カテゴリー「ドボク」の54件の記事

2017年5月21日 (日)

地下鉄銀座駅の階段がズレているのは、そこに旧数寄屋橋の橋脚が埋まっているから

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (4)

 東京メトロ銀座駅から日比谷方面に向かう階段が左右ずれている。

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (5)

 現地で見てもごらんのとおり。

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (3)

 なぜ、まっすぐ並べられないのか?左右の階段を繋げて広く使えばよいのではないか?

 それには、かつてここに何があったかを思い出す必要がある。

Sukiya_bashi_old

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sukiya_bashi_old.jpg

 そう、かつてここには外濠川が流れ、数寄屋橋がかかっていた。現在はそこに東京高速道路(KK線)が走っている。

東京高速道路

 実は、ここには、旧数寄屋橋の橋脚・橋台が埋まったままなのだ。

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (12)

 日比谷線建設史394頁から引用

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (13)

 日比谷線建設史392頁から引用

 そして、旧数寄屋橋と地下鉄日比谷線が直交していないため、橋脚跡と階段が斜めにズレる形となっているのだ。

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (15)

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (14)

 この地下通路の床に斜めにひかれている3本の線は、ここに数寄屋橋が架かっていた(外濠川が流れていた)ことを示すものなのだろうか?

 さて、日比谷線建設時には、既に外濠川、数寄屋橋は無くなっていたはずである。なぜこのようなものが地中に残っていたのか?

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (11)

 丸の内線建設史(下巻)104頁から引用

 丸ノ内線建設時に、東詰の橋台や上部工部分は撤去したようだが、丸ノ内線に支障ない真ん中の橋脚や西詰の橋台は地上に存置されたままだったようだ。

 では、日比谷線建設時にそんな不要な橋脚は撤去してしまえばよいのではないかと思うであろう。ところが撤去できないのである。

 上空を通る東京高速道路の橋脚が旧数寄屋橋橋脚の上に建設されたからである。

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (16)

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (13)

 日比谷線建設史392頁から引用

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (10)

 日比谷線建設史391頁から引用

 使っていないからといって今更撤去するわけにはいかなかったのである。斯くて、銀座駅から日比谷方面へ向けて降りていく地下階段は、旧数寄屋橋橋脚を避けて、心なしか、気持ち急勾配で、ズレた階段で降りていくのである。

 

 旧数寄屋橋橋脚が影響しているのは、地下鉄通路だけではない。

銀座駅の階段がずれているのは数寄屋橋の橋脚がそこに埋まっているから (7)

 日比谷線建設史405頁から引用

 その上をかすめるようにして日比谷地下自動車道が通っているのである。

 日比谷地下自動車道については、以前

・東京五輪関連:地下鉄と競合して未成となった銀座の地下自動車専用道路にして首都高速計画線の名残

http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/--4890.html

・東銀座「幻の地下街」を作った経緯が(ほぼ)分かった

http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-3bf6.html

・日比谷未成地下道とのバーターで地下鉄三田線が営団から東京都へ譲渡されていた

http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-b86d.html

といった記事も書いているので、ご関心のある方は、あわせてお目通しいただけると幸甚である。

三原橋地下街と地下鉄日比谷線と有楽町ガード下地下道の関係

 

※東京メトロの主要路線の建設史は、「メトロアーカイブアルバム」で見ることができる。

https://metroarchive.jp/history.html

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2016年10月 3日 (月)

バスタ新宿の成功に味を占めた国交省道路局がバスタプロジェクトを立ち上げて全国にバスタを作る構想がでてきた

 これまでバスタ新宿については幾つかの記事を書いてきた。

 ここで、国土交通省が「バスタプロジェクト」を立ち上げて全国にバスタを作る構想がでてきた

 2016年9月27日に開催された社会資本整備審議会道路分科会第55回基本政策部会http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/road01_sg_000316.html における資料を見てみよう。

バスタ新宿に味を占めた国交省がバスタプロジェクト展開の構想 (1)

 複数の交通機関の結節点「マルチモードバスタ」

バスタ新宿に味を占めた国交省がバスタプロジェクト展開の構想  (7)

 高速道路のSAPAを活用した「ハイウェイバスタ」

バスタ新宿に味を占めた国交省がバスタプロジェクト展開の構想  (6)

 道の駅等を活用した「地域の小さなバスタ」

バスタ新宿に味を占めた国交省がバスタプロジェクト展開の構想  (2)

を道路事業として推進していくのだという。

(上記資料はいずれもhttp://www.mlit.go.jp/common/001146884.pdfから引用)

 上記でも紹介したブログ記事バスタ新宿は、やっぱり国道20号だった。を追認するかのように、バスタ新宿の立体道路区域についての紹介資料も掲載されている。

バスタ新宿に味を占めた国交省がバスタプロジェクト展開の構想 (3)

 国土交通省道路局としては、立体道路制度を積極的に活用して交通結節点整備を進めていくようだ。http://www.mlit.go.jp/common/001146885.pdf

バスタ新宿に味を占めた国交省がバスタプロジェクト展開の構想 (4)

 

 なお、「交通ジオメディアサミット 〜 IT×公共交通 2020年とその先の未来を考える〜」 でも指摘された「国土数値情報におけるバス停情報の古さ」については問題意識がもたれている模様である。

バスタ新宿に味を占めた国交省がバスタプロジェクト展開の構想 (2)

------------------------------------------------------------

※ 上記審議会資料に添付されている モーダルコネクトの強化「バスを中心とした道路施策(たたき台)」参考資料集

http://www.mlit.go.jp/common/001146881.pdf

 は、バスを中心とした公共交通網について脳内妄想を垂れ流すのが大好きな方にはこたえられない資料が満載なのでマニアックな方は是非。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2016年9月28日 (水)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(振り返り)

 最後に簡単に権利関係をまとめてみた。

(1)船場センタービル

船場センタービル 阪神高速道路 (7)

道路の権原 所有権
建物の権原 道路法の占用許可
土地所有者 大阪市、阪神高速(高速道路保有債務返済機構)

(2)朝日新聞社ビル

阪神高速道路と朝日新聞社ビル (8)

道路の権原 物権的なものは無い。前所有者である大阪市と朝日新聞社との売買条件
建物の権原 所有権
土地所有者 建物所有者

(3)梅田出口

阪神高速梅田出口立体道路 (2)

道路の権原 区分地上権(道路法の立体道路)
建物の権原 所有権
土地所有者 建物所有者

(4)OCAT(大阪シティエアターミナル)

OCATと阪神高速道路 (4)

道路の権原 所有権(共有)(道路法の立体道路)
建物の権原 所有権(共有)
土地所有者 道路側と建物側の共有

(5)りんくうタウン

りんくうタウン と高速道路 (5)

道路の権原 所有権(共有)(道路法の立体道路)
建物の権原 所有権(共有)
土地所有者 道路側と建物側の共有

(6)ホテルきららリゾート関空

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららリゾート関空 (13)

道路の権原 所有権(共有)(道路法の立体道路)
建物の権原 所有権(共有)
土地所有者 道路側と建物側の共有

<余談>

 今まで阪神高速道路と建物の権利関係をつらつらとみてきたところであるが、斯様に、「区分地上権」というのは例外的に使われているのである。

 ところで、TACという資格試験学校で宅建の講師が、土地の権原の講義の中で区分地上権の例として首都高を上げてきた。いや、区分地上権を使っていないとは言わないが、それは例外的なものであって、資格試験勉強用の例示としては不適切だと思うのだ。

 TACの講師なんてその程度だから目くじらたてる話ではないといえばそれまでなのだが、どうしても目くじらたてちゃう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(番外編)ホテルきららリゾート関空

 不動産カウンセラー No.4「座談会 道路一体建物について」には掲載されていないが、阪神高速道路の立体道路としては紹介しないわけにいかない物件があるので、番外編としてご紹介したい。

 「泉大津PA」と「ホテルきららリゾート関空」である。

 阪神高速湾岸線が走る港湾地域に何故に「リゾートホテル」なのか?まあこれも前頁同様関空バブルである。

「都市高速道路における道路一体建物を併設したパーキングエリアの計画」

http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00035/1993/48-04-0168.pdf

