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2017年7月に作成された記事

2017年7月16日 (日)

1970(昭和45)年の阪神高速道路構想は未成道の宝庫だった

阪神高速道路未成構想 (3)

 ここに「都市高速道路網図」と題された地図がある。阪神高速道路っぽいが赤い線は第二京阪もあれば全然見たことのない路線もある。

 実は、これは1970(昭和45)年1月に「大阪地区都市高速道路調査委員会」により制定された「大阪地区における都市高速道路に関する答申書」に添付された図面であり、当時の阪神高速道路将来構想といったところなのである。

阪神高速道路未成構想 (2)

 上記のような基本構想に基づき、下記のようなパターンが作成された。

阪神高速道路未成構想 (1)

 これだけの路線(約152.6km)を1985(昭和60)年までに整備しようというのだから、流石オイルショック前の高度成長期である。

 大阪万博がこの3月に開幕するということで、大阪の道路網はそれにあわせて急スピードで整備されたのだが、万博後に更にステップアップするといった位置付けになるのだろうか。

 屁理屈はこれくらいにして、各路線について紹介してみよう。

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第2環状線

 本路線はパターンの骨格をなすものであり、現環状線を補完し、新計画放射路線からの都心交通の分散、導入を図ると共に、放射線相互間の分散を図るものである。

[主要ルート]

 中津川―大川―京橋―平野川―阿倍野墓地―南海高野線―旧境川運河―六軒屋川

[起点]福島区下島町附近 [終点]福島区下島町附近 [延長]約28.0km

[ランプ位置]

 大淀町南附近、中津浜通附近、豊崎西通附近、都島本通附近、新喜多町附近、猪飼野中附近、猪飼野東附近、桑津町附近、杭全町附近、阿倍野筋附近、松通附近、津守町東附近、千鳥町附近、北境川町附近、西野下之町附近、下島町附近

阪神高速道路第2環状線(未成道)

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長堀線

 本路線は第2環状線を短絡し、あわせて都心部交通の便を図るものである。

[主要ルート]

 第2環状線―木津川―長堀川―九条深江線―環狀線

[起点]浪速区木津川町附近 [終点]東成区南中町附近 [延長]約6.8km

[ランプ位置]

 空堀町附近、末吉橋通附近、西長堀南通附近

阪神高速道路長堀線(未成道)

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高槻線

 本路線は淀川以北の京阪間交通のための路線であり、吹田、茨木、高槻方面と大阪市との連絡を図るものである。さらに京都方面との接続を考慮する必要がある。

[主要ルート]

 第2環状線―長柄橋―柴島浄水場―十三吹田線―神崎川、安威川―東海道新幹線―大阪外環状線

[起点]大淀区長柄西通附近 [終点]高槻市辻子町附近 [延長]約18.0km

[ランプ位置]

 淡路本町附近、内本町附近、三島附近、鳥飼八町附近、辻子附近、辻子附近

阪神高速道路高槻線(未成道)

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第2京阪線

 本路線は平面街路部分とあわせて、淀川以南における京阪間交通の基幹道路となるものであり、門真、寝屋川、枚方方面と大阪市との連絡を図るものである。さらに京都方面との接続を考慮する必要がある。

[主要ルート]

 第2環状線―桜島守口線―大阪枚方京都線―大阪府界

[起点]都島区都島中通附近 [終点]枚方市長尾附近 [延長]約23.8km

[ランプ位置]

 古市南通附近、(くさかんむりに稗)島附近、小路附近、交野町附近、杉附近

阪神高速道路第2京阪線(未成道)

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東大阪線(延伸線)

 本路線は既定の大阪東大阪線の東伸線であり、東大阪方面と、大阪市との連絡を密にするものである。さらに奈良方面との接続を考慮する必要がある。

[主要ルート]

 大阪東大阪線―築港枚岡線―大阪外環状線

[起点]東大阪市長田附近 [終点]東大阪市弥生町附近 [延長]約4.0km

[ランプ位置]

 荒本附近、弥生町附近

阪神高速道路東大阪線(延伸)

