ダイヤ改正にあたって、中央線東京口の複々線化未成案を振りかえってみる
来たるJRのダイヤ改正で、中央線の早朝深夜の東京駅までの各駅停車が無くなるという。
そもそもは、東京駅~御茶ノ水駅間の複々線化がコケたから、変則的な運用になっているわけだ。
ということで、その区間を複々線化するために、どのような検討を経てきたかをかいつまんで紹介したい。
ネタ元は、国鉄の「停車場技術講演会記録 第13回」掲載の報文「中央線、中野-三鷹間線増について」(東京工事局線増課 宇野浩彰氏)である。
ルート案は、こんな感じ。
国鉄では、中央線の混雑緩和の対応策の1つとして、急行線と緩行線の分担率を均衡化するために、東京駅までの複々線化を検討した。
国鉄東京工事局は、下記のような案をだしている。
この案の東側は、現在の総武快速線の東京~錦糸町に引き継がれていると思われる。
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これらの案から、まず併設案と、中央総武縦貫案(市ケ谷-九段下-呉服橋-錦糸町)の二つに絞られた。
そして、国鉄社内部局との調整が行われている。
審議室からは併設案と縦貫案の他に「短絡案(市ケ谷-東京-西銀座)の提案が追加された。
また、施設局からは、「地下鉄5号ルート」案が提示された。
地下鉄5号線とは、営団地下鉄(東京メトロ)の東西線である。中央線のラッシュ対策のために、国鉄が部分的に先食いしようというのだ。
1957(昭和32)年11月の国鉄理事会で、併設案が採用され、昭和33年3月には運輸大臣の工事認可も得られた。
しかし、地元の千代田区から猛反対の声が上がったのである。
国鉄では別ルートを検討することとなった。
1960(昭和35)年6月に国鉄理事会は、短絡案への変更を了承した。
一方で、営団地下鉄は地下鉄5号線(東西線)建設の検討を進め、同年7月に営団総裁から国鉄総裁へ中央線の東西線乗り入れを提案するに至った。
これにより、都心部の混雑緩和が見込まれ、東京駅付近の複々線化よりも、中野以西の複々線化が先行することとなったのである。
このような経緯を経て、下記のような現在に至る中央線快速線、緩行線、東西線の運転パターンが形成されたのである。
この運転パターンもダイヤ改正に伴い、あと数日となったわけだ。
なお、余談であるが、この運転パターンの検討資料が下記のようになっている。
右端の項に「この案では、高円寺、阿佐ケ谷、西荻窪が不便となり、用地買収が難航する」って書いてあるなあなんて燃料を投下してこの記事を終了したい。
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