によると下記のような経緯で出来上がったもののようだ。

泉大津PAは、関西国際空港と大阪都心部を結ぶ阪神高速道路湾岸線のそのほぼ中間点である泉大津市なぎさ町に計画された 約18,000m2のパーキング施設である。

この地区周辺は堺泉北港港湾再開発の重要な拠点に位置付けられており、また泉大津市の中心市街地に隣接した好立地条件の場所でもある。このため、港湾再開発事業として商業、情報等の中枢としての高度利用及び複合利用を目的とした都市開発が行われる予定であり、湾岸線及びPAとの一体的かつ総合的な街づくりが望まれている。

この泉大津PAは昭和61年1月31日に都市計画決定(道路) がなされ、その後新しい街づくりを含めた種々の検討のうえ、平成5年2月1日に都市計画変更(用途地域)が行われ、道路との重複利用区域が定められた。その際の基本方針のひとつに開発地区の中枢機能となり、またランドマーク的な役割も持つ高層のツインビルを道路一体建物としてPAに併設して建設することが挙げられていた。

 

「都市高速道路における道路一体建物を併設したパーキングエリアの計画」 阪神高速道路公団 小松郁夫、堀松正芳 株式会社建設技術研究所 髙橋誠、荒巻聡

土木学会第48回年次学術講演会(平成5年9月)

 まあ、関空バブルの産物で、再開発のアテがはずれて本来高度利用するはずの箇所が、結局PAだけ高度利用して終わっているという代物である。

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららリゾート関空 (13)

 左側に高い建物が見えるのがホテル。右側を走るのは阪神高速道路湾岸線。その間が泉大津PAである。1階はホテルの駐車場、2階は高速道路の普通車用パーキング、3階は高速道路の大型車用パーキングだ。左手に雑草が見えるがまあそういう開発に失敗した感じの土地である。

 港の方に回ってみる。

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららりぞーと関空 (16)

 高速道路を挟んで水平に挟んでいるチューブはPAの上下線を結ぶ通路である。

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららリゾート関空 (12)

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららリゾート関空 (15)

 「きららセンタービル」というらしいが、民間テナントは少なく、如何にも「港湾開発に失敗したのでその責任をとって港湾関係の公共組織でフロアを埋めちゃいました」という感じである。

 上記の「開発地区の中枢機能となり、またランドマーク的な役割も持つ高層のツインビル」という利用ができているようには思えない。

 ここで、道路と建物の権利関係を見て行くと、改正された道路法による立体道路制度を活用している。下図のピンク色の部分が立体道路区域だ。

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららりぞーと関空 (1)

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららりぞーと関空 (2)

改訂版 立体道路事例集」から引用

 両側のビルの3階部分が阪神高速道路の上下線のPAとなっているため、ホテルのエレベーターは3階には止まらない。

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららリゾート関空 (18)

 また、海側の11階はPA施設としての展望台である。夜景スポットとして著名であるようで多くのサイトで紹介されている。

http://yakei.jp/japan/spot.php?i=izumi-pa

http://yakei-mn.com/yakei/osaka/izumiotsu

http://www.nightview.info/yakei/detail/izumi/

http://www.osakanight.com/night_view/izumiotsu_pa.htm

http://yakei-world.com/spot_view.php?spot=403

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららリゾート関空 (3)

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららリゾート関空 (4)

堺泉北工業地域の工場夜景。フレアスタックも見える。

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららりぞーと関空 (5)

 ホテルの客室からの夜景。わざわざ泊まったのである。

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららりぞーと関空 (6)

 このようにパーキングエリアを見下ろして宿泊できるホテルは少なかろう。

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららリゾート関空 (8)

 朝起きたらこんなかたちで目覚めるわけだ。

阪神高速湾岸線泉大津PAとホテルきららリゾート関空 (7)

------------------------------------------------------------

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(1)イントロ

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(2)船場センタービル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(3)朝日新聞社ビル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(4)梅田出口

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(5)OCAT(大阪シティエアターミナル)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(6)りんくうタウン

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(番外編)ホテルきららリゾート関空

| | コメント (0) | トラックバック (0)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(6)りんくうタウン

りんくうタウン と高速道路 (5)

佐藤 りんくうタウンの道路一体建物、これもちょっと教えていただきましょうか。

小川 これは船場センタービルと一緒のやり方ですね。

福元 当該地は例の埋め立て地でして、公法上は商業地というかっこうになっておりますが、先ほど申し上げましたように、平成2年12月12日に都市計画地区計画りんくうタウン北地区地区計画ということで立体道路制度を活用することになっております。
 道路一体建物はほとんどが商業業務ゾーンの中央部に位置しまして、その上にJRと南海電鉄の駅もできます。その横に高速道路等ができるわけですが、それにつきましても同じく1〜3階部分に道路と鉄道が一体整備されることになっています。
 りんくうタウンは空港機能をサポートする役割を担うとともに活気に満ちた都市活動を通して空港と地域と共存共栄をめざしていますので、道路については特に橋脚の位置に留意し建物の雰囲気を損なわないよう気をつけるとともに道路建物ともに機能を向上させるように配慮した設計になっています。

佐藤 さっきの船場センタービルの場合は道路の占用許可に基づくものですが、こちらは区分地上権か土地の共有ということで権利を持って屋上に交通ターミナルを造るということになるのですね。形態はよく似ていますが、権利関係は違うということになってくるんでしょうね。

小川 土地所有が違うんでしょうね。船場センタービルの場合は市なり阪神高速道路公団が持っている土地の上に建物を立てさせてやっていると。今度は逆ですよね、地権者が持っているところを通らせて頂くと、そういうことですね。 

佐藤 りんくうタウンの完成は...。

岡山 平成5年度くらいじゃないですかね、全部新空港関連で、いつになるか分かりません。(笑い)

 実際には、道路が区分地上権を取得し、立体道路制度を活用した道路一体建物として整備されている。

りんくうタウン と高速道路 (3)

 今となっては「りんくうタウン」は空地だらけで荒涼としており、わざわざ立体道路制度を利用して土地の高度利用を図る必要もないように感じてしまう。

関空バブル

 しかし、関西空港建設中の1990年頃は「関空バブル」絶頂で上記のように関西を代表する企業のビルが林立するはずだったのだ。

りんくうタウン と高速道路 (2)

 ゲートタワービルも高速道路と鉄道を挟んで南北両側に立つはずが北側だけになってしまった。

佐藤 ここに柱が見えますが、この柱で支えているんですか。この建物が仮りになくなっても耐え得る構造になっているのですね。

岡山 道路はビルみたいに軽いものが載っているのではなく、ものすごく重い車が通るから荷重には絶対強くしなければいけない、そのために縦の柱は非常に丈夫なものを造っておく。その柱を造るのは道路一体建物の場合でも道路管理者が負担する。柱は減法強く、そこに建物が林を張って一緒になっていると、こういう具合です。

加藤 これは建設省の方が書かれていますが、道路一体建物といっている意義は「道路を支持するものとしての道路と一体構造となっているものを言い、建物を取り壊してしまうと道路も壊れてしまうような建物」そういうものだけをいっているような感じですね。

岡山 そうそう、建物が壊れると道路が壊れる、そこで言う建物は縦の柱も全部とってしまうと道路も壊れる。だけど縦の柱はそれほど強くしないと道路は保たない。確かに建物ですから、いくら縦柱が太くても建物をのけると道路が駄目になるものが道路一体建物と、こういう表現になっているようですね。

加藤 そうすると道路一体建物というのは湊町の例だけですかね、あとは皆分離できるような気がするんですが、そうではないですか。

岡山 いや船場センタービルでも建物をのけると道路が落ちてしまう。というのは道路は所有権と上の道路だけ持っていて、真ん中は建物ですから、そういう物的にいうと建物をのけると道路が落ちてしまうということになっていますが、構造上道路は荷重がものすごく重いので、その荷重を持たそうとすると建物が柱になる、ものすごく太い柱を通す・・・。

佐藤 でもそれも建物の一部ですよね。

岡山 まさにそれが建物なんですよ。

小川 そこが複雑なとこなんですね。

佐藤 建物自体は道路の荷重に耐えうるような柱を入れているということになりますね。おさらいすると建物の側壁部分がつぶれてきたとしても柱部分さえ残しておけば崩れることはない。しかし、建物全体がつぶれたということになればこれを支えている部分もつぶれるわけですから、それは駄目よという話になるんでしょうかね。西梅田は道路の負荷がかかっていないですから、ブリッジで渡っているようなものですね。あれも道路一体建物になるんですかね。