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八尾線

 本路線は東大阪、八尾方面と大阪市との連絡を図るものである。さらに奈良南部との接続を考慮する必要がある。

[主要ルート]

 第2環状線―東部市場―大阪楽音寺線―大阪外環状線

[起点]東住吉区杭全町附近 [終点]八尾市楽音寺附近 [延長]約11.0km

[ランプ位置]

 巽四条町附近、美園町附近、楽音寺附近

阪神高速道路八尾線(未成道)

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泉北線

 本路線は堺市を含む南大阪方面と大阪市との連絡を図ると共に、和歌山方面との接続を図るものである。

[主要ルート]

 第2環状線―国鉄阪和線―浅香山向陵線―下石津泉ケ丘線―近畿自動車道和歌山線

[起点]阿倍野区美章園町附近 [終点]堺市東八田附近 [延長]約13.2km

[ランプ位置]

 長池町附近、長居町中附近、山之内町附近、浅香山町附近、黒土町附近、百舌鳥陵南町附近、東八田附近

阪神高速道路泉北線(未成道)

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大阪港線

 本路線は大阪港及び臨海工業地帯と都心部との接続を図るものである。

[主要ルート]

 大阪湾岸線―築港深江線―大阪東大阪線

[起点]西区江之子島西之町附近 [終点]港区港晴附近 [延長]約5.6km

[ランプ位置]

 九条通附近

阪神高速道路大阪港線(構想時)

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阪神山手線

 本路線は豊中方面、及び阪神間と大阪市との連絡を図り、同時に高槻線との接続によって、北大阪の円滑な交通の便を図るものである。

[主要ルート]

 第2環状線―阪急宝塚線―  三国塚口線―大阪府界

 高槻線―神崎川―

[起点]大淀区中津浜通附近及び吹田市南吹田附近 [終点]豊中市庄本町附近 [延長]約8.9km

[ランプ位置]

 十三東之町附近、三国本町附近、江の木町附近、庄内西町附近

阪神高速道路阪神山手線(未成道)

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淀川右岸線

 本路線は臨海工業地帯から副都心となるべき新大阪周辺への連絡を図るものである。

[主要ルート]

 阪神山手線―北方貨物線―大野川―淀川北岸線―大阪湾岸線

[起点]東淀川区野中南通附近 [終点]西淀川区中島町附近 [延長]約km

[ランプ位置]

 野里東附近、大和田西附近

阪神高速道路淀川右岸線(未成道)

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大和川線

 本路線は臨海工業地帯と南大阪内陸部との連絡を図り、あわせて中央環状線、大阪湾岸線 と一体となって大阪市域をつつむ、大きな環状線を形成するものである。

[主要ルート]

 大阪湾岸線―大和川―国鉄阪和貨物線―大堀天美線―大阪松原線

[起点]住吉区北島町附近 [終点]松原市三宅町附近 [延長]約8.6km

[ランプ位置]

 南加賀屋町附近、墨江中附近、天美西附近

阪神高速道路大和川線(構想時)

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大阪湾岸線

 本路線は大阪湾々岸道路計画の一環としての路線で臨海部交通の便を図るものである。 さらに兵庫及び和歌山方面への接続が必要である。

[主要ルート]

 松原泉大津線―大阪臨海線―南港―大阪港第2突堤―中島町―大阪府界

[起点]西淀川区中島町附近 [終点]高石市高師浜丁附近 [延長]約17.1km

[ランプ位置]

 中島町附近、島屋町附近、港晴附近、南港東附近、南港東附近、大浜北町附近、出島浜通附近、高師浜丁附近

阪神高速道路湾岸線(構想時)

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(以下は、革洋同によるコメント)

 大変盛大な構想であるが、この中で実現したのは湾岸線、東大阪線。第二京阪線は日本道路公団→西日本高速道路の手によって完成した。(当時は、京都は阪神高速道路の事業区域ではなかった。)

 大和川線は一部完成し、全通に向けて工事が進められている他、淀川「右」岸線ならぬ淀川「左」岸線も一部完成し、残りは工事中だ。

 

