数的にも検討をいたして、間違いのない案を作りたいというふうに存じております。

また、新幹線開業後、名古屋市内の日比津貨物駅予定地に係る質疑がなされ、貨物新幹線の実施見込みについて「昭和43年秋に開業したい」旨の答弁をしている。

第048回国会 法務委員会 第10号 昭和四十年三月五日

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/048/0488/04803050488010a.html

○赤松委員 国鉄当局にお尋ねをしたいと思いますが、名古屋市の中村区の日比津というところにございます農地の問題ですが、これが国鉄において所有されたのは太平洋戦争のとき、すなわち昭和十八年、当時戦時輸送力増強のため軍部の圧力によって、事のいかんを問わず、いわゆる国策と称して強制買収されたのであります。ところが、この戦時中における農地の強制買収につきましては、昭和三十三年三月十四日、最高裁の第十一小法廷で判決破棄、差し戻しになっております。それで、この事件は神戸で起きた事件でございますが、これにつきまして、上告人は兵庫県知事、被上告人は日本国有鉄道、原審は大阪高等裁判所で行なわれました。そして国鉄は、農地を農地法第六条によって保有することができないので、耕作者に国が買い上げて売り渡しをすべきである、こういう判決が下っておるのであります。したがって、この判決に基づきまして、農民は直ちに中村区農業委員会に手続をいたしまして、昭和三十二年七月十二口これを議決をして書類を愛知県知事に出したのでございます。ところが国鉄当局は、東海道新幹線の建設計画にあたって、この土地を貨物駅にするという計画であることが知事に対して回答がありました。そこで当時、すなわち昭和三十三年五月に、関係耕作者が協議会を結成しました。三十三年八月に、この協議会によって、この農地を耕作者に返すべきである、すなわち、農地法で解放されるよう国鉄当局に陳情を続けました。これは当時私が立ち会いまして、国鉄の当時の用地課長赤木さん、それから橋本さん、こういう人と、本社で前後四回にわたりまして、いろいろ折衝を重ねたわけであります。その際、国鉄当局のほうでは、この農地買収について、すみやかに返すべきではあるけれとも――農林省もわれわれの意見を支持しまして、即時返すべきである、こういう意見を国鉄当局に申しておりましたけれども、国鉄当局は、新幹線建設という国策の線に沿って協力してくれということで、具体的に坪当たり幾らという金額を明示されてきたのであります。

 そうこうするうちに、さらに県当局にその解放を実施されるよう陳情して、そうして県議会は、自民党、社会党を問わず、これを支持しまして、さらに昭和三十四年二月には、農林省の農地課の中島課長、それから三上技官などに陳情して、そうして、農林省も、先ほど申し上げましたように、これら農民の意見を支持して、国鉄と交渉を行なってまいりました。

 そこで、三十五年の五月に、私が勧告しまして、これは国策の線に沿って、農地を国鉄に買収してもらうべきだ、これは必然の大勢であるから、どうしても国鉄は貨物駅をつくりたいというのであるから、この際、土地に対する執着はよくわかるけれども国鉄に協力したらどうかということを勧告しまして、そこで交渉委員十一名を選びました。それから国鉄側から赤木用地部長が名古屋に参りまして、そして用地の変更ができない旨を説明いたしました。越えて三十五年七月、新幹線名古屋工事局の用地第三課長より、貨物駅の計画のため離作、すなわち耕作をやめるようとの交渉を受けました。交渉委員十一名で強く、この農地が戦争遂行上、強制的に軍部の強権で買収されたものであるから、われわれはあくまでも解放してもらいたいという要求をした。その後十回にわたって用地課長、係長らと交渉したが、いずれも用地を貨物駅として使用したいということで、この解放の要求を今日まで、ぜひ解決をしたいということで交渉が続けられてきたのであります。ところが、最近聞くところによれば、これは私は電話で新幹線の局長に聞いたのでありますが、あの用地は、戦争中軍部が強権を発動して強制的に買収した、ところが最高裁の判決もこのようにあり、すみやかに農民に返すべきである、しかし新幹線という国策を遂行する上で協力をするように、私は一貫して指導してきた。ところが採算がとれないのでもう貨物駅をつくることはやめた、そういう計画変更が今度行なわれる。そうすると、貨物駅をつくらないということになるならば、当然農民に湿してやるべきだ。すでに農業委員会の議決もとっているわけです。ところが、どうもこれを用途変更して他に使うというようなうわさが流れている、もしこれが他に使われるということになるならば、私は農民を説得して国鉄に協力してきた、そういう協力の努力が水のあわになるばかりじゃなしに、これは農民から土地を強権で奪い取って、なお戦争中のそういう強権発動の行為が戦後も続いておるということになるならば、しかも貨物駅に使わないで用途変更して他のものに使うということになるならば、私は重大な問題であると思うのでありますが、この際、国鉄当局の責任ある態度を明らかにしてもらいたいと思います。

○柴田説明員(日本国有鉄道常務理事 柴田 元良) ただいま先生から日比津の用地のいままでの経過につきまして御説明がありましたが、国鉄といたしましては、新幹線を利用いたしまして高速の貨物輸送を行なうということが、国鉄の営業上どうしても必要なことでございまして、またその需要につきましても十分の採算を持っておりますので、なるべく早く新幹線による貨物輸送を行ないたい、こういうふうに考えて計画を進めております。したがいまして、日比津の用地を国鉄において貨物輸送のために使うということは、何ら変更する気持ちもございませんし、なるべく早くお話をまとめていただきまして、貨物駅として、またあそこに計画しております電車の誘致線を設けるという計画も含めまして、すみやかに使うようにいたしたい、こういうふうに考えて、目下計画を進めておる次第でございます。