岡山 あれは分離構造型です。

木内 道路のメンテナンスもビルのメンテナンスも協同でやることになるんですか。

岡山 それは実際難しい、どうするかね。その辺は管理協定で決めなさいと、こうなっている。どこまで協同でしていいものか、どうしていいのかよく分かりません。だから管理協定でしっかり決めていかなくてはならない。

木内 一体構築物なんでしょうが、太い柱に関しては共有しているんですね。

岡山 実際は道路側も建物の方にお金を払って、特に柱を丈夫にしてもらっているわけですね、だけど柱の一部をここだけは道路ですよというわけにはいきませんから、これは建物ですよと、こうなる。

加藤 所有権はどうなっているんですか。

岡山 所有権は建物です。だけど建物所有者はそんな太い柱はいらないから、道路はピアに相当する柱を丈夫にするためのお金は出しますよということです。

佐藤 建物に対して権利は特に何もないんですね。

岡山 何もありません。補強費だけを出している。

りんくうタウン と高速道路 (1)

改訂版 立体道路事例集」から引用

 (南海特急こうや号の車両が関空線を走ってるな。。。)

------------------------------------------------------------

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(1)イントロ

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(2)船場センタービル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(3)朝日新聞社ビル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(4)梅田出口

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(5)OCAT(大阪シティエアターミナル)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(6)りんくうタウン

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(番外編)ホテルきららリゾート関空

| | コメント (0) | トラックバック (0)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(5)OCAT(大阪シティエアターミナル)

OCATと阪神高速道路 (4)

OCATと阪神高速道路 (5)

 よく見るとビルの入口に「ETC」のマークとアンテナが。

佐藤 次に湊町のプロジェクト、これはまだ未着手ですが、現場は見せていただきました。高速道路等が錯綜してますが、この場所にランプ、交通センタービルを造る予定をされているわけですね。このプロジェクトの構想、その他権利関係がいったいどうなるのかを説明いただけますか。

岡山 ここはJR関西本線終着駅の湊町駅で、面積は約17.5haあるんですが、17.5haのところを新都市拠点整備事業で、新都市拠点整備事業というのはヤードを整備していく時の事業らしいんですが、平成元年2月に大臣承認を取っております。その新都市拠点整備事業で阪神高速のオフランプと交通ターミナルセンタービルですか、それとを繋いで、2階部分にバスの駐車場、そしてシティエアターミナルにしたいということで、新空港ビルが難波にいるだろう、それが一番の基になっております。東京でいいますと箱崎ですね、箱崎によく似たものをあそこに造ろうという構想の基にやられているものです。
 高速道路のランプは堺線の下り方向で、現在の環状線の方から分岐してきまして、そのシティエアターミナルビルの2階部分に入って、そこからまたスロープで降りて平面街路に出る。2階部分はバスターミナルです

OCATと阪神高速道路 (10)

 再開発前の湊町地区。駅が関西本線のJRなんば駅(旧湊町駅)である。

OCATと阪神高速道路 (9)

佐藤 2階にバスターミナルと阪神高速道路も入るわけですか。

岡山 ビルは真四角で、この一番西端が阪神高速道路になっており、ここから2階部分はバスターミナルと、断面でいきますとランプが下がってくるわけですね。それで建物の2階と一緒の高さのところがありますね、ここでバスターミナルとジョイントしている。阪神高速道路はここからビルの中を降りていく、こういう構想なんです。

OCATと阪神高速道路 (11)

OCATと阪神高速道路 (2)

OCATと阪神高速道路 (1)

改訂版 立体道路事例集」から引用

 ピンク色の部分が、前頁で触れた道路の立体的区域、すなわち建物の中であっても道路法上の道路となる部分である。

佐藤 このビルで新空港の通関手続ができるんですか。

岡山 箱崎みたいにそこまでやるのか、どこまでやるのかは分からないんです。

佐藤 チェックインとか手荷物手続きとかフライトに関する情報提供など都市における空港の出先機関としての機能を始め云々とパンフレットに書いてありますよ。

小川 パンフレットからいけばそういうことをやる感じですね。

 チェックイン機能は結局できなかったはず。関空バブルを感じますな。箱崎も今やチェックイン機能は無くなってしまったことだし。。。

佐藤 これは阪神高速を経て湾岸線と結んでいるわけですか、湾岸には行かない...。

小葉竹 直接には行かないですね。

佐藤 でも新空港へはここから行けるんでしょう。

岡山 そこでバスに乗って、そのバスが平面道路を走って湾岸線に抜けるとか、堺線に抜けるとか、そういうことですね。

佐藤 阪神高速道路とこの湾岸線はこの近所では繋がらないのですか。

岡山 繋がらないんです。

佐藤 それでは一旦一般道路へ降りて、湾岸線に乗っていくとか...。

岡山 堺線を走るとか、そういうことですね。

OCATと阪神高速道路 (7)

 ビルの裏側(南側)にバスターミナルからのバスの出口(右側)と高速道路の出口(左側)が並んでいる。

加藤 箱崎シティターミナルと同じと考えてよろしいんでしょうか。

岡山 まああれによく似たものだと、同じではないですね。

加藤 あれが出来たのは道路法の改正前ですね。同じではないんですね。

岡山 そのパンフレットを見る限り、シティエアターミナルとまるっきり同じ機能を持たそうということですよね。箱崎の場合は乗ったらそのまま首都高速道路で行けますが、ここの場合は阪神高速道路でそのまま行けないので、一部区間平面を走るか、ここで乗り換えて鉄道を利用することになります。

TCATと首都高速道路

 首都高速の箱崎ジャンクションとTCAT(東京シティエアターミナル)は上記のような関係である。「道路法の改正前ですね」とあるように立体道路制度ではなく、船場センタービルと同様に道路法の占用許可を得て作られている。ではTCATの登記はどうなっているのだろうか。

 ところが、成田空港(新東京国際空港)のダウンタウンエアターミナルである箱崎の東京シティエアターミナルについては、首都高速道路6号線と主要な骨組みについて一体構造物として建設されたビルであり、柱等は道路の管理者(首都公団)の所有であるにもかかわらず、ビルの建物登記がなされている。

 箱崎シティエアターミナルの事例の詳細については、誌面の都合上省くが、要点のみを言えば、違いとして、箱崎シティエアターミナルはすべての柱を道路の橋脚と共有しているものではなく、独自の柱もあるということが一点。もう一点、成田空港開港が遅れたため、船場センタービル等と違って、建物を建ててからどっこいしょと道路をのせたのではなく、始めに道路ができて、その橋脚を利用して建物が作られたということである。つまり、国電のガード下建物のように、既にある柱、壁等を一部利用して建てられた形となっている。鉄道ガード下建物の登記は、大審院の判例によって昔から認められているところである。

 

「道路敷地の空間利用 -代表的事例の紹介と分析-」 道路セミナー86年5月号10頁 建設省道路局路政課長補佐 倉林 公夫

 あまり納得がいかない部分もあるが、箱崎はすんなり建物登記ができたようだ。

木内 現在 予定されている敷地の所有権者は、コンテナヤードの跡地ですからJR清算事業団ですか。

岡山 交通ターミナルのこの部分は大阪市が既に収得済みです。株式会社湊町開発センターになっていると思うんですが、それは大阪市の外郭団体で、ここを整備するために生まれた組織で、実際は大阪市が持っています。

佐藤 スロープも含まれてくるんですが、この区分地上権はどの範囲で、どの部分を持っているのですか

岡山 公団はまだ区分地上権を設定しておりません。

佐藤 でも設定するんでしょう。傾斜がついているんでしょうがどんな具合に

岡山 出来ます。区分地上権というのは上下の範囲を区切ったらいいんですね。上下の範囲ですから、真っ直ぐで区切らなければいけないので、階段型で区分地上権を設定していくのです。

佐藤 JRの湊町駅も区分地上権を所有するんですか。

岡山 JRさんはどうされるのか分かりません。

佐藤 でも大阪市にいったん売っているんですね。

岡山 そうです。売る時に駅が入りますよという条件付きで売っているのか、その辺は僕らにはよく分からないんです。

加藤 これは道路が建物と一体構造になっているものではないんですね

岡山 なっています

加藤 大阪へ来る新幹線の中で、「NBL(No.430)」の“道路法の一部を改正する法律の概要について”を読んで来たんですが、立体道路の場合二つのケースがあり、一つは道路と建築物が構造上分離しているケースと、道路と建築物がまさに一体的な構造となっている道路一体建物のケースの二つがある。区分地上権が権原となるのは分離のケースだけで、道路一体建物については不動産登記等の問題があり、道路側の権原は敷地の共有持分になることを付記しておくと、こう書いてあるんですね。これが実態だったら敷地については共有持分でやることになるのかなと考えたんですが、区分地上権ではなく、そういう意味合いでここに書かれているんですが。

