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2014年11月 3日 (月)

弾丸列車の予算が「改良費」だったから新幹線も「新線の建設」ではないということ

東海道新幹線は、新線の建設ではなく、在来線の東海道線の改良の扱いなのだが、それは昭和16年の弾丸列車の建設開始時の鉄道会議で定められた予算費目が影響していたからというお話。

- 衆 - 予算委員会 - 12号 昭和34年02月18日

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/031/0514/03102180514012a.html

○楯委員 そういう希望的観測を述べられても、先ほど申し上げましたように、具体的な構想というものがない以上承知することができぬ。

 それから大蔵大臣と運輸大臣は考え方が違いますよ。この五カ年計画の完遂をしたあとに引き続いてやるという大蔵大臣の考えと、それから運輸大臣の考えは明らかに違うと思います。しかし私は時間がございませんから、こんなことばかりやっておりましても進みませんから、やめますけれども、こういう資金調達の見通しも説明のできないような形でこういう大工事をやられますから、非常に疑惑を世間に与える、こういうふうに私は思います。この点は早急に構想を立てられて、そうしてわれわれにもお示しを願いたいと思います。

 それから次にお伺いをいたしたいのは、東海道の新幹線をなぜ鉄道建設審議会に諮らなかったか。私は当然東海道は新線だと思います。従って法律の定めるところに従って、当然建設審議会に諮問をして行わるべきものだと考えておりますが、この点どうですか。

○永野国務大臣 御説の点につきましては、一体鉄道敷設法にいう新線をどういうふうに解しておるかという基本の問題になるのでございますが、私どもが了解しております新線は、いわゆる日本の鉄道網を拡充するものを新線と申しておるのでありまして、一定の区間内の輸送力増強のために施設いたしますものは改良費的のものだ、こういうふうに従来取り扱っておるのであります。従いまして、その慣例によったという点が一つ。

 それからもう一つには、これは御承知の通り、昭和十六年の鉄道会議でこれを改良費でやるということをきめまして、今日まで用地買収では二七%ぐらい、トンネルの方は三〇%ぐらいすでにやっておるのであります。でありますから、実質上は一種の継続事業のような関係になるのでございます。これはずっと今まで改良費で出してきて、おるのであります

 従いまして今申しましたような理論的の理由と、それから実際上の扱い方と両方面から見まして、これをいわゆる新線の中には加えなかったのであります。しかしながらその経済上の影響から申しますと、他のどの新線よりも最も大きい影響がございますので、そういう見方はありますけれども、今後これを実行していきます上には、ぜひ建設審議会の方にこれを報告いたしまして、皆様の意見を十分に取り入れてその実行に移りたい、かように考えております。

○楯委員 かけられなかったからそういう答弁をなさるのだと思うのですが、これば明らかに、あなた方の方の資料を見ましても、新線ですよ。新線という字句があなた方の資料の中には全部使われておるのです。東海道の改良だとおっしゃいますが、これはあなたがそうおっしゃるだけで、おそらく日本の国民は、東海道は今あるものより、もっと幅の広い、東京―大阪間の、しかも経過地が違うじゃないですか。経過地が極端に違うところへ、関西へ入りまして鈴鹿山脈を抜く、こういうようなことをこの資料ではうたってありますが、全然経過地の違うところへ、現在あるものより以上に規格の変った、軌間の変った大幹線を建設するのでありますから、幾らあなたが建設審議会にかけなかったからそういうふうに答弁をおっしゃっても、これは認めるわけにはいかないのであります。これはあなた方の資料を見て明らかに新線とうたってあるのですから、この点どうですか。

○永野国務大臣 先ほども申し上げますように、昭和十六年これに着手いたしますとき、鉄道会議の議を経て改良費でやるということにきめました、その工事の継続であります上に、両地点、その間途中で線路の要るところは、従来の改良計画でも、たとえばカーブをなす――これは専門家の楯さんの方が私よりももっとおくろうとだと思いますけれども、ある区間の全く新しいところへ線を引っぱるようなことがありましても、それはみな改良費でやっておるのであります。この文書の中に新線という字を使っておるではないかという御指摘でござでいました。その通りでございます。しかしこれはごく法律的の意味でなくて、経済的の意味であると御了承を願いたいと思います。

○楯委員 どうですか、そういう詭弁を弄されぬでも、はっきり新線だ、ただし建設審議会にはいろいろな事情があってかけることができなかったから、おそまきではあるけれども、委員もきまったことであるから、これからかけて事後承諾を得てやっていく、こういう工合に答弁されたらどうですか。あなた方も新線だといい、あなた方の出された資料には新線ということが書いてあるのです。それから法律にははっきりと附則の別表を改正をして、いわゆる追加をして法律に載せて実施をしていく、こういうことになっておるが、これはどうですか。

