【暗渠】玉川上水と新宿駅南口地区の開発について(その2)
【暗渠】玉川上水と新宿駅南口地区の開発について(その1)が予想以上に好評だったようなので、調子こいて(その2)を書いてみる。
(その1)でご紹介した「JR新宿駅南口地区基盤整備事業」は、甲州街道の架け替えやJRビルの新築だけではなくて、東京メトロ副都心線新宿三丁目駅への地下歩道の整備も含まれている。
このピンクのやつだ。(その1)を見ていただいた方には、これは玉川上水が絡んでいるだろうと思うであろう。
この歩道の施工に係る報文がある。
「副都心線新宿三丁目駅出入口地下歩道工事における函体推進について 」大石 敬司、 岡田 龍二、西村 聡、 藤内 邦彦・共著(東京地下鉄)
「新宿四丁目交差点直下に地下歩道を築造」小山 浩史(大林組 新宿三丁目JV工事事務所 所長)
単刀直入にいくとズバリこうです。
「新宿四丁目交差点直下に地下歩道を築造」から引用
ちょいとコメントを入れてみる。
「新宿四丁目交差点直下に地下歩道を築造」から引用加筆
(上下の地図と図面は縮尺を合わせていません。見取り図ということでご了承ください)
横断図は下記のような感じで
「副都心線新宿三丁目駅出入口地下歩道工事における函体推進について」から引用加筆
パイプルーフとか函体推進について気になる方は是非報文をご一読ください。ざっくり言うと、トンネルの上部に玉川上水や重交通量の明治通りがあるので地盤沈下しないようにトンネル本体の工事より先に、パイプで屋根を作っておく。その後、75cmの厚さで輪切りにしたトンネル本体を後ろから(新宿駅側から)ぐいぐい押し込んでいくというようなところかなー。
こちらもコメントを入れてみる。
こうして見ると、土被りが非常に薄い。玉川上水から地表面まで1メートルもないのではなかろうか?路上工事で何かチョンボしちゃうとすぐ玉川上水に当ってしまいそうだ。
また、ここでの玉川上水の形状を見ると、(その1)で引用した、暗渠の中のレポートが思い出される。
明治通りからここ(引用者注:大木戸)まで、新宿御苑北側の道が堀の跡です。地下は人が立てるほどのトンネルの水路になっています。三年前にこのトンネルのなかを、はき水門から上流に向かって歩かせてもらったことがあります。10センチくらいの深さで水が流れていました。
まっくらなトンネルのところどころが明るくなります。そこはマンホールのふたの穴から光がさしこんでいるのです。「このマンホールは甲州街道陸橋下の植えこみのところですよ」、といわれてからしばらく、あじけないコンクリートのかべが、とつぜん煉瓦にかわりました。かべからてんじょうまでレンガを積んだアーチ形をしています。かいちゅう電灯の光にうかんだ曲線はとてもやわらかで、美しいという感じがしました。この上は新宿駅で、明治時代のおわりごろに線路の下をあんきょにしたそうです。
「玉川上水 親と子の歴史散歩」たましん地域文化財団・刊 伊藤好一・監修 比留間博・著242~243頁から引用
明治時代に国鉄の下を暗渠にしたところは煉瓦アーチで、その後に暗渠にしたところは、「あじけないコンクリートのかべ」ということが確認できたように思える。
写真左側に写る「駅漏れ」は、上部空間を走る玉川上水から漏れているんじゃないだろうか??という妄想も楽しい。
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暗渠とは直接関係ないが、上記図面の「シールド区間」については、下記リンク先を参照されたい。
鴻池組「浅い土被りで都心国道下を掘進する開放型矩形シールド」
鴻池組「国道20号新宿地下歩道工事」
この地下道入り口は、施工時はシールドマシンの発進基地だったのだ。玉川上水は、右側に見える橋脚の右側地下を走るのか?それとも左側地下なのか?
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次いで(その3)へ。今度は西口に移ります。
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