佐藤 やはり区分地上権でやるんですか。

岡山 多分区分地上権でやることになると思います。だけど最終的に法務局とその辺調整した結果、共有持ち分にせいと言われたら共有持ち分にならざるを得ないでしょうけれども。

小川 そうですね、不動産登記法というのはそのへん硬直的なんですよね。定義に合わなければ出来ないというところがあるんですね。

木内 この湊町プロジェクトの場合は建物の所有者はどちらになるんですか。

岡山 湊町開発センターです。

佐藤 何年の建築予定ですか。

岡山 これは新空港関連で現在も建築していますが、新空港自体が延びているから何時になるか。平成5年か6年になるか、新空港ができた時には建物もできているでしょう。

木内 これができると新空港までどのくらい時間がかかるんですか。

小葉竹 40〜50分というところでしょうか。

木内 東京は確か1時間ぐらいでしたかね、箱崎から。

佐藤 ここから新空港まで40kmくらいあるのと違いますか。

小川 40kmぐらいですね。

木内 さっき西梅田でお訪ねしましたけれども、立体道路を造る場合は都市計画法とか都市再開発法の地域地区計画のようなスペシャルゾーニングによる都市再開発事業としてやられるんですか。

岡山 最低限高度地区にかかっていればいいんです西梅田の場合は高度地区です。湊町は再開発地区計画ですね、りんくうは地区計画。

福元 りんくうにつきましては平成2年12月に地区計画が降りていて、ただし湊町はまだ未定で、確認されたところでは再開発の方で指定されたということです。

木内 西梅田はどうですか。

岡山 高度地区です。朝日新聞社も高度地区です。

 道路部分は区分地上権で権原を設定したようだ。

佐藤 北と南にビルが二つできる予定とおっしゃいましたね。

岡山 交通ターミナルビルの南側ですね。

南がこれで、北の方は今のところはっきりとは決まってません。

佐藤 やはりビルにはなるんですか。

岡山 多分道路一体建物になるのではないでしょうか。

 「北の方」は、現在は「湊町リバープレイス」になっている。上記の地図を見ていただいてわかるように、建物をグルグルと高速道路のランプが取り巻く形となっており、見事な道路一体建物である。

湊町リバープレイスの建設地である湊町地区は,戦災復興土地区画整理事業の減歩により生じた都心の貴重な区画整理公園予定地だった。当公園予定地に昭和37年に阪神高速道路のランプが都市計画決定され,当初の計画通りに整備したのでは公園機能の確保,地域の活性化に繋がらないと懸念され,平成元年に創設された立体道路制度を活用しながら,道路一体建物を建設することにより問題解決を図った。

 

大阪市都市工学情報2次情報集 [論文情報] 「湊町リバープレイスの建設と運営」

湊町リバープレイスと阪神高速の立体道路 (1)

 リバープレイスと一体的になっている阪神高速道路の湊町出口

湊町リバープレイスと阪神高速の立体道路 (2)

 自動車専用道路のマークと「」の看板が。

湊町リバープレイスと阪神高速の立体道路 (7)

 東側には湊町入口が。

湊町リバープレイスと阪神高速の立体道路 (6)

湊町リバープレイスと阪神高速の立体道路 (3)

 建物には阪神高速のランプがぐるぐると取り巻いている。

湊町リバープレイスと阪神高速の立体道路 (8)

改訂版 立体道路事例集」から引用

 模型で上から見るとこんな感じ。

湊町リバープレイスと阪神高速の立体道路 (4)

 施工中の写真からは建物と道路の関係がよく分かる。

湊町リバープレイスと阪神高速の立体道路 (5)

 リバープレイスからOCAT方面を望む。ランプが入り組んでいてスバゲッティ状態だ。

------------------------------------------------------------

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(1)イントロ

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(2)船場センタービル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(3)朝日新聞社ビル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(4)梅田出口

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(5)OCAT(大阪シティエアターミナル)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(6)りんくうタウン

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(番外編)ホテルきららリゾート関空

| | コメント (0) | トラックバック (0)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(4)梅田出口

阪神高速梅田出口立体道路 (1)

佐藤 今度は西梅田のビルなんですが、今の道路法改正後認可されたんですか。

岡山 そうです。

木内 そこはJRのコンテナ用地ですか、引き込み線跡地の西梅田再開発の・・・。

岡山 となりです。

木内 その再開発に関連してランプを作り替えたんじゃなかったですかね。それに関連してそういう問題が出てきたんじゃないかなと思ったんですが。

岡山 そういうことです。あそこは福島区になります。ビルの前の道路で北区と福島区に分れているんです。西梅田の再開発地区というのは10.6haあります。今日現場を見ていただいたときに毎日新聞社ビルがかなり出来ておりましたが、そのとなりはもともとオートガススタンドがあったんです。オートガススタンドとか自動車の整備工場とか、住宅とか社長さんの家とかそういうものがガチャガチャとありまして、そこに阪神高速のランプを架けると。どうしても阪神高速の高架下に建物を入れないことには移転ができないという事情があり、高速道路の下に建物を入れて下さいという補償を行ったんですが、高速道路の下に建物を入れるなら上までやりたいという話になりまして、ああいうビルになったというのが経緯です。
 あのビルはもともとランプで交通量が少ないということもあり、上にもってきても安全だろうということです。

佐藤 道路法がどのように改正されて、ビルを立てるのにどういう便益を得られるようになったかということをご説明して頂けますか。

福元 道路区域は上下全体をやっておりましたが、道路法の部分的な改正に伴い、47条の5なんですが、立体的に道路区域を設定できるということになりました。

佐藤 これは平成元年ですか。その道路法は、道路を立体的に造ってもいいということですが、基本的にビルの中を通ってもいいとか、上を通っていいとか、その辺の具体的なことはあるんですか。

福元 道路法で、四つの法律が一体的に改正されまして、道路法では道路の上下空間に建築物を一体的に整備するようにすると、これは道路法の改正です。道路の上下空間に建築物を一体的に整備することができる、これが一つ。それから都市計画法と都市再開発法ですね、こちらの方で道路整備と併せた良好な市街地形成を図るために地区計画及び再開発地区計画の拡充及び市街地再開発事業に関する措置、これが片一方。それから建築基準法の改正がございまして、道路と一体的に整備される建築物の道路内建築物の制限が立体道路制度でやられた四法の関係です。

佐藤 道路法、都市計画法と建築基準法ともう一法は・・・。

福元 道路法と、都市計画法と都市再開発法、それと建築基準法の、この四法が改正され、それによって道路区域を立体的に定めることができる。道路を立体的に定めると危ないことがございますね、上から物が落ちてくるとか。そういうことは道路保全立体区域ということで、窓はこうしなさいとか、それと道路一体建物に関する協定、道路管理者と建物所有者との間で協定を結ぶ。そういうことによって確保していく、こういうことです。

 福元氏が道路法第47条の5と述べているようになっているが、実際には第47条の7である。

 (道路の立体的区域の決定等)

第47条の7  道路管理者は、道路の存する地域の状況を勘案し、適正かつ合理的な土地利用の促進を図るため必要があると認めるときは、第18条第1項の規定により決定し又は変更する道路の区域を空間又は地下について上下の範囲を定めたもの(以下「立体的区域」という。)とすることができる。

立体道路制度2

立体道路制度

http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/ppp/kenkyu/pdf04/6.pdf

佐藤 では、この西梅田は具体的にどういう経過を経たのでしよう、阪神高速道路の下を使ったらどうですかという阪神高速道路公団の申し出に対して、下だけでなく上も使うよということで、ああいうビルになったということですかね。

岡山 そうですね。この法律ができる時期でしたので、どういう形の法律ができるかということはあらかた分かっており、建設省の指導もいただいて、ビルの中に建物を通すと、立体的区域でいくということです。あのビルは幅が11mから約14mですかね、それが幅、高さはTPの15.4から25.25と、これが区分地上権の設定範囲です。階数にすると5〜7階です。

佐藤 あのビルは全体で何階だったんですか。

岡山 全体で16階、ただこれは16階と勘定していいのか13階としたらいいのか難しいんです。道路が通っている部分は床がないので、登記法上の表示は地上13階になるんです。1階というのは床がないと駄目ですからね。高さは地上16階地下2階、ただしビルそのものは地上13階地下2階ということになります。