○永野国務大臣 先ほども申し上げましたように、今までは今申し上げましたようなことでかけませんでしたが、今後は新線同様、すべて建設審議会の御意見に従いましてこの工事の施行をいたす決心でございます。

○楯委員 そうすると、結局過去とってきた取扱いというものは誤まりであるということを、あなたは認めておいでになるのじゃないですか。今までのものは改良だ、継続だ、しかし今後は建設審議会にはっきりかけて実施をしていく。どうも筋が一貫しないようにとれるのですが、どうですか。

○永野国務大臣 先ほども申し上げましたように、昭和十六年この線にかかりますときには、鉄道会議の決議を経まして、改良費でやるということをきめて、すでに三分の一の工程を終ってるのであります。従いまして、これを、継続事業とは私決して申しませんけれども、継続的の意味がが多分にございますので、改良費予算で工事をしているのをそのまま続けてやってきておるのであります。しかしながら今、楯委員のお話の通り、非常に大きな問題でありますから、従来改良費の勘定でやっておりましたけれども、今後はあらためてこれを建設審議会の議に付しまして、十分な御了承を得てこれを運用して参るつもりでございます。

○楯委員 運輸大臣の答弁は、鉄道敷設法の改正前の議論だろうと私は思うのです。数度法が改正になって、第三条で明らかに鉄道建設審議会を設けて、すべて新線はこれに諮れ、こういうふうに改正になったと私は思うのですが、運輸大臣はそれ以前の――あなたのおっしゃるのは戦争前の話でしょう。そのきまったとおっしゃるのは……。

○永野国務大臣 昭和十六年。

○楯委員 そういう議論は、私は今は通用しないと思うのですが、どうですか。

○佐藤国務大臣 それは今予算に計上いたしておりますように、東海道線建設費はいわゆる新線建設費ではございません。これは線路増設費のうちから別な費目を実は設けておるのであります。この点は先ほど来運輸大臣が申しておりますように、また楯君も鉄道の御出身だから、これはもう御承知のことだと思いますが、こういう場合におきましてば改良工事として、改良費として指定しておる、これは鉄道が在来からずっとやってきておることでございます。従いまして今回の吸い方が特に異例な扱い方をしておらないということを私ははっきり申し上げたいし、予算の項目におきましても新線建設費ではないということを一つはっきり御了承をいただきたい。

 ただ建設審議会の問題になりますと、いわゆる建設審議会に報告というか、あるいは全然相談なしというか、そういうことはあるいは不穏当であるかわかりませんが、運輸大臣の申されるのはそういうような意味でございまして、予算編成上なりその項目としては、ただいま出し上げるように、いわゆる新線建設費としてはこの問題は取り上げないということ、これを御了承いただきたいと思います。

○楯委員 大蔵大臣のおっしゃるように、三十億が新線建設費として盛ってない。これは盛ったらえらいことですよ。新線建設費の九十五億の中三十億入れたら、ここで論議する必要はないのです。これは全然あなた方の黒星ですよ。そんなことは理由にならない。私はこれは明らかに運輸省の手落ちであると考える。

 しかしこれまた時間を食いますので、次に移りたいと思いますが、それなら、昨年の鉄道建設審議会において、わが党の審議委員が、これは新線建設ではないかといって質問をしたときに、どういう答弁をなされ、どういう取扱い方がなされておるかということをお聞きしたい。今この席上であなた万がおっしゃったように、社会党の審議委員の方が質問をされて、了解をされておればいいです。それでいいと思うのだが、そのまま聞きっぱなし、言いっぱなしになっておるじゃないですか、はっきりした結論を出しておらぬじゃないですか、この点どうですか。

○永野国務大臣 お説の通りでございます。この前の建設審議会のときに、淺沼委員からその御指摘があったことはよく承知いたしてわります。ところが、御承知の通り、その後建設審議会のメンバーに変動がございまして、その新幹部がこの研究をしております間に時がたってしまったわけであります。御承知の通り、鉄道建設審議会は運輸大臣の権限の中の機構ではございませんで、独立の機関でございますので、その会長がこれを招集いたしませんと、運輸大臣がこれを招集するわけには参りません。その招集がおくれておりましたことはまことに相応まぬことだと存じております。今度さらにまたそのメンバーがかわりましたので、今度はなるたけ早く招集していただくことを懇請しておりますから、そう遠くないうちにその会議が聞けると考えております。

なお、のちに昭和45年の全国新幹線鉄道整備法案質疑応答資料では、新幹線は新線であり鉄道審議会に諮ることとされている。

http://jpimg.digital.archives.go.jp/pdf/H1530a00870000/024704398137.pdf

新幹線は新設か

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