恵知仁( @t_megumi )氏「幻の貨物新幹線」半世紀残った遺構、来年にも見納めに→いや、まだまだ残るわな
「乗りものニュース」に、「幻の貨物新幹線」半世紀残った遺構、来年にも見納めに 東京〜大阪5時間半 という記事が載ったおかげでその瞬間から私のブログのアクセス数がガンガン増えたので喜んでいる次第である。
「三島高架橋」で検索すると、阪神高速道路が直結するはずだった新幹線大阪貨物駅がヒットするもので。
ところで、ライターの恵知仁氏は、「利用価値がないながら、管理の手間はかかるこの「貨物新幹線計画」の痕跡、あと1年ほどで消えてしまう見込みです。」としているが、実際のところは、貨物新幹線の「ジャンクション」はまだまだ現役であり当分消える見込みはないのである。
大阪じゃなくて名古屋なのだが。で、今日なおバリバリ利用されている。
東海道新幹線の貨物駅は、東京(品川(当初)→大井)、静岡(柚木)、名古屋(日比津)、大阪の4箇所に計画され、それぞれ用地買収も実施済だったのであるが、恵氏の記事同様、名古屋でも貨物駅への線路が新幹線の本線を跨ぐため、そこが工事され、完成しているのである。
東海道新幹線の建設誌には、下記のような名古屋駅と貨物駅の配置図が掲載されている。
実際には、貨物新幹線は実施されなかったため、全て旅客電車の基地に転用されているが、もともとは貨物線が新幹線の本線をオーバーパスするための構造物が本線の開通にあわせて建設されているのである。
「交通技術」1963年7月号には「工事たけなわの新幹線名古屋地区」と題した記事が掲載されている。
ホームをはずれるところから、名古屋貨物駅としての日比津ヤードとを結ぶ貨物線上下2線が分岐する(以下略)
「交通技術」1963年7月号34頁
貨物ヤードは庄内川沿いの日比津に予定されており、貨物線は中村高架橋のところで新幹線の下り本線を乗り越す。貨物扱いは来年10月1日開業と同時に行わないことになっているが、ここでは上下本線に挟まれており、開業後では施工不能となるので、日比津への乗越部のところまで施工済である。
「交通技術」1963年7月号34頁
掲載されている施工写真を見ると、まさに大阪で解体工事が進んでいる三島高架橋と同じような構造物が見て取れるのである。
現在は下記のような状況である。
東京方から大阪方面を望む。
大阪方から東京方面を望む。右側の高架橋が貨物駅への分岐線となるはずだった。
「日比津線」というのか。
前掲の図面からすると赤丸のあたりである。
件の大阪の案件も完成していればこのような姿を見せていたのであろう。
なお、余談ではあるが、恵知仁氏は記事中
東京新聞が2013年に報じたところによると、インフレによる東海道新幹線の建設費増大も「断念」の理由とされています。
としているが、インフレによる東海道新幹線の建設費増大は、上記の「交通技術」記事にも出てくる「貨物扱いは来年10月1日開業と同時に行わないこと」の理由というのが正当であろう。
昭和40年3月の国会では、国鉄柴田常務理事(当時)が
との答弁をおこなっているところだ。
また同様に
とも書いているが
「国鉄線」1972年3月号では、下記のように明確に比較検討したうえで在来線の貨物で用が足りると判断されているようだ。
恵知仁氏も、もうちょっとググってみるとかしてはどうか。
「乗りものニュース」のビジネスモデルとしては、大手ポータルサイトへの転載によるレベニューシェアが柱だろうから、取材やライターに大したコストはかけられないだろうというのは理解しているのだけれども。
(参考)
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