阪神高速梅田出口立体道路 (3)

入口の看板には16階建てと表示されているが、登記上は阪神高速道路分の5~7階は勘定に入れないこととなり13階建てということなんだそうだ。

佐藤 道路の両側に部屋があったんじゃないですか。

岡山 コアです。エレベーターとか階段とか、道路部分が事務所になっているんです。

阪神高速道路梅田出口の立体道路区域 (2)

改訂版 立体道路事例集」から引用

加藤 補償はどうなっているんですか。

岡山 あのビルは補償はしておりません。高架下にビルを入れるというシンプルな補償で考えております。 佐藤 区分地上権は取得されたのですか。

岡山 区分地上権は取得しております。

佐藤 今おっしゃった部分についての区分地上権の設定を、これは有償取得されたのですね。区分地上権の補償の考え万はあまり具体的には言えないかも知れませんが、どの様にされましたか。

岡山 立体道路関係の区分地上権というのは概ね25%〜33%くらいですかね、その辺が大体オーダー数字ですね。

佐藤 更地価格のでしょうね。これを区分地上権の補償費として地主に払ったということですね。

岡山 建設省の方で、立体道路制度が出たときにどう補償金を払うかを研究しまして、それは通達で出ているんですが、大体譲渡所得と不動産所得ですか、あの線引きは25%になっていますね。あれよりはちょっと上と、だからこれは対価補償にあたると、ただし率はいろいろあって難しいけれども、確かに対価補償だと、それなら25%よりちょっと上だと、まあ30%くらいかなと、税金なんかも考え併せて。立体利用阻害率を考えてそういうものから区分地上権は3分の1とか3割とか、それが一応の目安みたいですね。

佐藤 あの建物は容積一杯に立っているんですかね。

岡山 容積は一杯です。

佐藤 その区分地上権部分は容積に入っていないんですよね。

岡山 入っていません。

佐藤 そうするとドテッ腹を突きやぶられて若干不倫快ではあるが、容積は100%使えて補償額として3分の1ほどもらっていることになりますね。道路が真ん中を通っている弊害としては、騒音とか振動があるかも知れませんが。

岡山 ビルに荷はかかっていないから振動はないです。両方とも独立しているんです。

佐藤 少なくとも不快感はあるわけだけれども、経済ベースでいうと約3分の1程度の補償額をもらって容積満配のビルを立てることができるというのは得ですかね。まあ建築費が高くついたのかな。

岡山 建築費がものすごく高い。道路と一体となった建物というのは僕らもよく分からないんですが、うまく利用すると非常にメリットがある。あのビルも最初は四角いビルを考えていたらしいんですが、四角いビルではコア部分が作れない。丸型ビルであれより大きくしてもコアが増えるだけで事務所は増えないということです。だから道路と建物を合体させるのは敷地の位置形状、ビルの利用等が複雑に絡みあい、どちらがいいのかは非常に難しいと思います。

佐藤 さっき建物と一体になった支柱の話しをされてましたが、これは建物に全然荷がかかっていないんですね。」言い換えると建物の真ん中に大きな穴を開けておいて、高速道路を通しているということですね。

岡山 そうです。

阪神高速道路梅田出口の立体道路区域 (1)

改訂版 立体道路事例集」から引用

梅田の阪神高速立体道路 (1)

「これは建物に全然荷がかかっていないんですね。」言い換えると建物の真ん中に大きな穴を開けておいて、高速道路を通しているということですね。」という状況がよく分かる。

 以前「阪神高速道路 梅田出口:ゲートタワービルの立体道路について」

http://kakuyodo.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-2128.html

という記事も書いているのであわせてご覧いただければ幸いである。

------------------------------------------------------------

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(1)イントロ

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(2)船場センタービル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(3)朝日新聞社ビル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(4)梅田出口

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(5)OCAT(大阪シティエアターミナル)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(6)りんくうタウン

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(番外編)ホテルきららリゾート関空

| | コメント (0) | トラックバック (0)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(3)朝日新聞社ビル

阪神高速道路と朝日新聞社ビル (8)

佐藤 後でまた全体についてお聞きしますが、さっき見てきました朝日ビルに話を移したいと思います。これは朝日新聞社の社屋の4〜5階部分の一部を高速道路が通過しているわけですが、どういう経過でこういうことになったのでしょうか。

小葉竹 阪神高速道路の供用の最初の頃でして、当時は出入橋〜湊町間の部分供用の時期で昭和39年11月ですね。立地条件の制約があり、朝日新聞社ビルの敷地をうまく使わせてもらわないと道路の線形を描くことができなかったという事情がございました。昭和39年でしたから道路法は道路の路下の占用すらも、当時は高架下の利用も街並みの全体の景観を保持する趣旨から非常に厳しく制限されており、当然上空部についても使用制限されていました。そういった中で実際に線型ルートがその敷地を通らないと都市計画できないという事情があり、地権者にも協力いただいて、一体構造で出来上がったということです。

佐藤 高速道路を通そうと思って、その予定地で買収がうまくいかないという場合、収用によって収得するといった方法もあるわけですが、本件は地権者との妥協の産物ということになるのですか。

小葉竹 うまく協力が得られたということです。私どもの高速道路に対してもご理解いただかないとうまくいきませんので、そういった産物であると言っていいんじゃないでしょうか。

小川 法的には区分地上権が設定されているんですか。土地は朝日新聞社のものですか。

岡山 この土地はもともと大阪市の所有地で、朝日新聞社が狭いからビルを立てたいと、その土地を売って下さいと大阪市に、言ったわけです。大阪市も利用計画がない土地なので朝日さんに売ります、ただし先程小葉竹課長が言いましたようにそこは阪神高速のルートを入れなければ駄目だという事情があり、ビルを立てるときに高速道路を入れるのが条件だと、そういう条件付きの土地を朝日新聞社が買ったその条件によって朝日新聞社は道路部分を空け、うちは無償で通ったということなんです。

木内 そのときにはもう都市計画決定はされていたんですか。

岡山 都市計画決定まではいってないんですが、基本計画の指示というものがあり、建設省の方でここにルートを造りますよと、最初に阪神高速の道路網をこうやりますよと、こういうものがあるわけですね。都市計画決定があり、建設省から基本計画の指示を受け阪神高速道路になっていくんですが、そこまではいっていなかったんだと思います。

佐藤 朝日新聞社と阪神高速の権利関係はどうなっているんですか。高速の方は区分地上権ですか。

岡山 何もないんです

小川 払い下げの条件として4〜5階部分の使用は制限されますよという条件付きで売られているんですね

佐藤 登記上何もない

岡山 ないんです。

小川 当然払い下げ価格もその部分が使えないということを考慮された上で出されているわけですね。

岡山 そういうことです。

加藤 その分が安くなっているんですね。

小川 完全な所有権ではないということですね。

佐藤 朝日新聞社の土地は登記簿で見ると完全な所有権を所有しているように見えることになるわけですね。契約書はあるんですか。

岡山 大阪市と朝日新聞の契約に基づいて阪神高速がそこに入っているということです。阪神高速が入るにあたり柱の補強を行い、補強費はうちから出したということです。

 通常、何らかの物を土地に設置する際には所有権が基本で、そうでなくとも区分地上権なり借地権なりの物権的な権利を土地に設定して登記するのであるが、ここではそのような権利設定はなく、阪神高速が通る前に、大阪市と朝日新聞社が土地の売買をする際に付した条件という債権のみに依って阪神高速が無償使用しているという珍しい事例である。第三者への対抗力を有しないことになる。

阪神高速道路と朝日新聞社ビル (9)

佐藤 あの道路もビルには荷がかかっていないのですか。

岡山 補強した柱に荷がかかっています。

佐藤 それはビルの中に柱が入っているわけですか

岡山 そういうことです。ふつう柱は何センチか知りませんが、それをうんと太くして、これが高速道路を支えているんです

阪神高速道路と朝日新聞社ビル (7)

 また、船場センタービルでは、道路法の占用許可をしているが、朝日新聞社ビルは占用許可をしていないというのである。

佐藤 ビルの一角にもなっているということですか。これは権利関係で問題はないんですかね、公的なものだからいいようなものの。

岡山 いや、建物ができますと、道路の上を使うにしても下を使うにしても建物は占用しかないんですね。道路の供用時に、占用許可申請を出しなさいと朝日新聞社に言いにいったんです。「阿呆か!」と怒られましてね、(笑い)「おまえのところに使わせてやってんのに占用許可申請を出せとは何ごとか」とこっびどく叱られ、そのままになっています。占用許可も何もなし、うちの権利が分からんのに相手に占用許可を出せとは言えません。

