土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その7)
やめたいのに?やめられない土浦ニューウェイのネタであるが、多分これが本当に最後。(でもね、多分、きっと。)
土木学会関東支部茨城会さんのサイトに「いばらきの建設文化を語る懇談会」という冊子が掲載されている。
その「第1部 基調講演「茨城の道路づくり」講師:立原信永(元土木部総括技監)」に、ニューウェイのことが書いてあったのでご紹介したい。
次に、土浦高架道路である。西大通の事業手続きを順調に進めていたが、これだけでは不安もあったのか、建設省街路課から仮設駅(臨時駅)から立体街路を造る気があれば協力してもよい旨の話があった。
① 仮設駅はあくまで臨時のものであり博覧会後は撤去するものである。
② 平面道路でも対応できるよう計画している。
として立体街路を造るなら県南の核となっている商業業務都市土浦市と筑波学園都市との連携を強化するため、土浦駅東口広場から市街地を抜けるまでの間(3km)に造りたいと申し入れた。この土浦にできる高架街路で博覧会会場へのバス輸送に使用すれば、サブシステムとしても有効であった。建設省も快く理解していただいた。
立体街路の約半分は土浦市の事業であり、市も是非やりたいということで早速取り掛かったのである。しかし博覧会の始まりまで3年を切っていた。用地買収、補併(※補償の誤植か?)交渉など市区間の方が多かったのである。市は全庁を挙げてこれにあたった。設計にあたっては市街地のため、東京にある首都高速のような構造でなく美観を重視し橋脚を鉄筋コンクリート製のY字型のスレンダーなものとした。上部構造もこれと一体感をもたせたプレストレスト・コンクリート構造とした。一部鋼構造としたがコンクリート色に塗装し一体感をもたせた。実質的工期は1年3ケ月余りで完成した。
事業の執行にあったては、県土木部の出先である国際博関連公共事業建設事務所(初代所長石崎瑛男、二代目小沼寛)が関連事業の一切を実施していたが、既に実施中の事業で手一杯なので、土浦土木事務所(当時岩間昌平所長)がこの執行機関となり事務所を挙げてあたった。
博覧会時には東口広場から立体街路を使って、県内のバス会社が50人乗りの普通バスで輸送にあたったのである。
この街路の意義は、とかく中心市街地の交通混雑解消のため外部にバイパスを造ることばかりでなくこの様に高架あるいは地下トンネルという事もあることを立証したのではないか。間もなく開通する水戸市街地の水戸トンネル、これから造る常陸太田市の市街地のトンネルも同じような役割を果たすものと期待できる。
「茨城の道路づくり」立原信永 11頁から引用
建設省が、科学万博にあわせて万博中央駅から会場へ高架道路の建設を検討したところ、地元としては、一旦は採算性の問題から断念していた新交通の想定ルートにおいて建設を要望したという経緯のようだ。
なお、この報文には花室トンネルについても触れている箇所がある。
その後広い幹線道賂も年々交通量が増大し、土浦方面から東大通りの交差点での右折も多くなり、トンネルの道路などもできた。このトンネルは将来土浦学園間に新交通やライトレールを導入する場合にその軌道として転用する事も可能であろう。公共交通機関であるバスやタクシーの優先道路としても活用できるであろう。
「茨城の道路づくり」立原信永 8頁から引用
この「茨城の道路づくり」は、常磐道や北関東道、東関東道の茨城県内ルート決定の経緯等も紹介されているので、ニューウェイに関心がない方も一読されては如何だろうか?
http://www.jsce-ibaraki.com/publication/h14conference.pdf
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土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その2)
土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その3)
土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その4)
土浦ニューウェイ(筑波研究学園都市新交通システム)について(その5)
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