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2016年12月に作成された記事

2016年12月11日 (日)

「完全版 新宿駅大解剖」(横見浩彦・監修 宝島社・刊)表紙トップの上越新幹線ネタを検証してみる

 「完全版 新宿駅大解剖」(横見浩彦・監修 宝島社・刊)という本が先月出版された。http://tkj.jp/book/?cd=02599701

 表紙にデカデカと「タカシマヤ タイムズスクエア直下に幻の新幹線駅が!?」とある。

 また、第2章に「上越新幹線の新宿駅乗り入れ計画とは?」という項が、第7章に「輸送量の頭打ちとタカシマヤ タイムズスクエアの開業」という項があり、「タカシマヤ タイムズスクエア直下に幻の新幹線駅が」あるというようなことを書いている。

 果たしてそうなのか検証してみたい。

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■タカシマヤタイムズスクエアの地下はどうなっているのか?

タカシマヤタイムズスクエア

 上記断面図は、「近代建築」51巻1号に掲載された「作品 タイムズスクエアビル 設計監理 日建設計」から引用したものである。

 新宿高島屋は地下1階までしか営業していないので、「地下3階に新幹線ホーム、地下2階に上越新幹線のコンコースがある」という考えを呼びやすいのではないかと思っているのだが、ご覧のように地下4階まで機械式駐車場がビッチリと設置されている。

 その様子は日産自動車のウェブサイト内の記事「新宿高島屋の地下にハイテクな駐車場があった!」http://www.nissan.co.jp/CARWINGS/kuruma_aruki/par_01_02.htmで紹介されている。

 このどこに新幹線駅用のスペースがあるというのだろうか?

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■タイムズスクエアの駐車場の更に下に新幹線のホーム用のスペースがある可能性はあるのか?

 「地下4階まで駐車場だからといってその下にスペースが確保されている可能性だってあるじゃないか」という向きもいらっしゃるかもしれない。

上越新幹線新宿駅構想 (5)

 上図は、「完全版 新宿駅大解剖」でも紹介されている国鉄の「新宿駅貨物敷活用基本構想」に掲載されている図面であるが、上越新幹線が地下3階、その下の地下4階に中央新線(現在、京葉線の延伸部と言われている路線と思われる。)、更にその下の地下5階に都営新宿線が走っている。「貨物敷開発ビル」が現在のタイムズスクエアであろう。

 この絵でも新幹線は「貨物敷開発ビル」の西側に位置しているのが分かるがそれはひとまず置いておいて、タイムズスクエアの地下駐車場の下の深さにホームを作ると上越新幹線は都営新宿線の上を通れないのである。

 細かいところは以前http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-9452.htmlに書いたのでお目通しいただければ幸甚である。

 ということで「タイムズスクエアの駐車場の更に下に新幹線のホーム用のスペースがある可能性はない」と言って差し支えないのではないか?

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■「新宿駅貨物敷活用基本構想」では、どこに上越新幹線ホームがあることになっているのか?

 「完全版 新宿駅大解剖」の「上越新幹線の新宿駅乗り入れ計画とは?」という項では、「新宿駅貨物敷活用基本構想」には地下に3面6線のホームが載っている旨書いてある。

上越新幹線新宿駅構想 (1)

 私のブログでさんざんネタにしたものである。

上越新幹線新宿駅構想 (25)

 平面図では地下3階の上越新幹線ホームはこのように位置している。図面の上部にある「貨物敷開発ビル」とは切り離されている(=「タカシマヤ タイムズスクエア直下に幻の新幹線駅が」ない)ように見えるのではないか?