佐藤 道路用地そのものには賃料も買収費も何もかけていないということですか。

岡山 何もかけておりません。

小川 所有形態として、もともと朝日新聞社が持っておられた土地へ高速道路を貫くというのであれば区分地上権の対価が当然必要になってくるんでしょうがね。

佐藤 だけど大阪市はその分を負担したことになりますかね。大阪市は朝日新聞社と、阪神高速道路を前提として、その部分を除いたところを利用するなら売ってやるといったときに値は安くなっているわけでしょうね。その部分は結局大阪市が自分の所有地を通さすために若干犠牲を払って、値段を安くして、利用制限のある土地を朝日新聞に譲ったことになり、おかげで阪神高速はただで通れることができたと、言うことになりますね。

岡山 その通りですが、あそこに取付けるカープ、Sカーブといいまして、あの工事がものすごく難しいんですよ。朝日新聞社のビルが立っており空間がありますね。そこに道路をスポッと入れなければならない。しかも道路が斜めにカーブしているので、Sにしないと取付かない。用地費はかかっておりませんが、工事費の方がだいぶかかっております。

阪神高速道路と朝日新聞社ビル (1)

 Sカーブ

阪神高速道路と朝日新聞社ビル (2)

佐藤 道路の下は何階あるんですか。地上3階ですか。

小葉竹 道路はビル本体の西側ビルの4〜5階を通っています。

佐藤 そうするとその下に3階部分があるんですね。4〜5階の部分が体育館ですか。

岡山 ビル自身は地上9階の地下5階です。

佐藤 ビルの本体が高いんですね。

阪神高速道路と朝日新聞社ビル (10)

改訂版 立体道路事例集」から引用

 朝日新聞社ビルの改築に伴い、道路の上にあった「体育館」は撤去されたようだ。

阪神高速道路と朝日新聞社ビル (4)

阪神高速道路と朝日新聞社ビル (5)

 ↑体育館撤去前

 ↓体育館撤去後

阪神高速と朝日新聞社ビル

(参考)

https://www.facebook.com/yoshikazu.takahashi.526/posts/589016181220715

------------------------------------------------------------

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(1)イントロ

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(2)船場センタービル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(3)朝日新聞社ビル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(4)梅田出口

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(5)OCAT(大阪シティエアターミナル)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(6)りんくうタウン

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(番外編)ホテルきららリゾート関空

| | コメント (0) | トラックバック (0)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(2)船場センタービル

船場センタービル 阪神高速道路 (7)

 一発目は「船場センタービル」である。大阪のど真ん中「船場地区」で建物の上を阪神高速と大阪市道が走っているアレだ。

佐藤 まず船場センタービルですが、ビルの屋上部分1,300mもの間高速道路が6車線、通常の道路が6車線走っており、これは全国的にも大変珍しい道路だと思います。ビルの屋上を高速道路が走ることになった経緯について、阪神高速道路公団の方から簡単に経過を説明いただけたらと思います。

岡山 この船場センタービルといいますのは、万博の頃河野大臣が大阪を見に来られたんですが、大阪の道路は南北には強いが東西に弱い。その東西に弱い中心に立派な道路が要るのではないか、そういうことで、当時都市計画はあったんですが、実施されていなかった。これを実施すべきじゃないかということになり、いざ実施するとしたらどのようにしたらいいか。ここは大阪船場地区の繊維間屋街で、名称は丼池問屋街というんですが、その丼池問屋街をぶち抜くことになる。そして移転先ですね、移転先をどのようにして確保するか。もう一つ都市分断を避けるために繊維問屋街どうしを結ぶ繊維問屋街が要るのではないかということがありました。道路の巾員は80mありますが、道路の両サイドには地下鉄を入れ、上は平面道路にして、真ん中にビルを立てる。ビルの屋上に阪神高速道路と大阪市道を通して交通の方はビルの屋上でまかなう。都市分断を避けるのはビルの中で結んでいく、こういうことで決められました。それで万博の時にこの道路が出来上がった、そういう経緯です。

 断面図を見ると、道路と建物だけでなく地下鉄の駅も一体となっていることが分かる。それも中央線と堺筋線が堺筋本町駅で立体交差している(同様に中央線と御堂筋線が本町駅で立体交差している)という大掛かりなものとなっている。建築家は、この地面の下が見えていないことが多いので「道路と建物の一体」としか見ていないことがままあるが、実際には「道路と建物と鉄道の一体構造」である。

船場センタービル(9)

改訂版 立体道路事例集」から引用

佐藤 ありがとうございました。委員の方からも質問していただきたいと思いますが、ここは特殊な権利関係になっているようですね。

岡山 建物所有者は、株式会社大阪市開発公社他となっており、他というのは分譲になるので、分譲のところは個人個人で持っており、建物利用者も同じです。土地と建物の権利関係ですが、道路が土地の所有権を持っている。

佐藤 道路の所有権は・・・。

岡山 その底地は道路がもっているわけです。

佐藤 ああ、道路というわけですね。

岡山 建物は占用許可によって立てられて分譲されています。だからちょっとよそにはない。

佐藤 阪神高速道路公団そのものはどうなっているんですか。

岡山 阪神高速道路公団は阪神高速の水平投影面積を持っており、大阪市は大阪市道の水平投影面積を持っています。全部道路で覆われているので、道路が所有権を持っている。

佐藤 そうするとビルの敷地部分は阪神高速道路公団のものですか。

岡山 阪神高速の投影面積は阪神高速道路公団がもっており、大阪市道の分は大阪市がもっている。こう見ていただいたら80m分が全部道路です。

佐藤 そこら辺が難しい構造になっているのですね。

木内 今のお話は所有権ですね。真ん中が阪神高速さんで、側道が市ということですね。

岡山 そうです。

 「占用」は道路法第32条に定められており、民事上の考え方である「占有」とは全く異なる。「道路の占有」と書いている人がいたら「ああこいつは道路法の条文を確認せずに書いている横着者だな。その程度のレベルの記事だな。」と思って色眼鏡をかけてしまって差し支えないだろう。

 (道路の占用の許可)

第32条  道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。

 一  電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物

 二  水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件

 三  鉄道、軌道その他これらに類する施設

 四  歩廊、雪よけその他これらに類する施設

 五  地下街、地下室、通路、浄化槽その他これらに類する施設

 六  露店、商品置場その他これらに類する施設

 七  前各号に掲げるものを除く外、道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの

 上にも書いてあるように道路上空の電線や道路に埋設された水道、下水道等が分かりやすい例である。

小川 確か建物利用は道路占用許可ですよね、占用料というのは取ってないんですか。占川許可を与える場合は、対価として占用料の支払いが伴うのがふつうですが、それはないんですね

岡山 道路を造るときに、あそこにはびっしり建物があったんですね、丼池の商店街ですから。建物移転費と土地の取得費をすべて道路で負担し、占用許可とするとこの道路高くなり過ぎてとてもたまらんということで、建物の方にもお金を出してもらことになり、移転補償費の7分の6は建物側が持ち、7分の1を道路側が持つ。だから建物の移転はみんな建物の方でやってしまったと言っていいと思います。なぜ7分の6かと申ししますと、地上4階地下2階と建物が6層あり、建物は6層使っている、道路は一番上、一層だけ使っている。そういうことで、移転補償費のうち7分の6を建物に出してもらう関係にあるので占用料はなかなかとれません。通常の占用ではないんですね。地上権設定で道路を建設した場合、無償にすることができると定められていますので、これに類した処理をしたのではないかと思います。

 ここの「占用料はなかなかとれません。通常の占用ではないんですね。地上権設定で道路を建設した場合、無償にすることができると定められていますので、これに類した処理をしたのではないかと思います。」とされた部分がいま紛争となっている。橋下市政になってからの課税見直しの影響でここを見直して請求しているのだ。詳細は下記のリンク先を御覧いただきたい。

→毎日放送|特集|VOICE|「ビル屋上走る高速道路 長年免除されてきた道路下使用料めぐる争い」

http://www.mbs.jp/voice/special/archive/20160613/

佐藤 ここに住んでいたり、仕事をしていた人達を収用したということですね。これは分譲形態ですか。

岡山 大阪市開発公社が賃貸しているのと分譲しているのと両方あります。

佐藤 小川先生はここの区分所有の鑑定評価をやられたということですが、価格面でどうでしたか、特殊な権利関係になりますね。土地は持っていない、借地権でもない道路占用というビルですが、どう鑑定されましたか。