 なお、これより古い、最初期の構想を「「名神全通50周年企画」なぜ名神高速道路は神戸まで行かないのか」http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-d2b3.htmlのなかで紹介している。あわせてご参照いただきたい。

 また、同時期の首都高速道路構想も未成道満載なので、お好きな方はどうぞ。

「昭和37年の首都高速道路将来計画」http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/37-ddb3.html

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2017年7月15日 (土)

「東京 消えた! 鉄道計画」中村建治(著)が怪しい~西武新宿線の国鉄(JR)新宿駅乗り入れを整理してみる。(番外編)

 西武新宿線の国鉄(JR)新宿駅乗り入れについては、以前ぎっちりとまとめたところではあるが、「東京 消えた! 鉄道計画」に掲載された新宿駅乗入れの記事がどうも怪しい。というかはっきり言って嘘。著者の中村健治氏は鉄道史学会会員ということらしいが困ったものだ。

「東京 消えた! 鉄道計画 」中村建治 の西武新宿線乗り入れに係る嘘 (2)

「東京 消えた! 鉄道計画 」中村建治 の西武新宿線乗り入れに係る嘘 (1)

 以前も「西武新宿線の国鉄(JR)新宿駅乗り入れを整理してみる。(13)新宿駅東口2階の吹き抜けに西武新宿線が乗り入れるはずだったのか?」http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-4221.htmlで怪しいやつをいくつか潰したつもりだが、ここまであからさまな嘘はアカンやろ。

 「建築界」1964年8月号「新宿東口民衆駅・新宿駅東口地下駐車場」に、新宿ステーションビル竣工時の図面が載っているので見てみよう。

西武鉄道新宿駅 ルミネ(マイシティ)乗り入れ計画図面 (2)

 この1枚で西武駅(改札の右側にホームが設置されるはずだった)と吹き抜けの関係が全くないことが分かる。

 「狭い駅ビル内ではホームの長さが足りない」もなにも、駅ビル内にホームは乗り入れていないし、「高い天井」は「電車を待ち受け」たりしていないのである。

 現在のルミネ・エストのフロアマップhttp://www.lumine.ne.jp/est/map/#F2と比べてみると、「ローリーズファーム」や「イーハイフンワールドギャラリー」のあたりが、改札、ホーム事務室、出札室となっていることが分かる。「今でも同ビル内には、やや広めの駅スペースがあ」ったりはしないのである。

 参考までにホームと駅ビル、新宿駅全体との位置関係を示すと下記のとおりである。

西武鉄道新宿駅 ルミネ(マイシティ)乗り入れ計画図面 (9)

(国鉄停車場技術講演会第14回資料「ターミナルビルの最近の傾向について」318頁から引用)

西武鉄道新宿駅 ルミネ(マイシティ)乗り入れ計画図面 (5)

(東工15巻4号「新宿駅改良工事の計画と施工について」21頁から引用)

 ところで改札はビルの2階だけではない。

西武鉄道新宿駅 ルミネ(マイシティ)乗り入れ計画図面 (8)

 西武駅に係る部分を拡大してみる。

西武鉄道新宿駅 ルミネ(マイシティ)乗り入れ計画図面 (7)

 どうやら東口のびゅうプラザがあるあたりに西武の改札口や出札室が予定されていたようだ。2階の改札はともかく、1階の改札を明らかにした事例は少ないのではないか。そして1階の方がメインのように見える。

 また、3階にも西武駅務室が予定されていた。

西武鉄道新宿駅 ルミネ(マイシティ)乗り入れ計画図面 (6)

 フロアマップhttp://www.lumine.ne.jp/est/map/#F3によると、現在「スリーコインズ」があるあたりが駅務室だった。

 なお、鉄道ピクトリアル1964年7月号「近代化した民衆駅…新宿駅ビル誕生」に掲載された写真には、西武駅ホーム接続部分の仮覆い?的なものが見られる。この大きさでホームや電車そのものが乗り入れられるように見えるだろうか?

西武鉄道新宿駅 ルミネ(マイシティ)乗り入れ計画図面 (1)

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 やはり諸悪の根源は、河尻正氏の日経東京ふしぎ探検隊「西武新宿駅はなぜ遠いのか 幻の東口乗り入れ計画」の思わせぶりな書き方なのだろうか?

