国道は廃止されないのか?~「ふしぎな国道(佐藤健太郎著)」の不思議(その1)
「ふしぎな国道」講談社現代新書2282(佐藤健太郎著)という本を図書館で借りたのだが、気になる点があったので貸出期間中に気が付いた範囲で整理してみることにした。
順不同で書くことについてはご承知おきのほどを。
なお、参考文献は、必ず書くことにするので、ご関心を持たれた「ふしぎな国道」の読者の方は是非、原本を確認してほしい。
では、一発目。
そもそも、現行の道路法には、「国道の廃止」という規定が存在しない。国道が国道でなくなるという事態は、そもそも想定されていないのだ。
「ふしぎな国道」佐藤健太郎著107頁
なるほど、道路法第10条では、都道府県道と市町村道の廃止については定められているが、国道の廃止について定めた規定はないように見える。
さて、道路法の条文については、ネットを検索するとすぐ出てくるのだが、その解説となるとその名もずばり「道路法解説」という本がある。
ここで、道路法第10条について調べてみよう。
(私がスキャンしたものは古い版なので、最新の版とは書き方が異なっている可能性があります。ご了承ください。)
引用してみると「高速自動車国道法及び法(引用者注:道路法のこと)は、高速自動車国道及び国道の路線の廃止又は変更に関する規定を定めていないが、これは、これらの路線の指定が政令でなされている以上、当然、その廃止、変更が政令の改廃によってなされるべきなので特に法律ではこれに関する規定をおかなかったことによる。」とある。
「国道が国道でなくなるという事態は、そもそも想定されていない」から規定がないのではなく、手続きは別に決まっているから、わざわざ書く必要がなかったということか。
なお、国道の路線の指定を定めている規定は、道路法第5条であるが、「道路法解説」の第5条の頁には「本条は、路線の指定のみを規定しており、路線の廃止・変更は規定されていないが、これは、道路法が国道の路線の廃止・変更を予定していないからではなく、国道の場合には、政令の改廃という形で処理されるからにほかならない。」とある。
「道路法解説」は、大変お高いのであるが、amazonで安い中古が出ることもあるし、大きな公共図書館においてあったりする。少なくとも東京都中央図書館にはあるので、是非手に取っていただきたい。ここは都民ではなくても利用できる。
その2に続く。
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