小川 法律的には極めて曖昧なんですよね。土地を利用する権利は道路の占用許可であり、区分所有建物の敷地である敷地の利用権が道路の占用許可であるというのはおそらく全国的にもないと思うんですね。持っているのが大阪市であり、阪神高速道路公団なので占用許可を取り止めるということにはならないだろう、上に高速道路が走ってますので占用許可をなくしたら自分の道路がなくなるという特殊な事情なので、下の土地については所有権はないが、所有権と同じような認識はあるようですね。自分が占用許可に基づいて建物を利用しているという意識はないようです。
 だから売買の実例を見ても、土地が占用許可であるから普通の区分所有建物に比べてうんと安いということはないようですね。

佐藤 考え方によると、地代も要らない、固定資産税も払わなくていいということで収益面で見ると諸経費が安上がりで、収益性は高いかも知れませんが、道路が廃止されたら何もなくなってしまうんですよね。

加藤 売買しようというときには、一応承諾を求めるのですか。

岡山 それはうちの方にはございません。建物所有者はあくまでも大阪市開発公社ですから。

佐藤 分譲した分もあるのでしょう。

岡山 分譲した部分もあります。それはビルの管理規約で決まっていると思います。管理は全部大阪市でされております。

小川 船場センタービルの中で評価があれば、株式会社大阪市開発公社にお邪魔して最近売買が行われていませんかと、売買事例の収集はまずそこに行っているんです。開発公社の承諾がなければ売買できないというわけではないんですが、管理しているので売買事例は割合お掴みのようですね。

岡山 このビルは率は覚えていないんですが、共用面積がべラボウに広いんです。通常のビルは大体70〜75ぐらいだと思うんですが、ここの専用面積は確か60ぐらいしかなかったと思います。共用面積は40をちょっと上回るくらいで、テナントの共用の負担が大きく、管理の負担金が非常に大きい。だから必ずしも収益性がいいとは言えません。その辺がこのビルの特色だと思います。

船場センタービル 阪神高速道路 (8)

佐藤 これは日本でも恐らく初めてだと思いますが、特に既存の法規制の中で問題はなかったのですか。

岡山 私は昭和42年に建設省にいたのですが、その時にこの話が出まして、「こんなのできるかいなと、誰も出来ないよ。」という話だったんです、法律の縛りを全部読んでいきますとね。だけどこういうものがなかったら大阪の都市が機能しない。街というものから見た、再開発の一手法というんですか、そういうものとして容認されたと思うんですね。

佐藤 簡単に建設省の許可は取れたのですか。

岡山 建設省は難しかったですよ。「何でこんなことするのか」と。

小川 道路占用許可が本来的に建物所有を目的としたものに与えるということを前提にしていませんよね。

岡山 建物でも倉庫とか事務所はいいわけですが、全部はね。一番困るのは建物をのけてしまうと道路が落ちちゃうと、こういうのはあり得ない。ところが主要構造部は建物が持っていないと駄目で、そうでないと分譲できない。この柱の部分も主要構置部と分けようがない。道路は欲しかったんですが、これをもらっちゃうと主要構造部がなくなってしまう。それでは区分所有は全然駄目だと、それならしょうがない、補強費は道路も出しているんですが、それも全部建物だとこういうふうに割り切ったんです。

 「主要構造部は建物が持っていないと駄目で、そうでないと分譲できない」というのは、「登記ができるかどうか、登記上建物と認められるか」ということである。

 ここを詳細に解説した別稿を紹介したい。

 この事業は当初現行道路法の改正まで云々された事業であるが,結局現行法の範囲で実施することとなつたものである。したがつて敷地は道路側が完全な所有権で取得したものであり,ビルは占用物件として扱うという考え方が基本である。

 しかし実態は道路の橋脚としてビルを使用するため,ビルの柱,梁等の主要構造物は道路の主要構造物でもあるわけである。一方ビルは「建物の区分所有等に関する法律」を適用して区分所有権を設定し,これを売却することによつて前述の用地補償費を分担する建前となっているので,登記法上円満な不動産であることを要求される。そこで道路側がビルの主要構造物を〔道路〕と主張した場合,それらの主要構造物を除外した床,壁等のみでは建物としての登記ができないこととなる。(昭和42年1月法務省民事局見解)。

 この問題については

 ⅰ 主要構造物を道路とする説

 ⅱ 主要構造物は道路とビルの共有であるとする説

 ⅲ 主要構造物は道路とせず一括して占用とする説

 ⅳ 主要工作物を兼用工作物的なものと考える説

 ⅴ 使用・賃貸借説

など幾つかの意見があつたが,昭和42年8月に結局ⅲの意見を中心として,次のような考え方で解決することとした。

(中略)

 これによつて道路側はビルの利用権と道路管理権を得ることとし,ビル側は土地に対しての高架下占用権を得るとともに,ビル本体については完全な所有権者としたのである。

 

「ビルと一体をなす高架道路」 「道路」1970年2月号27頁

 つまり、建物の登記をできるようにするため、道路とビルを支えている柱は建物の完全な所有となり、このため「建物をのけてしまうと道路が落ちちゃう」形になるのである。

 なぜ、ここまで登記に拘るのか。阪神高速の高架下を占用許可によって利用した建物で登記ができなかった先例があったためである。それは木津市場である。阪神高速環状線が木津青果卸市場を横切るにあたり、市場の代替機能として高架下に市場の建物を占用させたものである。(この建物は現存しない。)

木津市場と阪神高速道路

 この建築物の特徴は、建物の柱を道路の橋脚でもって利用しているため、建物には「柱が無い」といわれる。建物側は、壁を所有しているにすぎない

 (中略)

 問題は建物側にある。

 (中略)

 二つには、建物の構造から、法務省登記局から、建物としての表示の登記及び所有権の登記が拒否されているということである。柱及び梁の無い建物は存在しないから登記できないというより、柱及び梁が他の工作物を兼ねているとき、建物としての独立性、建物(不動産)としての私法上の処分の可能性、したがって、また、建物の担保価値から、一個の不動産として把握できないという実質的意味も含めて、拒否されたのでなかろうか

 通常、建物を営業用に供するとき、この不動産を担保に供するために所有権保存登記をなし、資金を調達することが通常であれば、登記自体が拒否されるということは、建物に投下した資金は固定化して寝むったままになってしまい、営業を行なう個人又は法人にとって耐えられないところである。今回は協会(※引用者注:阪神高速道路協会)が行い、協会の資金調達が建物を担保に供することなく行ない得た(※引用者注:阪神高速道路協会から市場側に貸与することで木津市場の一角として使用された。)ので問題とはならなかったが、今後、この点で、この事案はあまり実行されないように思われる。尤も、登記可能の方法が見出せれれば別であるが。

 

「高架道路」と「これに一体として建設される建築物」の相互間における法律関係等について -阪神高速道路に係るもの三件- 「道路セミナー」(出版年月日は控えを失念。。) 阪神高速道路公団総務部総務課長 清水泰吉

木津市場と阪神高速道路2

 上図は木津市場の建物が道路の橋脚を利用している様子である。

 木津市場は、柱や梁は建物側ではなく道路側のものであったため建物の登記ができなかった。阪神高速道路の外郭団体を途中にかませていたので登記ができなくても問題なかったが、通常の営業では「耐えられない」やり方であったと。

 橋下は公益団体を間にかませることを忌み嫌っていたが、木津市場のようにそうしないと行政目的を達成しなできない場合もあったということであろう。

 ところで、大阪市立大学教員の倉方俊輔氏は、船場センタービルを指して「そこで浮上したのが道路を高架でつくり、下にビルを建設するというウルトラC。(中略)こんな建築のつくりは他に無い。」と産経新聞の「都市を生きる建築(36)垂直ならブルジュ・ハリーファも抜く巨大ビル…船場センタービル」に記しているが、木津市場が先にあったのをご存知ないようだ。難波から一駅で歩いてでもいける場所なのに。本当に大阪の建築史家なんですかね?

