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2015年5月 4日 (月)

土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その2)

 前回、土浦ニューウェイについて記事を書いたら、草町氏からこんなツイートをいただいてしまった。単なる「横浜ベイスターズ応援ほっこりブログ」なのに、何故プロの鉄道ライターさんがそんなに緊張することに。。。

 ところで、前回は上記草町氏のツイートのとおり「道路セミナー」から筑波学園研究都市に係る新交通システムについての記事を御紹介したわけだが、その後追加で調べてみた。今回はまずは「橋梁」1978年8月号に掲載された「筑波研究学園都市における新交通システム」大川勝克氏(当時:建設省都市局街路課長補佐)著から前回記事の補足となる部分を紹介してみようと思う。

3 新交通システム導入の必要性(抄)

(4) 新交通システム導入の必要性

 以上の道路網整備の動向,交通需要の推計と道路交通の予測等からすると,研究学園都市内及び土浦市内及び土浦市内において、既存の道路網を使った自動車交通及びバス交通のみで、将来の交通需要に対応することは無理であると考えられる。特に土浦市中心部においては,土浦駅を中心として,バス交通の混雑,自動車交通の渋滞,駐車場不足等の問題が予測され,何らかの抜本的な対策が必要である。このような観点から,一般道路から独立した走行面を持ち,バス交通の容量を相当に上回る新交通システムの導入が検討され,その一部が事業化されたのである。なお都市規模及びそれに伴う交通発生量から言ってモノレールや地下鉄等の大量輸送機関は必要とされていない。

 

「橋梁」1978年8月号「筑波研究学園都市における新交通システム」13頁から引用

 

 「特に土浦市中心部においては,土浦駅を中心として,バス交通の混雑,自動車交通の渋滞,駐車場不足等の問題が予測され,何らかの抜本的な対策が必要である。このような観点から,一般道路から独立した走行面を持ち,バス交通の容量を相当に上回る新交通システムの導入が検討され,その一部が事業化されたのである。」のあたりが、新交通システムが事業廃止された後もニューウェイが建設された所以かもしれませんな。根拠はない私的な推測にすぎないけど。

 

4 新交通システムの計画の概要(抄)

(1) 新交通システムの路線計画

 研究学園都市の土地利用計画は,南北軸に細長く伸びており,商業業務施設を中心として,南北に教育,研究機関,住宅地が配置されている。このため研学都市と周辺市町村の需要量を見ると図-4(引用者略)において,常磐線沿線都市との交通需要が多いことがわかる。研学都市に近接する国鉄駅は,土浦,荒川沖,牛久駅があるが,このうち土浦と荒川沖の両駅は,研学都市の中心部から直線距離で7~8kmの位置にあり,このいずれかの駅に公共輸送機関を整備する必要がある。

 以上の二つの需要を満足する比較案として図-5の如き3案が考えられた。この比較案について,利用者への利便性,地域住民への環境上の配慮,運営者の問題,建設性,等の観点から検討行い(ママ),当面の整備対象路線としては,研学都市を南北に縦断する路線と花室地区から土浦駅を結ぶ路線から成るT字型路線が考えられた。総延長はである。(ママ)

 昭和53年度の予算要求にあたっては,このうち交通需要の比較的多いと見込まれる筑波大学の北側より土浦駅までのL字型(延長14.6km)部分について予算要求を行った(図-6)。結果としてはこの路線のうち緊急に整備を必要とする大学病院からバスセンターまでの1.5km区間について昭和53年度より事業採択することとなった。

 

「橋梁」1978年8月号「筑波研究学園都市における新交通システム」13~14頁から引用

図-5 比較案

新交通システム筑波研究学園線 土浦ニューウェイ (1)

図-6 昭和53年度予算要求

新交通システム筑波研究学園線 土浦ニューウェイ (3)

 

(2) 新交通システムの交通需要の推計 (略)

(3) 新交通システムの経営収支の予測 (略)

(4) 新交通システムの事業化区間の諸問題

 新交通システムが事業化された第1期の1.5kmの区間は,北は筑波大学の附属病院から南はセンター地区のバスセンターまでという事であり,新交通の建設されるルートは,研究学園都市を南北にほぼその中央を通る学園中通り線(仮称)である。その沿道にある主な施設としては,松見公園,図書館,短期大学,商業ビル等がある。またこの地区は研学都市のセンター地区と呼ばれ,周辺地区も含めて将来地区の核として整備される地区である。

 当区間の計画,設計については,茨城県が中心となり,建設省,住宅公団がこれに協力して現在検討を進めている。従って詳細な内容の紹介は後日に譲ることとして本稿では,検討すべき主な事項の紹介にとどめておく。

①新交通システムとして採用する機種については,未だ確定していないが,新交通システムを利用する交通需要が,67,000人/日程度という公共輸送機関としては比較的少ない量であること,研学都市の熟成に応じ段階的建設に適すること,研学都市というNew Cityのイメージに合う技術的に斬新なものであること等の理由から,従来の列車タイプのものでなく,単車でかつ一般道路にもサービスできるデュアルモード型のものを想定して路線計画等の検討を進めている。いずれにしても早期に機種を決定する事が,事業推進上望ましい。

②新交通システムの通るルートは先に述べたとおりであるが,新交通システムとこれが建設される下の道路との関係については詳細な検討が必要であり,かつ早期に決定しなければならない。またインフラ部の構造は,安定性,経済性,管理問題,デモンストレーション効果等の観点から高架が望ましいと考えられる。(以下略)

③経営主体については,他の新交通システム,都市モノレールを実施する県,市の場合と同様,公共主導型の第3セクターの設立によることになる。この場合地元町村の規模が小さい事からこれへの参画は困難であり,公共団体は県が中心とならざるを得ない。一方,研究学園都市は,国が企画したナショナルプロジェクトとも言えるものであるから,これの経営について,何等かの援助が望まれる。

 

「橋梁」1978年8月号「筑波研究学園都市における新交通システム」14~15頁から引用

 先に紹介した「道路セミナー」の記事同様、デュアル・モード・バスを想定したようだ。また、地元自治体がつくば市発足前の町村レベルだったので、第3セクターとしては財政基盤が脆弱であることが指摘されている。

 

6.あとがき

(略)

本稿の執筆中に,研学都市において昭和59年に,万国博,海洋博に続くわが国第3番目の国際博覧会とし「科学博覧会」を開催する方針を決めた事を報ずる新聞記事を見たが,もしこれが実現するとすれば,その開催時期までには全体計画である土浦駅までの新交通システムを完成しておく必要があろう。従って,当面の1.5kmに続き是非とも早期に全体路線の事業化を図りたいと考えている。

(略)

「橋梁」1978年8月号「筑波研究学園都市における新交通システム」16頁から引用

 道路セミナーの記事と異なり、科学万博に触れている。中央官庁のキャリア官僚が「新聞記事を見たが」などととぼけたことを書いているが、当然事前に協議を受けているはずだと思うのだがw。いずれにせよ科学万博までに土浦駅と筑波研究学園都市を新交通システムで結ぶ必要があるという見解を非公式に示したものであることは興味深い。

 更に記事を見つけたので(その3)で紹介したい。

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土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について

土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その2)

土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その3)

土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その4)

土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その5)

土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その6)

土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その7)

土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その8)

土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その9)

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