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2014年11月 2日 (日)

「つばめマークのバスが行く」加藤佳一(交通新聞社刊)を読んで

労作にケチをつけるわけではなくて、「著者は分かってるんだろうけど、この書き方じゃ読者は分からんだろうなー」という部分があったので、補足してみる。

名神ハイウェイバスの開業と成長(124頁)

この年(注:1965年)の9月、名神高速道路の制限時速が100kmに変更されている。

(126頁)

高速道路の制限時速が100kmに引き上げられたことを受け、各メーカーは新しいエンジンの開発に取り組んだ。

これだと、名神高速は普通車も含めて当初の制限速度が100km/hより低く抑えられてたものが1965年に100km/hに引き上げられたように思えてしまうが、そうではない。

普通車はもともと100km/hが上限だったことに対してバスは80km/hに抑えられていた。これが解消されたのが1965年9月ということなのである。

例えば、高速道路調査会発行の「高速道路と自動車」1965年8月号には、特集記事として「名神高速道路のバスの最高速度80キロ制限批判」という題目のもと
・「切望される再検討」山上孝史(運輸省自動車局旅客課長)
・「高速道路のバスの最高速度」並木芳賢(日本国有鉄道自動車局総務課長)
・「高速バス百キロの主張」福島真義(日本乗合自動車協会専務理事)
・「80キロ制限の不合理性」大久保修(日本高速自動車株式会社常務取締役)

といったバス業界からの声が寄せられている。

高速バス速度規制2

そういった声を反映したからか、1965年9月1日に法定速度の引上が行われている。

高速バス速度規制

(高速道路と自動車1965年12月号から引用)

 

この辺を念頭に置くと、労作がより分かりやすくなるんじゃないかな。

なお、「高速道路と自動車」には、上記の他にも高速バス関係の記事が掲載されているので、関心のある方は国会図書館あたりで探してみるとよいのでは?総目次(PDF)は高速道路調査会のサイトで公開されている。

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