木内 道路占用許可の期間という定めはあるのでしょうか。占用許可は契約じゃないですよね。

岡山 期間の定めはあります。自動更新で、更新、更新ということなんですね。

佐藤 期間の定めというのは何年か覚えてます。

岡山 ちょっと覚えてないです。

佐藤 現実には道路が存続する限りはあると思われますが、段々建物が朽廃してくると、その場合どうなりますか。

岡山 建物が朽廃しても道路は上からの荷重ですね、荷重を強くするというのが道路の基本なんです。ですから船場センタービルの柱というのは中を見ていただいたら分かるんですが、非常に太い柱です。建物が朽廃しても、その床部分を取ってしまうと足が出てくると考えるといいと思います。ふつうはピアがあり、一本のピアもあり、門型のピアもありますが、ピアのところに梁が張って建物ができていると、建物が朽廃してそれをのけるとピアだけの姿になりますので、またそれに建物をくっつけていくと。

佐藤 なるほど、建物には全然荷がかかってないんですね。建物を除いても通路は保つという状況になっているのですか。

加藤 横から見ると車は直接屋上を走っているわけではないですよね。

岡山 そうです。びちゃっとついていない

小川 それは無理ですね、建物では

佐藤 道路と建物の間は一応空間があるわけですね。

木内 道路のピアは建物の構造の一部になっているんですか、両方兼ねているのですか。

岡山 そうです。建物が悪くなってきたら、建物の床とか天井をはずすとピアが現れてくる、こういう感じです。

 「道路と建物の間は一応空間がある」というのは、登記できる建物としては天井が必要という理由なのだろうか?これについては前述の文献には記載がない。

船場センタービル 阪神高速道路 (1)

 ところで「自動車と建築」で名古屋大学工学部教員の堀田典裕氏が「東京高速道路は道路と建築が一体化しているので評価するが、船場センタービルは道路と建築が一体化していない(だから評価しないとは直接書いていないが。というか堀田氏は「察してちゃん」のようでこの本にはちゃんと言いたいことが最後まで書いていないことが多いのだ。編集者も無能か。)。」といった趣旨のことを書いているが、このような建物の登記の関係が一因となっているのである。(東京高速道路は道路法の道路ではなく、一民間施設としての道路でむしろ建物がメイン、道路はおまけなので登記は問題にならなかったのだろう。) 建築家はこういった背景が分からないというか見てないことが多い。建築家なんてえのは見たままだけで物を言っている単細胞が多いのかもしれない。

木内 先程専用面積が60%程で低いというのはピアの関係もあるんですか。

岡山 そうです。ピアの関係と、あそこには歩道を兼ねた商店街が両側にありまして、2本通路がつながっているんです。まさにビルの中は商店街ということです。

木内 共用部分の面積と専用部分の面積の比が4:6ということはピアの面積が大きいことを考えると建物の建築面積に比べて専用部分の割合が低くなると考えたらよろしいんですね。

岡山 はい、そうです。

加藤 区分所有権の大部分を大阪市開発公社が持っていて、わずかの部分を一般の方が持っているということですか。

小川 むしろ区分所有権をもっている方が多いんじゃないですか。

岡山 そちらの方が多いですね。

加藤 そうすると占用許可は、ある人に与えたら当事者間だけで有効ではないんですね。ある人Aに占用許可を当初与えた場合、それがAからBに代わるときは地主さんとの関係がまた違いますよね。勝手にやってはいけないということにはなっていないんですか。

岡山 その辺は大阪市開発公社と管理を実際に行っているのがまた大阪市開発公社なので、まあ管理組合の代表としての公社ということでビルの使用者を一つとみて、開発公社に対して占用権を与えていると思うんですよね。

小川 団体に対して与えているということですね。およそ道路法が考えもつかない土地利用を始められたということですね。

船場センタービル 阪神高速道路 (10)

 船場センタービルの上空の道路。中央が阪神高速で両側が大阪市道である。

岡山 この考え方が今の道路一体建物ですね。平成元年に道路法関係の改正があり、立体道路制度というのがありましたが、そのときにまさにこれが入ってくるのです。これを参考にして道路法の改正があった。

小川 いわば法律を先取りしていたというわけですか。

佐藤 むしろ法律が実態を見て法制化していったという感じになりますね。

岡山 そうです。昭和45年当時、万博の頃大阪を東西に結ぶ幹線道路がないという状況と、東京では99%まで用地費にとられ、1%は工事費だという状況で、これでは道路は出来るはずはない。その時にどうするかということになり、立体道路制度で道路は道路の空間部分のみを持つだけでよいのではないかということです。現在の東京の幹線道路を整備する手法は当時この道路を造った手法と同じことじゃないかなと、こういうところが道路法の改正の基本じゃないかと思います。

 この後に紹介する「梅田出口」「OCAT」「りんくうタウン」が上記の「平成元年に道路法関係の改正があり、立体道路制度」の適用対象となっている。立体道路の説明はそちらで。。

(参考)

「船場センタービル建設に至る経緯とその計画思想に関する研究 基本構想(案)・実施計画(案)の分析を通じて」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/46/3/46_3_685/_pdf

が非常に興味深いので船場センタービルにご関心がおありの方には一読を強くお勧めする次第。

 ウィキペディアの「船場センタービル」の項にある

そこに小林茂喜という実業家が「利用できる面積が減らなければよいのだろう」と道路の直下にビルを造るアイデアを出し、名案として即座に採用が決まったものである[2]。

unam氏追記編集部分

 が、全くもって見当違いなことも分かる。

------------------------------------------------------------

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(1)イントロ

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(2)船場センタービル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(3)朝日新聞社ビル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(4)梅田出口

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(5)OCAT(大阪シティエアターミナル)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(6)りんくうタウン

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(番外編)ホテルきららリゾート関空

| | コメント (0) | トラックバック (0)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(1)イントロ

 阪神高速道路と建物というと、船場センタービルや梅田ゲートタワービル等とのいろんなくんずほぐれつの形が想起される。

 ここにその権利関係がどうなっているかを解きほぐす座談会がある。

 日本不動産カウンセラー協会の「不動産カウンセラー NO.4 1991 DEC」掲載の「座談会 道路一体建物について」である。

http://www.jarec.jp/NC_TEST/members/pdf/backnumber/J4-No4.pdf

 出席者は

阪神高速道路公団(当時)から

 ・用地部監理課 岡山茂課長

 ・用地部用地課 小葉竹英樹課長

 ・用地部用地課評定係 福元通明係長

日本不動産カウンセラー協会不動産カウンセラー部会広報委員会から

 ・佐藤實委員長

 ・小川哲男委員

 ・加藤弘之委員

 ・木内二三夫委員 である。

佐藤 阪神高速道路はビルの屋上を走ったり、ビルのど真ん中を貫いて走ったりと、全国的にも大変珍しく、時代を先取りしているということを聞き及び、不動産カウンセラー部会広報委員会ではそのからくりを教えていただこうということで、今日は阪神高速道路公団に無理を申し上げて、本日の座談会へのご出席をお願いいたしました。用地部監理課長の岡山さん、用地部用地課長の小葉竹さん、評定係長の福元さん、お忙しいところ、どうもありがとうございます。

 ということで、そのからくりが明示されるのが

(1)船場センタービル

船場センタービル 阪神高速道路 (7)

(2)朝日新聞社ビル

阪神高速道路と朝日新聞社ビル (8)

(3)梅田出口

阪神高速梅田出口立体道路 (2)

(4)OCAT(大阪シティエアターミナル)

OCATと阪神高速道路 (4)

(5)りんくうタウン

りんくうタウン と高速道路 (5)

である。いずれも劣らぬ「ビルの屋上を走ったり、ビルのど真ん中を貫いて走ったり」ぶりである。

 通常、道路だビルだ高架下建築だというドボク趣味だと工学部系だったりデザイナー系だったりという出番だが、阪神高速の用地買収のプロと不動産業界のプロで土地と高速道路と建物の権利関係を語りつくす異色の対談である。通常、大阪のこういった建物の解説だと高岡伸一氏あたりがもっともらしいことを書いたりしているが、こちらはプロ中のプロの対談だ。

 ただ、これは字だけ読んでも分かる人は限られてしまい大変勿体ないということで、私が写真や他の関係文献も交えながら解説していきたい。

 ではいってみよう。

------------------------------------------------------------

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(1)イントロ

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(2)船場センタービル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(3)朝日新聞社ビル

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(4)梅田出口

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(5)OCAT(大阪シティエアターミナル)

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(6)りんくうタウン

阪神高速道路とあの建物の権利関係ってどうなってんの?(番外編)ホテルきららリゾート関空

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