上越新幹線新宿駅位置図

 このイメージ図でも「貨物敷開発ビル」の地下には自動車駐車場らしきものが見て取れ、上越新幹線のホームは、現在の埼京線・湘南新宿ラインのホームの直下にあるように見える。

上越新幹線新宿駅構想 (29)

 タカシマヤ タイムズスクエアの敷地は「地上・地下ともに活用可能な用地」とされている。上越新幹線のホームが設置されるなら、左端の都営新宿線や中央の中央新線上部箇所のように「地下の活用」には制約が加わるはずだ。

 「新宿駅貨物敷活用基本構想」に絶対従わないとダメとまで言うつもりはない(この「基本構想」も「貨物駅敷地を処分するにあたりどこまでは鉄道事業用地としてキープして、どこからは処分をしてもよいかを決めるための仮想設計」にすぎないと思われる。また、「中央新線ホーム」のように実際には考慮されていないと思われる部分もあり、その意味ではあくまでも「基本構想」にすぎず最終決定事項でもない。)のだが、表紙にまで「タカシマヤ タイムズスクエア直下に幻の新幹線駅が!?」と書いておきながら、本文中にはさらりと矛盾する資料をつまみぐいのように紹介するのは、編集方針として如何なものだろうか?

 監修者の横見浩彦氏の考えを聞いてみたいものである。(「そこは監修者の仕事じゃないよ。」ということであればそれまでなのであるが。)

 しかも「完全版 新宿駅大解剖」には上記のような図面は引用されていないのであるから、私のブログを見ない読者はその矛盾に気が付くことはないだろう。

 他方、「タイムズスクエアの直下にホームが計画されている。」という根拠は、私の読解力の範囲では、「完全版 新宿駅大解剖」には載っていないように思われる。

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■そもそもタイムズスクエアの下に新幹線ホームがあるってどこにソースがあるの?

 以前のブログ記事http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/index.htmlでも探してみたのだが、この明確な根拠にたどりつけていない。

 yahoo!知恵袋では「新宿駅の地下空間(高島屋、タイムズスクウェア下)が新幹線用に確保されているというのは有名な話です」となっているのだが。

 「新宿駅はなぜ1日364万人をさばけるのか」の著者・田村圭介氏もこうツイートしているのだからどこかに根拠がありそうなものだが。

 やっと見つけたのが草町義和氏の「鉄道計画は変わる」第1章 東京~大宮間鉄道計画の変転 「最後に残った上越新幹線新宿乗り入れはどうなる?」 掲載の下記の一文である。

新宿駅南東側のタカシマヤタイムズスクエアの真下に、新幹線ホームの建設スペースが確保されているといわれているが、実現する日は来るのだろうか

 

「鉄道計画は変わる」草町義和・著 交通新聞社・刊から引用

 ただ、これも「いわれる」とあるだけでその根拠は示されていないように見受けられる。

 「完全版 新宿駅大解剖」担当者にはこれで十分なのかもしれないが、国鉄の図面として「最終的にはタイムズスクエアの下にホームを確保することとなった」というようなものがあったりはしないのだろうか?

 もしご存知の方がいらっしゃれば是非ご教示ください。

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■(独り言)そもそも俺のブログと構成が似ているんですが

 

 (※ここから下は雑談なので、読まなくてもいいです。独り言ですので。)

 「完全版 新宿駅大解剖」の「上越新幹線の新宿駅乗り入れ計画とは?」では

・東京都と国鉄の間での駅設置位置の協議

・新宿までのルートが決定した当時の報道

・「新宿駅貨物敷活用基本構想」

てな具合で話が進んでいくのであるが、

・東京都と国鉄の間での駅設置位置の協議

  ↓

 俺のブログで出ているなあ。http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-6883.html

上越新幹線新宿駅構想 (19)

・新宿までのルートが決定した当時の報道

  ↓

 俺のブログで出ているなあ。http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-d5ec.html

上越新幹線新宿駅乗入れ (1)

・「新宿駅貨物敷活用基本構想」

  ↓

 俺のブログで出ているなあ。http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-6225.html

上越新幹線新宿駅構想 (1)

 「完全版 新宿駅大解剖」には「新宿駅貨物敷活用基本構想」は運輸省のものと書いているが実際には国鉄のものですよね。そこは見なかったんですかね。(http://www.mlit.go.jp/hakusyo/transport/shouwa58/ind020103/003.htmlの(5) 収入の確保) 中(関連事業,資産処分による増収策)を参照されたし。

