「せっかく買ったものをNHKにやるのは遺憾千万」~「いだてん」と「ワシントンハイツ」と「NHK」
NHK大河ドラマ『いだてん 〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』
第42回「東京流れ者」2019年11月10日放送
1961年。3年後のオリンピック開催に向け、開発が進む東京。田畑(阿部サダヲ)は、政府が埼玉県内で進める選手村建設計画を中止させ、競技場に近い都心部に場所を確保しようと奔走する。田畑の意を受けた平沢和重(星野 源)が、代々木の米軍基地を返還するようアメリカに訴えるが、それが大きな波紋を呼ぶ。政府によってオリンピック担当大臣に任命された大物政治家、川島正次郎(浅野忠信)が田畑に忍び寄る。
ということで、この回の「いだてん」では、選手村を朝霞から代々木のワシントンハイツに持ってくるために主人公たちが奮闘した話が描かれている。
上記リンク先から見ることができるダイジェスト動画にも出てくるが、ワシントンハイツの移転費用の支出を渋る政府・池田首相に田畑が「この際NHKを移転して、カラーテレビ放送に備えるべし」と進言することで、政府もその気になるというものであった。
ところで、これに対する東京都の実際の言い分は異なる。
これは、当時東京都で首都高建設等とともにオリンピックに向けてインフラ整備を担当していた山田正男氏の「時の流れ・都市の流れ」に書かれたものである。
「いだてん」のストーリーと異なり、国と都がワシントンハイツを返還させ、五輪後は全面公園とすると決めた後にNHKが割り込んできたとある。
また、既にNHKは麻布に移転先を確保していたとある。麻布でもカラーテレビは放送できなかったのか?
山田正男氏は、「東京の都市計画に携わって 元東京都首都圏整備局長・山田正男氏に聞く」においても、この件について触れている。
まあ、本件は「国の立場」「東京都の立場」「組織委員会の立場」「NHKの立場」によってそれぞれ言い分があるのだろうが。
で、次に持ち出すのが、鈴木俊一東京都副知事(当時。後に都知事。)である。鈴木氏はもともと内務官僚であり、オリンピック知事の東氏に行政実務経験が無いことから、それを補佐するために国から送り込まれてきた能吏と受け止めてもらってよいかもしれない。「国のイヌ」とも呼ばれたらしいが。いずれにせよ、国と都の両方の立場を理解している者である。
その鈴木氏の談によると下記のとおりである。
「回想・地方自治50年」鈴木俊一
「せっかく買ったものをNHKにやるというのは、まことに遺憾千万」「この件で一番もうけたのはNHKである。」と述べている。
別に「NHKの大河ドラマは歴史に忠実でないとけしからん」等と言うつもりはないが、「NHKがホワイトナイト役になるようなドラマをNHKが作るのは、もにょもにょするなあ」ということで。
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