「東京ふしぎ探検隊」河尻正の西武新宿乗り入れ記事が怪しい

http://style.nikkei.com/article/DGXNASFK2103N_S2A121C1000000?channel=DF280120166608&page=2

 「新宿民衆駅ステーションビル」の2階部分の設計図。」は、上記で引用した「建築界」掲載の図面とは形状が異なり、完成形のものではないと思われる。

 また、「ルミネエストの建物は1階の天井が高く、2階はかなり低い。1階の吹き抜けもやたらと広い。かつての設計図を見ると、このフロアの形が西武線乗り入れ計画の名残だとわかる。」とするも、「建築界」掲載の図面と比べてみると、何を根拠に天井高や吹き抜けが「西武線乗り入れ計画の名残」としているのか訳が分からない。

 ちなみに「建築界」に掲載された断面図がこちら。

西武鉄道新宿駅 ルミネ(マイシティ)乗り入れ計画図面 (10)

 1階の高さは5000mm、2階は4200mm、3階から上は概ね3800mmである。「2階はかなり低い」わけではない。

西武鉄道新宿駅 ルミネ(マイシティ)乗り入れ計画図面 (11)

 拡大してみると、1階の出札や改札口の様子がわかる。

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 ところで地下1階はこんな感じ。西武ホームに沿って右斜め上に柱が入っていることが分かる。

西武鉄道新宿駅 ルミネ(マイシティ)乗り入れ計画図面 (3)

 ベルクあたり拡大してみる。

西武鉄道新宿駅 ルミネ(マイシティ)乗り入れ計画図面 (4)

 ベルク店内の柱が西武線ホームの名残であることがよくわかる。

西武新宿線 国鉄新宿駅乗り入れ計画 (81)

(「新宿駅最後の小さなお店ベルク: 個人店が生き残るには?」井野朋也・著 スペースシャワーネットワーク ・刊 から引用)

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(1)プロローグ

(2)戦前の新宿駅乗り入れ構想

(3)戦後新宿駅乗り入れの具体化へ

(4) 魑魅魍魎うずまく新宿ステーションビル

(5)新宿ステーションビルへの西武線乗り入れ

(6)新宿ステーションビルへの乗り入れ中止

(7)地下道による西武新宿駅と営団地下鉄・国鉄新宿駅との連絡

(8)西武新宿線の営団地下鉄東西線・有楽町線乗り入れ構想

(9)西武新宿駅の開発

(10)西武新宿線の地下複々線化による新宿駅乗り入れ

(11)西武百貨店堤清二による新宿ステーションビル乗っ取り失敗

(12)高島屋、西武に競り勝ち、新宿へ悲願の進出

(13)新宿駅東口2階の吹き抜けに西武新宿線が乗り入れるはずだったのか?

(14)新宿ステーションビルとベルクと井野家

(15・終)エピローグ

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京葉道路は陸軍の軍用鉄道跡地に、東北自動車道は武州鉄道跡地に

 鉄道敷地跡に高速道路をひいているという事例としては、名神高速道路の旧東海道本線敷地とか北陸自動車道の旧北陸本線敷地あたりが有名である。

 名神高速道路の山科バスストップは、旧山科駅でもある。

 

 この他にも事例はあって、京葉道路は陸軍の軍用鉄道跡地を利用している区間がある。

 京葉道路敷地の登記簿を調べたら「陸軍省」名義の土地があるかも。

 参考「廃線探索 鉄道連隊演習線習志野線(歩鉄の達人)」http://www.hotetu.net/haisen/kanto2/101106tetudourentainarashino.html

 また、東北自動車道は、武州鉄道跡地を利用している区間がある。

 参考「帝都を目指して武州鉄道は雑木林の向こうに消えた」https://togetter.com/li/857706

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 この他、旧信越本線の別線複線化により不要となった橋梁を日本道路公団が有料道路に魔改造した「越路橋」というものもある。

 参考「越路橋(旧鉄道橋)拡幅工事」土木学会誌http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/m_jsce/44-02/44-2-14338.pdf

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