 とまあ、被害妄想にすぎないのだろうがモヤモヤしてしまうのである。全部公開されている資料だし誰でもちゃんと調べれば書けるはずではあるのは分かっているのだけれどもね。

 だが「新宿駅貨物敷活用基本構想は一体どこから探してきたんですか?」とは聞いてみたいものだ。この資料を上げている人は私と、(なぜか掲載している新聞記事まで私のブログと同じ部分になっている)このブログhttp://ameblo.jp/milkyht2/entry-12156318050.htmlくらいのものではないか。自力で調べたのであればどこにあったか答えられるはずだ。

 

 最近DeNAの「キュレーションサイト」等が問題となっていて、ライターや「キュレーター」が書いた(「リライト」した)記事について「専門家の監修が必要」とも言われている。

 ライターが「リライト」して、「専門家」の「監修」でお墨付きを与えたような本の作りになっていないことを願うばかりである。

 なお、下記のような指摘もでていることも付言しておきたい。

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 <追記>

 「完全版 新宿駅大解剖」(横見浩彦・監修 宝島社・刊)105頁に「上越新幹線の経路だが、荒川付近から地下を通り、池袋駅付近では地下鉄有楽町線と副都心線のトンネルの間に新幹線トンネルがあるようだ。」とあるが、これは川島令三の妄想をコピペしただけのインチキ記述にすぎず、当時の新聞も調べていないようだ。

 詳しくは、「上越新幹線新宿駅-大宮駅間ルート「川島令三案」を徹底検証してみた」http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/--a64d.htmlをご覧ください。

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 宜しければ過去に書いた上越新幹線新宿駅関係の記事にお目通しください。「新宿駅貨物敷活用基本構想」等関係資料をいろいろ探索しております。それらの生資料をお読みの上、「完全版 新宿駅大解剖」と突き合わせてみては如何でしょうか?

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 <上越新幹線新宿駅関係記事>

 その1 http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-6225.html

 その2 http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-6883.html

 その3 http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-d383.html

 その4 http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-f365.html

 実際のところどうなっているのか? http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-9452.html

 国会でどのように答弁されてきたのか? http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-6db4.html

 報道をまとめてみた(その1) http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-d5ec.html

 報道をまとめてみた(その2) http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-a27d.html

京葉線の中央線方面への延伸と新宿駅予定地~上越新幹線の下に準備。そしてバスタとの関係は?~http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/post-f4a3.html

 「完全版 新宿駅大解剖」(横見浩彦・監修 宝島社・刊)表紙トップの上越新幹線ネタを検証してみる http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2016/12/post-7007.html

大新宿構想時代(昭和50年前後)の上越新幹線新宿駅地下ホーム等の図面http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-bfa5.html

やっぱりバスタ新宿の基礎で上越新幹線新宿駅はできなくなっちゃったんじゃないの?http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-1df5.html

上越新幹線 新宿-大宮間ルートの経緯を整理してみるhttp://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-6d67.html

上越新幹線の池袋駅はどうなっていたのかhttp://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-2c6b.html

大宮駅付近に見る上越新幹線新宿-大宮ルートの痕跡http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-1c4d.html

東北新幹線は浦和市営モノレールの導入空間を空けて今でも待ってるhttp://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2017/01/post-0765.html

上越新幹線新宿駅-大宮駅間ルート「川島令三案」を徹底検証してみたhttp://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/--a64d.html

上越新幹線新宿駅と都営地下鉄新宿線及び大江戸線との位置関係を確認してみるhttp://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-3b1a.html

「京葉線はかつて新橋経由で都心(新宿、三鷹)に乗り入れる計画だった。」http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-1315.html

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2016年12月 4日 (日)

首都高と河川利用と景観

 先日、首都高初期のパンフ「首都高速道路公団のあらまし」首都高初期のパンフ「伸びゆく首都高速道路」をUPしたところであるが、「日本橋の景観が(ry」という点について再度整理してみたい。

