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2020年3月29日 (日)

西武社内報に掲載された「西武電車、地下鉄乗入れせざるの弁」

 西武鉄道が地下鉄に相互乗り入れを長らくやらなかったことについては、色々と私見を述べる方はいらっしゃるのだが、西武の公式見解はどんなものだったのだろうか?

 西武の社内報の1958(昭和33)年9月15日号に、下記のような文が掲載されているので、ご紹介したい。


西武電車、地下鉄乗入れせざるの弁

 私鉄の郊外線を地下鉄で延長して都心乗入れの出願をすることが近来の流行になつており、西武電車を除いて六社が申し合わせた様に殆ど同時に免許申請をしている。

 一体これらの郊外電車が我も我もと都心に乗入れを実現した場合、首都殊に都心の形態はどうなるであろうか。現在丸の内大手町、八重洲口を中心とする方二キロ内外の状態はどうであろうか

 政治、経済、文化の中心から百貨店、卸小売の店舗から飲食、娯楽の中心迄ここに集中して、日本の中心の中心と云った格好で車も人も全く身動きならぬ実情である。

 これに加えて営団や都が環状線から内方、この都心に向けて地下鉄を建設する計画をたて、逐次これを実現しつつあり、国鉄も又京浜、山手、中央の各線を始め大規模の改良を行つて、輸送力の拡大を使用としているので、弥々以て都心の昼間人口は恐るべき速度を以て増加して行く事であろう。

 それに更に私鉄が都心に地下鉄で乗入れるなど、とんでもない事である。

 副都心(サブセンター)と衛星都市を育成することは、近代大都市の定石である。近郊から或いは衛星都市から首都への公私の用向きはその殆どが池袋、新宿、渋谷と云つた副都心で間に合う様に首都の計画を立案すべきものであろうと思うのである。

 かかる計画の下にあつては、郊外電車は副都心にターミナルを置き、大部分の客はここで乗降して用を足すのを建前とし、更に都心に向う必要のあるものの為には、最も乗換の便をよい様にしてやることが望ましいことであると思うのである。これ即ち西武電車が地下鉄で延長して都心に乗入れると云う出願を敢えてしない理由である。

 

「復興社の事ども(7)」 事業部長 加藤肇

 まあ、「西武沿線のマーケットは西武のターミナルで囲い込みますよ」と言っているだけとも考えられないこともないが、堤康次郎御大が健在中の社内報に掲載されているだけに、堤康次郎のグループ経営方針を示しているのであろう。

 なお、後に堤康次郎は、中村橋で西武池袋線と接続することとされていた営団地下鉄有楽町線を更に椎名町で分岐させ、野方で西武新宿線に接続するよう陳情書(案)を作成している。

 (参考)「堤康次郎は、目白経由だった有楽町線のルートを池袋経由に曲げて、西武池袋線と新宿線を乗入れさせようとしていた?」

http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-4e5b.html

 この陳情書(案)の中で「数年前迄は比較的楽観的観測をして居りまして、特に環状山手線外に地下鉄を導入せずとも道路の新設、改良等による路面交通の収容力増大等も考え合わせ輸送需要に十分応じ得るものと判断して居ったのでありますが、西武池袋線は上述の様な逼迫した状態にありますので、答申第6号10号線の通り当線の中村橋以遠の乗客を可及的多く地下鉄道により吸収する様路線を選定せられることは当然であり当社としては、これに賛成し協力を惜しまないものであります。」としている。

 読み間違っちゃった。てへぺろ。というところか。

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