○赤松委員 そうすると、貨物駅は、着工もしくは完成はいつごろになりますか。

○柴田説明員 ただいま貨物駅に入ります地点までの名古屋からの路線につきましては、約三キロでございますうち二キロはすでに完成をいたして高架線もできております。したがいまして、あと約九百メートルが新たにこれは買収をいたす必要がございますので、ただいまその買収と、先生のお話しの場所におきます問題の解決をできるだけ早く急ぎたい。したがって、工事に着工できますのは、その問題の解決しました早い時点でございまして、いまのところ四十年からでも着工いたしたい、このように考えております。

○赤松委員 四十年着工ですね。国鉄の柴田さん、よく聞いておいていただきたいんですが、農民は返してくれと言ってるんです。国鉄の貨物駅をつくることは、反対だ、つくってもいいからほかでおつくりなさい、農地を買収するのは反対だ、こう言っているんです。それをこれから説得しなければいけない。すでに最高裁の決定によれば、これは農業委員会の議決を経て当然農地を返すべきだ。――農林省の石田管理部長、大河原農地課長、よく聞いておいていただきたい。あなた方来るのおくれたからもう一ぺん説明しますと、私も農林省に参りまして、昭和三十四年二月に、当時の農地課の中島、課長、これは大河原課長もよく御存じだろうと思いますが、その中島課長にもよく事情を話しまして、中島課長も当時私どもの主張を支持してくれた。この農地は戦争中強制的に軍部が強権を発動して買収したのであるから、当然これは最高裁の判決に従って返すべきである。こういう意見なんですが、その後国鉄のほうからはぜひひとつ協力してくれ、私もそういう観点で実は農民を指導してきた。新幹線という国策に沿ってひとつ協力しようじゃないかということでやってきたんですが、なかなか農民は納得しないわけです。ところが、最近貨物駅に使わないということが新聞に発表された。私も局長に電話して確認したら、いや貨物駅は採算がとれませんからもう計画はやめました、こういうことなんですね。いま国鉄の柴田理事にお尋ねすると、いや残った分については四十年に着工する、こういうお話なんですね。この辺のところがどうもあいまいで、当時新幹線局長は廃止の方針であったけれども、その後事情が変更したのかどうか、もし事情が変更してないということになると、局長は私にうそをついたということになるし、あるいは柴田さんはそんな人じゃないけれども、ここでうまくごまかして、そしてずるずる延ばして用途変更をやろうというようなこともうかがわれるわけです。万々そういうことはないと思いましても私もあなたの御答弁を信頼しますけれども、その辺のいきさつはどうなんですか。

○柴田説明員 国鉄が新幹線を開業いたしますまでには、先生も御承知のとおりに予算不足の問題がございまして、昨三十九年の十月に旅客の輸送開始をいたすまでの間に、いろいろとやむを得ない予算上の事情から、計画の変更と申しますか、一部をおくらせざるを得なかったということがございまして、その結果として、貨物輸送は、できれば一番最初は三十九年の十月、昨年の十月同時に開業するという計画でございましたけれども、ただいま申しましたような事情でおくれざるを得ない、ただいまの予定では四十三年の秋、これはどうしてもその時期になるという事情がございますために、とりあえず旅客輸送の増強にただいま力が入っておりますために、先生が多少不明確であるとおっしゃった点があるいは間違って伝えられたかと私は解釈いたしております。

○赤松委員 一月二十九日の朝日新聞が、「超特急貨物を断念、新幹線経済的に引き合わず」という見出しで、結局内容はこまごま申しませんけれども、「河村勝営業担当常務理事も二十八日「貨物の超特急は経済的に引合わない」と断念をほのめかした。」さらに最後に、「貨物列車用基地は、旅客基地として活用することになり、世銀に対しては改めて事業計画の変更を説明し、承認を求めることが必要になる。」、こういうふうに報道している。この報道は誤りですか、どうですか。

○柴田説明員 河村前理事が記者会見のときに新幹線の貨物輸送について触れましたそのときの空気は、私は直接立ち会っておりませんからわかりません。また新聞の報道も、受け取り方によりましていろいろのニュアンスで報道されたように私も考えております。ただ国鉄といたしましては、貨物輸送を実施いたします時期が当初よりおくれておりますことも事実でございますし、またこれをいたしますのに今後相当の投資も必要でございますので、その辺の空気の中で彼個人として御発言になったというふうに私は考えます。

おって、http://jpimg.digital.archives.go.jp/pdf/H1530a00870000/024704398137.pdf では下記のような想定問答も含まれている。

貨物新幹線

(追記) 貨物新幹線については、下記のような記事もその後かいておりますので是非あわせてご覧ください。

東海道新幹線開通後の貨物新幹線に係る国鉄の取り組み等(貨物新幹線は世銀向けのポーズなのか)

貨物新幹線の経緯はどのようなものだったのか?~「角本良平オーラル・ヒストリー」を読む(その1)

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コメント

長尚です。拙文を紹介していただきまして、有難うございます。
私も知らなかった様々な情報、参考になりました。
なお、私は名誉教授ではありません。

投稿: 長 尚 | 2014年10月14日 (火) 10時21分

長先生 コメントいただきありがとうございます。
また、肩書を誤って紹介して申し訳ありません。修正させていただきました。

投稿: 革洋同 | 2014年10月14日 (火) 21時31分

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