首都高速道路公団事業のあらまし  (1)

 首都高が設立され、その「事業のあらまし」を紹介するパンフに「日本橋を高架橋が乗り越えていく箇所」を持ってきたところに、首都高側の「これこそ首都高の象徴となるシーン」とする意向、姿勢が伺い知れる。

 大山総裁にもお喜びいただけた。

伸びゆく首都高速道路 (27)

 「完成時にはそのダイナミックなスケールと、そのメカニックな美しさのため東京の新名所となることでしょう。」というあたり、「これこそ新時代の美しさなのだ」という提起をしており、後付けで「オリンピックのために景観を無視した」という批判はあたらないのではないだろうか?

 当時の報道等も気にして見ているのだが、河川上(若しくは干拓)の利用による道路整備を批判したものには(私の探索努力不足もあろうが)あまり目立たない。むしろ下記のような論調のものを見つけたりした。

河川活用による高速道路建設

 (読売新聞 1962(昭和37)年1月25日付夕刊から引用)

 読売新聞の主張をざくっとまとめてみると

・新しくできる阪神高速は河川敷を上手く使うことになっているが、首都高の場合は、東京で戦災の残土処理のために多くの河川を埋め立ててしまったので大きな阻害になっている。

・首都高の河川敷利用が少ないため用地買収等に必要以上の経費がかかっているうえ、住民の反対で工事が遅れている。交通事故が多発する交通事情を改善するために一日も早い道路整備が必要だ。

・河川が不要になったら干拓して掘割式の自動車道路を建設したり、河川を廃止できなくても高架の自動車道路を建設したりするのが世界各国の大都市における実情だ。

・戦災復興の埋め立ては景観上問題ありとしながら、高速道路による河川利用についてはそのような指摘がないことからすると、当時の読売新聞としては、高速道路による河川利用は景観上はセーフだったのだろうか?

 

 最近のマスコミ等の論調では「都心の高架の高速道路や水辺を潰す高速道路は世界的に珍しく、考えられない」といった趣旨がよく見受けられるが、当時のマスコミは、それこそ世界の大都市の実情だとして河川敷を活用した一日も早い道路整備を主張しているのである。その背景には交通事故等の事情が逼迫していたことも記事から読み取れる。

 マスコミが勝手なところは、自社のこういった過去の主張は無視して、その時々でええかっこするし、「世界の実情」も自分の都合のいい断面で切り取って持ってくるあたりかなと。

 読売新聞が「首都高の景観が~」と言い出したら、この記事についての感想をまず語っていただきたいものだ。

 私も価値観が時代によって変化することを否定するわけではないが、まあ自社の主張についても一定の整理をしたうえでマスコミさんにも偉そうなことを言ってほしいなと。

河川活用による高速道路建設2

 ちなみに、毎日新聞1965(昭和40)年8月3日付の記事では、「高速道路建設にあたって京橋をどうするかをめぐって地元町会と話し合ったが、予想に反して反対意見が少なかったため取り壊した」とある。地元の意識も当時はそんなものだったのだろう。

 この記事もノスタルジーの面ではとらえているが、景観の面には一切触れていない。

 この他にも、「首都高の高架下にドブ川を残すより、この際埋めて活用しよう」という地元の意向もあった旨の記事も見た記憶がある。

伸びゆく首都高速道路 (18)

 とはいっても、6号線の隅田川沿いに高架橋を立てるにあたって「セーヌ河畔にも河川敷を利用したモーター・ウェイがあります」とするのは悪ノリのような気がする。いくら私でもあれとこれは違いすぎるだろうと思うぞ。

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 記事の趣旨とは異なるが、首都高速の河川利用にあたって河川管理者側の経緯をまとめた報文がなかなか興味深いので、この機会にぜひお目通しいただきたい。

「日本橋における首都高速道路の上空占用に至る経緯」

http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/content/000021817.pdf

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